はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 資産運用
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨市場も注目のCPI(消費者物価指数)とは|わかりやすく解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
※このページには広告・PRが含まれます

CPIとは

暗号資産(仮想通貨)は投資資産として徐々に普及し始め、機関投資家や企業が市場に参入するようになってきました。その影響もあり、仮想通貨の価格が、株式などの伝統的資産の価格と相関することが増えてきています。

伝統的資産との相関性の高まりは、各国の金融政策、特に世界一の経済大国である米国の中央銀行の動向に影響を受けやすくなっていることを意味します。

本記事では、各国の中銀が金融政策を決定する際に重視する指標「CPI(消費者物価指数)」について解説。仮想通貨市場への影響についてもご説明していきます。

目次
  1. CPIの概要
  2. CPIの数値
  3. 日米の違い
  4. 仮想通貨市場への影響
  5. まとめ

CPIの概要

CPIは「しーぴーあい」と発音され、正式名称は「Consumer Price Index」です。上記の通り、日本語では「消費者物価指数」と呼ばれています。CPIは日本や米国だけでなく、欧州などでも算出されている指標です。

算出される数値は、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を表しています。つまり、食品やガソリンなどの対象品目の物価が、過去のある時点を基準にしてどのくらい高くなっているのか、また安くなっているのかをパーセントで算出しています。

最近は日本でも、食品などの値上がりのニュースを見聞きすることが増えました。CPIはこういった価格変動を、過去と比較して数値化したものです。

過去のどの時点を基準にして数値を算出するかは、国によって違います。例えば米国は、前年同月比の数値などを算出して発表。「前年同月比」というのは、1年前の同じ月と比較して物価がどのくらい変動したかを示しています。

一方、日本は「指数の基準年」を制定。本記事執筆時点では2020年を基準にした変動を数値化しています。日本はこの基準年を、西暦の末尾が「0」と「5」の年を基準にして5年ごとに改定。その際、指数に採用する品目などの見直しも行っています。

なお、日本はメインで基準年からの変動を数値化して発表していますが、実際は前年同月比も発表しています。また、米国は前年同月比だけでなく、同年前月比も算出。他にも品目別など、実際は様々なCPIが算出されています。以下の画像は、11月18日に日本の総務省が発表した10月のCPIです。

出典:総務省

CPIの数値

このように、CPIは物価の変動を表す指標。インフレーション(インフレ)やデフレーション(デフレ)の度合いを測るために使用されています。インフレとデフレの意味は以下の通りです。

  • インフレ:物価が上昇し、通貨の価値が下がること
  • デフレ:物価が下落し、通貨の価値が上がること

投資家がCPIに注目している理由は、各国・地域の中銀が金融政策を決めるために参考にしているからです。中銀の金融政策は景気に影響し、その影響が金融市場にも波及します。中銀の役割の1つが「物価の安定」のため、指標の1つとしてCPIを参考にしているのです。

本節では、投資家が最も注視している米国の例をもとに、CPIの数値を実際に見ていきましょう。

いま米国では、物価が記録的な高水準を推移しています。以下は、CPIを発表する米労働省が提供しているグラフ。過去20年の期間で、前年同月比のCPIを比較しています。なお、グラフの数値は、季節的な要因を調整する前のCPIです。

出典:労働省

季節調整とは

季節調整(seasonal adjustment)とは、経済活動に関する統計の時系列データから季節性の要因を取り除き、分析しやすい形にすること。

金融用語集

現在、物価が高くなっている要因は、ロシアのウクライナ侵攻にともなって、エネルギー価格が高騰したこと。また、コロナ禍に経済を下支えするために大規模な金融緩和策を講じたことで、市中に多くの通貨が供給されて物価に上昇圧力(インフレ圧力)がかかったことなど、複数の要因が重なっています。

このような異例な状況下で米国の中銀は、金融政策で物価の上昇を抑制しようとしています。米国が目標とするインフレ率(物価上昇率)は前年同月比で+2%。上記グラフを見ると、目標値から大きく上振れしていることがわかります。

2%という数字は米国だけでなく、日本も含めた主要国が目標にしています。2%と定める理由を、日銀は以下のように説明しています。

  • 指数の上昇率は高めになる傾向があるため
  • 景気が大きく悪化した場合に備えて、ある程度の物価上昇率を確保しておく必要があるため
  • 上記2つの考え方が世界基準になっているため

米国も2%を目標にして、現在の物価の変動がどうなっているのかを把握するためにCPIを利用。こういった指標などを参考にしながら、米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融政策を決定しています。

関連世界の投資家が注目する米金融政策決定会合「FOMC」とは|分かりやすく解説

日米の違い

CPIは各国・地域で算出されていますが、計算方法など細かい点に違いがあります。本節では違いの例として、日米のCPIを比較します。

以下が日米のCPIの主な違いです。投資家は、「コア(中心)」が付いた数値にも注目。「コア指数」や「コアコア指数」は、価格変動の大きな品目を省いた数値です。

米国 日本
発表時期 毎月中旬(10日〜14日頃) 原則、毎月19日を含む週の金曜日
総合指数 全対象品目 全対象品目
コア指数 食品とエネルギーを除いた数値 生鮮食品を除いた数値
コアコア指数 算出なし 生鮮食品およびエネルギーを除いた数値

関連金融政策会合、日銀は「大規模緩和」を維持する方針固める

仮想通貨市場への影響

最後に、CPIが仮想通貨市場へどのように影響を与えるか、実例を交えてご説明します。仮想通貨市場への影響と書きましたが、基本的な影響は株式などの市場と同様。これが相関性が高いという意味です。

各国の中央銀行は、物価の安定を維持する役割を担っています。物価の安定を維持するために金融政策を講じて、景気や経済活動を刺激します。そして、景気や経済活動への刺激が、金融市場にも影響を与えるという仕組みです。

株価への影響をわかりやすく簡単に書くと以下の通り。株式と同じリスク資産である仮想通貨には、同様の影響が及びます。

  1. 物価が上昇して、CPIが2%超になる
  2. 中銀が金融政策で金利を引き上げる
  3. 利上げで預金の魅力が高まり、市中からお金が減る
  4. 消費が落ち込み、企業の業績が悪化する
  5. 株価の下落圧力が強まる

リスク資産とは

値動きがあって収益が期待できるが、損失を被る可能性もある資産。投資した元本が保証されない。

▶️仮想通貨用語集

金融政策を決めるための参考指標として活用されているため、投資家はCPIの数値に注目し、金融政策が発表される前に先回りして投資戦略を考えています。なお、金融政策の効果は、半年ぐらい遅れてCPIに反映し始めると言われています。

影響の実例

ここから、仮想通貨市場への影響の実例を見ていきましょう。

最近の例では11月10日、米労働省が10月のCPIを発表。数値は総合指数が前年同月比で7.7%、コア指数が6.3%でした。目標の2%よりは依然として高い水準ですが、金融の専門家による市場予測よりも低かったことで、仮想通貨や株式の価格が上昇しました。

市場予測は総合指数が7.9%で、コア指数が6.5%。このように、投資家は実際の数値よりも、予測と比較して動く傾向があります。

関連CPI好感で日米株大幅高、仮想通貨反発もアラメダ(FTX)騒動は各方面に飛び火

米国のCPIは、市場予測を下回ったことに加えて、6月をピークにして低下傾向にあります。以下は、6月以降の総合指数の推移です。

  • 22年6月:9.1%
  • 22年7月:8.5%
  • 22年8月:8.3%
  • 22年9月:8.2%
  • 22年10月:7.7%

物価が下がってきているのであれば、米中銀がこれから金融政策を変更して、利上げのペースを減速するのではないかとの思惑もあり、仮想通貨などの市場が反発しました。

現在、米中銀はインフレを抑制するために銀行の金利を上げて、景気にブレーキをかけています。金利を上げれば市中に出回る通貨が減ります。企業や個人がお金を借りにくくもなって通貨の流れが抑制されるので、物価に下落圧力(デフレ圧力)がかかるのです。

景気のブレーキをこれから緩めることになれば、経済活動や企業投資が活発になるはず。投資家はこのような期待から、CPI発表後に買い注文に動きました。

一方、逆の影響が顕著だったのが8月のCPI。8月は総合指数が8.3%で、コア指数が6.3%でした。それぞれ市場予測は8.1%、6.1%だったため、市場予測を上回ったことで仮想通貨や株の価格は急落しました。

この時は影響がわかりやすいので、当時のビットコイン(BTC)価格のチャートを以下に添付します。CPIの発表は日本時間9月13日21時30分でした。

出典:CoinGecko

関連CPI発表を受け、株やビットコインなどリスク資産が暴落

ただし、このような市場の動きはあくまでも一例です。同じ状況であれば必ず同様の動きをするとは限りません。実際に投資を行う場合は、他の要因も含めて総合的に判断して行動する必要があります。

まとめ

以上が、CPIの説明です。CPIは単純にモノやサービスの価格変動を表しているだけですが、各国の金融政策や金融市場に大きな影響力を持っています。

仮想通貨市場に大きな影響を与えることのある米国のCPIは、次回は11月の数値を12月13日に発表。22年最後のFOMCは、12月13日から14日に開催されます。

米国には、CPIと同様にインフレ状況を測る指標として「PCE(Personal Consumption Expenditures:個人消費支出)価格指数」という数値があります。算出方法の違いから、PCE価格指数の方がより包括的で実態に近いとされており、米中銀はCPIよりもPCE価格指数を重視しています。

一方で市場が、より注目しているのはCPI。PCEよりは包括的ではありませんが、CPIの方が先行して動くとの見方があります。

本記事は企業の出資による記事広告やアフィリエイト広告を含みます。CoinPostは掲載内容や製品の品質や性能を保証するものではありません。サービス利用やお問い合わせは、直接サービス提供会社へご連絡ください。CoinPostは、本記事の内容やそれを参考にした行動による損害や損失について、直接的・間接的な責任を負いません。ユーザーの皆さまが本稿に関連した行動をとる際には、ご自身で調査し、自己責任で行ってください。

CoinPost App DL
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/07 土曜日
13:25
中欧チェコ、長期保有の仮想通貨に対する免税へ
チェコ共和国で、3年を超えて保有の仮想通貨によるキャピタルゲインを非課税とする法案が成立した。一定額以下の取引も免税となる。
11:40
仮想通貨と株式市場は割高か、米バンカメのアナリストが警戒
米主要株指数のS&P500は6日に史上最高値を更新し6,090ポイントの値を記録した。一方、仮想通貨ビットコインは5日に10万ドルの大台を突破し6日にはフラッシュクラッシュが発生したものの、7日には再び10万台を回復した。
10:05
米NY連銀元総裁、トランプ新政権のビットコイン準備金構想を批判
米国のトランプ次期大統領のビットコイン準備金構想に対し、NY連銀元総裁が批判的見解を表明した。代わりに規制を整備すべきとしている。
08:50
リップル社のシュワルツCTO、ステーブルコインRLUSDの課題を語る
米仮想通貨関連企業リップルのデビッド・シュワルツCTOは、年内のステーブルコイン「RLUSD」ローンチに対する希望を依然として持ち続けているようだ。The Block主催の仮想通貨カンファレンス「Emergence」に登壇し見解を語った。
07:45
米フロリダ州、25年1Q開始の議会でBTC準備金創設か
フロリダ・ブロックチェーン・ビジネス協会の創設者は、同州の仮想通貨ビットコイン準備金計画について説明。2025年第1四半期からの議会で戦略準備金を創設できるようになる可能性が十分にあるとした。
07:10
アルトコインとビットコインの相関性が低下 アナリスト分析
仮想通貨市場において、昨日ビットコインの急激な変動(フラッシュクラッシュ)に対し、主要アルトコイン銘柄が安定性を示す状況が確認され、アルトシーズンの継続が示唆されている。
06:25
イーサリアム4000ドル突破、3月以来の高値
仮想通貨イーサリアムの価格は昨日のビットコイン主導のフラッシュクラッシュから堅調に回復し、現在4,042ドルで取引されている。
12/06 金曜日
18:22
国税庁、日本居住者による米国ビットコインETFの譲渡所得は「分離課税」の認識示す
米国ビットコインETFの売却益に対する国税庁の見解が明らかに。申告分離課税(20%)適用の判断が、日本の仮想通貨課税制度の見直し議論に波紋を呼ぶ。国内ETF解禁への課題も検証する。
18:00
仮想通貨を種類別に解説|アルトコイン、ミームコインまでわかりやすく
仮想通貨の基本的な分類と代表的な銘柄を初心者向けに解説。決済通貨(BTC・XRP)、プラットフォーム通貨(ETH・SOL)、ユーティリティトークン、ミームコインの特徴や違いがわかります。
14:04
メルコイン、メルペイ残高から暗号資産つみたての自動引き落としを開始
メルカリの売上金(メルペイ残高)から暗号資産の自動つみたてが可能に。メルコインが新機能を追加し、ビットコイン・イーサリアムへの投資がより簡単に。渋谷で記念イベントも開催、最大1万円分のビットコインが当たるキャンペーンも実施中。
14:00
感情に翻弄される仮想通貨投資の実態、8割の保有者が認める=Kraken調査
Krakenの最新調査で、仮想通貨投資の実態が明らかになった。米国の8割以上の投資家がFOMOとFUDに影響され、感情的な意思決定が投資戦略を危うくしていることがわかった。
13:00
ソラナへの戦略的投資を行うソル・ストラテジーズ社、ナスダックへの上場を申請
カナダの仮想通貨投資会社ソル・ストラテジーズが、ナスダック上場を申請した。同社はソラナへの戦略的投資を拡大しているところだ。
12:43
10万ドル達成後のビットコイン急反落、1500億円相当の大規模ロスカットが発生
ビットコイン史上初の10万ドル到達後、急激な価格調整により10億ドルのロスカットが発生した。相場過熱の実態とSUIが上昇した背景などアルトコイン相場を解説。
10:55
トランプ次期大統領、ソラナ初期投資家のサックス氏をAI・仮想通貨特命官に任命
ドナルド・トランプ次期大統領は、ベンチャーキャピタリストのデビッド・サックスを、新たに設置される人工知能および仮想通貨担当の特命官に任命することを発表した。
10:30
リップル社、ステーブルコインRLUSDのローンチに関して声明
リップル社は5日、注目を集めていたRLUSDステーブルコインの発表に関する憶測に正式に対応した。トランプ次期政権への期待を受けて、仮想通貨XRPの価格は過去30日で341%上昇し、2021年の高値を超えている。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧