米シグネチャー銀が閉鎖、相次ぐ銀行破綻で仮想通貨業界への影響も

相次ぐ米銀行の閉鎖

米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は12日、預金者保護のためシグネチャー銀行(Singature Bank)を閉鎖したと発表。連邦預金保険公社(FDIC)を同行の管財人に任命した。

当局の発表によると、同行の2022年12月31日現在の総資産は、約14兆8,900億円(1103億6000万ドル)、預金総額は約11兆9,500億円(885億9000万ドル)。ロイターによるとシグネチャー銀行の破綻は、米国の銀行史上3番目の規模となる。

シグネチャー銀行の閉鎖は、米カリフォルニア州当局がシリコンバレー銀行(SVB)を閉鎖したわずか2日後に起きている。そのため、米金融当局は12日、市場に不安の連鎖が広がるのを食い止め、金融システム危機の回避を目的とした、緊急の救済措置を発表した。

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米財務省と米連邦準備理事会(FRB)、米連邦預金保険公社(FDIC)は共同声明で、システミックリスク例外措置として、FDICによりシリコンバレー銀行及びシグネチャー銀行の全預金が保護されると明言。ただし、株主および一部の担保を持たない債務者は保護の対象とならず、上級管理職は解任されたと説明されている。

この決定は、FDICおよびFRBからの勧告を受け、イエレン財務長官がバイデン大統領と協議した結果、承認したものだという。

声明によると、預金者は13日より、全ての資金へのアクセスが可能になる。なお、両行の破綻処理に伴う損失が納税者の負担となることはなく、銀行への特別査定によって回収されることになるという。

さらに、「銀行が全預金者のニーズに応える能力を保証するため」、FRBは対象となる金融機関に追加資金を提供すると発表。米国債や住宅ローン担保証券などを担保とする緊急の融資プログラム(BTFP)を新設し、最長1年までの融資を行うことで、流動性を提供する。BTFP支援のため、政府は最大3.3兆円相当(250億ドル)を用意するという。

仮想通貨業界への影響

シグネチャー銀行は、ニューヨーク州の認可を受けた商業銀行だ。8日に銀行事業の清算を発表したシルバーゲート銀行と同様、暗号通貨(仮想通貨)業界向けに銀行サービスを提供する主要銀行として知られており、米ドルの即時決済が可能なネットワークを持っていた。

米最大手取引所コインベースは2日、シルバーゲート銀行からシグネチャー銀行に機関投資家向けの決済業務を切り替えると発表したばかりだった。

コインベースは、シグネチャー銀行の閉鎖により、現在は他の銀行パートナーを利用して、ユーザーの現金トランザクションを行なっているという。また、10日の営業終了時点で、シグネチャー銀行に約323億円(2億4,000万ドル)の法人用現金残高があるが、米金融当局の声明を踏まえ、全ての資金を回収することを見込んでいると述べた。

リップル社への影響

米リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEOは、提携先であったシリコンバレー銀行に、同社の現金残高の一部があったことを認めた。

その上で、「残高は日常業務に支障の出ない範囲のものであり、同社の現金は、より広範な提携先銀行のネットワークで保有している」と説明。「リップル社の財務状況は良好」だと強調した。

一方、今回の一連の銀行破綻により、現在の金融システムの欠陥が浮き彫りにされたのは皮肉なことだとコメントした。

24時間・週7日・1年365日に対応していない送金システム、深く分断されたシステム内で、風評被害が崩壊を招き、資金移動の摩擦が起きている。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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