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米国株・NYダウ4日続落 シリコンバレー銀行破綻で金融不安高まる|11日金融短観

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3/11(土)朝の相場動向(前日比)

    伝統金融

  • NYダウ:31,909ドル -1%
  • ナスダック:11,138ドル -1.7%
  • 日経平均:28,143円 -1.6%
  • 米ドル/円:134.9 -0.8%
  • 米ドル指数:104.6 -0.6%
  • 米国債10年:年利回り3.7 -5.5%
  • 金先物:1,872ドル +2%
  • 暗号資産

  • ビットコイン:20,101ドル -1%
  • イーサリアム:1,425ドル -1%

本日のニューヨークダウは4日続落。ナスダックとS&P500も全面安となった。取引開始前に2月の米雇用統計が発表され、市場では1月より弱くなったデータを受けてFRBのタカ派な利上げペースへの懸念が一旦後退した。

雇用統計

2月の米雇用者数が予想以上に増加した一方で、賃金の伸びは前月比ベースで鈍化した。2月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比31万1000人増加し、予想の22万5000人増を超えたが、前月の50万4000人増からは伸び幅は大幅に低下した。一方、失業率については市場予想の3.4%を上回り、3.6%に上昇したことが好材料とされたようだ。

また、平均時給に関しては前月比0.2%増(1月0.3%増)で、前年同月比では4.6%増加。前月比ベースで過去1年において最低の伸びにとどまったことも、1月の強い数値が一時的な異常値であることを正当化する可能性が高い。今回の統計が雇用市場がなおタイトである状況を示しているが、失業率の小幅上昇などを受けて、CMEの金利先物市場では次回FOMCで0.50ポイントの利上げ観測が前日の80%弱から40%弱に急落した。今週はパウエル議長のタカ派な発言が出ており、市場は5月以降の利上げ継続への懸念を強めていた。

来週はCPIとPPIの2つの経済指標を控えている。

3月経済指標(日本時間)

  • 3月14日21時30分(火):米2月消費者物価指数・コア指数(CPI)
  • 3月15日21時30分(水):米2月小売売上高
  • 3月15日21時30分(水):米2月卸売物価指数(PPI)
  • 3月23日3時(木):米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表、議長の定例記者会見

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米国株

SVBが破綻

今週財務問題が顕著化になった銀行持ち株会社SVBフィナンシャル・グループの株価は、米時間10日早朝の時間外取引でも暴落を続け、株式の売買が停止された。

その後、米カリフォルニア州の銀行規制当局はSVBフィナンシャル・グループ傘下のシリコンバレー銀行(SVB)を閉鎖。銀行の破綻時に預金保護を担う米政府機関、米連邦預金保険公社(FDIC)がシリコンバレー銀行が事業を停止し、預金を管理下に置いたと発表した。FDICの声明によると、シリコンバレー銀行の本店および全支店は13日に再開され、遅くとも13日午前には預金の引き出しに対応する。また、2022年末時点の総資産は2,090億ドル(約28.2兆円)、預金残高は1,754億ドルだったという。

シリコンバレー銀行の資産規模は全米16位で、2008年の金融危機以降銀行の破綻としては米国で最大となると見られる。

シリコンバレーバンクは米国のベンチャーキャピタルが支援する、テック企業を含む新興企業の約半分と取引しており、取引先から預かった預金で金利が低かった時期に米国債や住宅ローン担保証券(MBS)などを購入していた。しかし、FRBの2022年からの強気な利上げ政策を受けて米国債などの価格が下落し(金利は上昇)、含み損を抱えたことが明らかになり、8日には売却可能な有価証券のほぼ全額210億ドルを売却したと明らかにし、税引き後利益ベースで18億ドルの損失を計上した。SVBフィナンシャル・グループは現在、シリコンバレーバンクを含む身売りを検討しているようだ。

今回の急展開を受けて、金融関連の米省庁も動き出した。イエレン長官は10日、連邦準備理事会、FDIC、および通貨監督庁(OCC)の関係者と、シリコンバレー銀行の動向について協議。ロイター報道によると、イエレン長官は「銀行規制当局が適切に対応することに全幅の信頼を寄せており、銀行システムはなお弾力的で、規制当局はこのような出来事に対応する有効な手段を有している」と発言したという。

今日の米国株式市場では、S&P500地銀株指数が4%下落していた。一方、大手銀の一部には買い戻しがあった。JPモルガン+2.5%、ウェルスファーゴ+0.5%、バンカメ-0.8%、USB-3.9%。

また、IT・テックの個別銘柄の前日比では、NVIDIA-2%、c3.ai-6.3%、ビッグベア.ai-1.3%、テスラ+0.3%、マイクロソフト-1.4%、アルファベット-1.8%、アマゾン-1.6%、アップル-1.4%、メタ-1.2%、コインベース-8%、シルバーゲート・キャピタル-11.5%。

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仮想通貨業界への影響

シリコンバレー銀行経営破綻の一件で、ステーブルコインUSDCに一時大量な出金の動きが見られた。Nansenのデータによると、過去24時間で「スマートマネー」「ファンド」「マーケットメイカー」3種類のウォレットは集権型取引所から合計9億ドル以上のUSDCを出金したことがわかった。米ドルへ償還する動きとみられる。

USDCを発行するCircle社やUSDTを発行するテザー社はシリコンバレー銀行にエクスポージャーを持っていないと声明したが、デロイトの2日の審査レポートによると、Circleは今年の1月時点ではBank of New York Mellon、Citizens Trust Bank、Customers Bank、New York Community Bank、Signature Bank、Silicon Valley Bank、Silvergate Bank。シルバーゲート銀の流動性問題を受けてCircleは今週、資産を別の銀行に移したと声明したが、シリコンバレー銀行にどれほど資金が残っているかは現時点では明らかではない。

追記:Circleは11日、USDC裏付け資産の約25%をシリコンバレー銀行を含む6つの銀行に分散して預けていることを明かした。残りの約75%はBNYメロンにあると見られる。

追記、最新Circleはその後、USDC裏付け資産の400億ドルのうち、33億ドル分の資金がシリコンバレー銀行にあることを明かした。

また、今週金曜日以降のUSDC償還額は10億ドルに相当するという。

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分散型ステーブルコインへシフトか

また、集権型ステーブルコインの資産状況への不安が再び高まったことで、分散型ステーブルコインへの資金流入が増加し、一部の関連銘柄の価格は急上昇。分散型ステーブルコインLUSDを発行するLiquity(LQTY)は前日比+18.5%と、TUSDに関連するTrueFi(TRU)は前日比+8.8%と上昇している。

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ドル円急落

ドル円は1ドル=134.9円、前日比-0.8%。ドル円は予想以上高かった失業率や銀行の経営問題を受けて売りが強まり、前日の高値136.9円から急落し135円を割り込んだ。

昨日は、日銀が現行の金融緩和政策を維持すると発表したことを受けて、ドル円は一時136.98円まで急上昇した。

出典:Yahoo!ファイナンス

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木曜日のGMラヂオ

今週木曜日には第12回GM Radioを開催。Strigaのマーケティング&セールス部門のトップMousser Rahmouni氏を招待し、「仮想通貨の銀行インフラと規制」について話してもらった。最近はシルバーゲートの銀行業破綻などの問題があり注目が高まっている。

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なお水曜日のラヂオのアーカイブはこちら。

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