G20、議長国インド主導で国際的な仮想通貨政策のあり方を議論

国際的な政策合意に向けた議論を

インド財務省は25日、主要20か国(G20)財務相会議の際に行われた、暗号資産(仮想通貨)関連政策に関するパネルディスカッションについて報告した。

議長国のインドは、国際的な仮想通貨政策の合意への道筋を議論するものとして、この会議を主催した形だ。

仮想通貨について検討すべき課題や今後の方針を提示している。

セミナーには、G20メンバー国、国際機関、専門家などが参加。主に、以下のようなトピックが取り上げられた。

  • 仮想通貨に関する、各国共通の分類法の必要性
  • 仮想通貨のメリットとリスク
  • 検討が必要なマクロ経済政策上の問題点
  • 金融安定化の問題と規制対応

まずIMF(国際通貨基金)のトマソ・グリフォリ氏は、仮想通貨がもたらす利点としては、安価で迅速なクロスボーダー決済、金融市場の統合、金融包摂の拡大などが唱えられているものの、これらはまだ実現されていないと強調している。

さらに、民間のプラットフォームでは、安全性や効率性の問題は保証できないため、台帳のための重要なデジタルインフラは、公共財と見なすべきであるとした。また、G20の支援のもとで、仮想通貨の機会やリスク、仮想通貨業界内の相互連関性などについて、世界的により深く理解する必要性を訴えた。

コーネル大学の経済学者エスワー・プラサド氏らは、分散型とされる仮想通貨の分野で、現在、中央集権的な性質がみられることを議論している。

国際決済銀行(BIS)のヒュン・シン経済顧問兼リサーチ責任者は、仮想通貨が実体経済にもたらすコストや利益、フィンテック・イノベーションのために規制上明確な範囲を設定する必要性を論じた。

また、他の参加者からは、仮想通貨セクターのガバナンス構造の欠如や、グローバルな金融・決済システムにおける既存課題に対処するための、仮想通貨以外のソリューションも検討する必要性などが指摘された。

23年後半にIMFとFSBの共同報告

今後の方針として、インドは、IMFとFSB(金融安定理事会)が、仮想通貨のマクロ経済的側面と規制についての共同レポートを作成することを提案。 これは、国際的に仮想通貨に対する包括的な政策アプローチを策定する上で役立つ見込みだ。

IMFとFSBは、10月に開催される第4回財務相会議で、この共同レポートを発表する予定である。インド議長国の下で開催される他のG20会議の際に開催されるセミナーでも、この内容を補足するとしている。

IMFの規制方針

今回の会合に出席したジャネット・イエレン米財務長官は、米国は「仮想通貨活動の全面的な禁止を提案してはいないが、強力な規制枠組みを設けることは極めて重要」だと述べた。

また、IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、記者団に対して、仮想通貨を禁止することも選択肢に入れるべきだと話している。

IMF理事会は23日、同機関内で作成された仮想通貨に対する政策提案を支持した。

9つの規制方針におおむね合意しており、その一番目では、仮想通貨には法定通貨の地位を認めないことを挙げている。

理事会は、「厳格な(仮想通貨の)禁止は第一の選択肢ではない」としており、ある国の状況によっては対象を絞った規制が適用されうるという点で合意した形だ。ただ、「全面的な禁止を排除すべきではない」との意見する理事も数名存在した。ゲオルギエバ理事も、その一人とみられる。

関連IMF理事会、仮想通貨に対する効果的な政策要素を評価

IMFとは

国際通貨基金(IMF)は、国際通貨制度の安定を確保するため、1944年に設立された国際機関。190の加盟国の政策や世界経済及び金融の動向をモニタリングし、政策に関する助言や推奨を行う。 また、国際収支の問題を抱える加盟国に対し、融資を提供する。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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