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CPI好感で日米株大幅高、仮想通貨反発もアラメダ(FTX)騒動は各方面に飛び火

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

10日の米NY株式市場では、ダウは前日比1201ドル(3.7%)高と大幅反発した。

警戒されていたCPI(米消費者物価指数)結果が市場想定よりも良好だったことで、FRB(米連邦準備制度)による金融引き締めペースの減速期待につながった。

前年同月比7.7%上昇と依然として過去最高レベルのインフレ水準にはあるものの、市場予想の8.0%を下回ったことが好感された。コアCPIも市場予想を下振れて着地しており、来年以降のピボット(政策転換)前倒しの期待が高まった。

これにより、ドル指数や米長期金利(10年債利回り)が下落。株や暗号資産(仮想通貨)といったリスク資産の買い戻し機運が高まった。金融引き締めは景気を冷やす効果があり、FRBの姿勢が緩和されれば株価にはプラスに働く。

ハイテク株主体のナスダックは値上がりがより顕著で、前日比7.3%高に。東京株式市場の前場では、日経平均株価が前日比754円(2.75%)高、新興企業中心のマザーズ指数も2.95%高と一斉反発した。

関連:11日朝の金融市場短観|NYダウ・仮想通貨市場大幅反発 米CPI伸び鈍化など

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比 4.3%高の17,055ドル。

BTC/USD週足

日本時間10日22時半のCPI発表直後は米株指数の高騰に連動したほか、業界大手の投資企業アラメダリサーチおよび取引所FTXをめぐる騒動で前日までに暴落していたことから、相場のリバウンドにつながった。

イーサリアム(ETH)が前日比5.4%高、XRPが9.4%高、ポリゴン(MATIC)が20.8%と大幅反発。ソラナ(SOL)も10.7%上昇した。

上位銘柄騰落率:Messari

一方、アラメダやFTXの破綻リスクが取り沙汰される中、関連トークンへの深刻な影響や業界全体に蔓延した信用不安などが燻る。FTXはアラメダの関連企業であり、両社ともに業界のキーパーソンとして名を馳せた若き経営者サム・バンクマン・フリードCEOが創業した。

9日時点で救済目的の買収方針を示していたバイナンスは10日、企業デューデリジェンス(財務調査)の結果、「FTXの財務リスクが想定以上に深刻だったため、我々の手に負えない」として買収を断念。

結果的に、暗号資産(仮想通貨)相場の大幅下落を後押しした。

ことの発端は、大手メディアにリークされたアラメダの貸借対照表(B/S)において、深刻な債務超過懸念が生じたことにある。B/S上で大量保有が確認されたFTTは投げ売り対象となり、わずか数日間で90%以上暴落。アラメダの資産価値も激減し、窮地に追い込まれた。

慌てた投資家がアラメダ系列の大手取引所FTXからの資金引き出しへと殺到した結果、取り付け騒ぎに発展。FTXは流動性危機に陥り、出金停止措置を余儀なくされた。資金繰りが行き詰まったものと見られる。

一連の騒動の影響でFTX Japanは10日、資金決済法に基づき関東財務局から12月9日までの業務停止命令(行政処分)を受けた。

関連:FTX Japanに行政処分 利用者資産の保全などを要請

規制当局に問題視されたのは、以下の点だ。

投資者に明確な理由を説明することなく、親会社であるFTX Trading Limitedの方針であるとして、再開の日程を明示しないまま、取引に係る証拠金(法定通貨及び暗号資産)の出金(出庫)を停止している一方、投資者からの財産の受入れや投資者との暗号資産取引を継続している。

その上で、投資者の資産保全について、資産の”国内保有命令”を下すとともに「投資者への周知徹底を適切に行うとともに、投資者への適切な対応に配慮すること」を指示した。

また、仮想通貨レンディングプラットフォーム大手のBlockFiも、今回の騒動の影響を受け出金凍結を発表している。

理由として挙げたのは、FTXの財務状況の不確実性だ。BlockFiの共同設立者であるFlori Marquez氏によれば、米国法人であるFTX USから4億ドルの融資を受けている。

同社は、今年5月に発生したアルゴリズム型ステーブルコインUST(TerraUSD)の崩壊とテラ(LUNA)暴落に伴い破綻した大手VCのThree Arrows Capital(3AC)によるビットコイン借り入れ先にあたり、多額の被害を被るなど暗号資産業界のカウンターパーティーリスクが顕在化していた。

関連:仮想通貨市場に激震、アラメダショックとFTX騒動の動向まとめ

関連トークンや企業に波及

そのほか、アラメダリサーチの投資先企業やFTXの株主にも多大な影響を及ぼしている。

大手ベンチャーキャピタルである米セコイア・キャピタルは、すでにFTXの保有株式評価額をゼロにする減損処理を実施。過去に傘下のグローバル・エクイティ・ファンドから2億1400万ドル規模の出資をしたとされる。

同ファンドは、セコイアキャピタルのテクノロジー投資を公開市場に拡大するため2009年に設立された。2015年から仮想通貨関連企業のエクイティ(株主資本)投資および関連トークン購入を実施しており、ポートフォリオにはFTXのほか、Fireblocks(カストディ)、StarkWare(L2技術企業)、Filecoin(FIL)などが含まれる。

セコイア・キャピタルはこの件について、「投資時点で厳格なデューデリジェンスプロセスを実行しており、FTXは2021年には10億ドル相当の収益と2.5億ドル以上の営業利益を生み出している」「FTXへのエクスポージャーは限定的であり、減価償却分は同ファンドの運用利益分とすでに相殺した」などと声明を出し、早期の懸念払拭に努めた。

そのほかFTXの資金調達ラウンドに参加した投資家には、最大手資産運用会社ブラック・ロックやシンガポール政府系ファンドのテマセク、カナダ3番手のオンタリオ州教職員年金基金、ヘッジファンド運営会社タイガー・グローバル・マネジメント、ソフトバンクグループなどが含まれるとみられる。

アラメダおよびFTXが破綻した場合、出資企業の多くが債権回収不能となる可能性が指摘されており、暗号資産(仮想通貨)市場だけでなく株式市場にも少なからず影響を及ぼすおそれがある。

関連:流動性危機を抱えるFTX、投資先プロジェクトや出資企業まとめ

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