CPI発表を受け、株やビットコインなどリスク資産が暴落

マクロ経済と金融市場

13日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比1276ドル(3.9%)安、ナスダックは632ドル(5.16%)安と急落した。

高い注目を浴びたCPI(米消費者物価指数)が前年比8.3%上昇となったことがネガティブサプライズとなり、リスク回避売りが膨らんだ。

直近では原油、及びガソリン価格の高騰が一服、下落に転じていたことなどからインフレ指数が次第にピークアウトするとの観測が出ていた。これを根拠に買い戻し意欲を強めていた矢先にあって、市場予想の前年同月比8.1%を上回ったことは、投資家の動揺を招いた。

今年8月のジャクソンホール会議のパウエル議長講演では、目先の景気よりも物価安定を最優先課題と位置づけ、金融引き締めの”長期化”を辞さない構えを示したことから、株や暗号資産(仮想通貨)などリスク資産の大幅下落につながった背景がある。

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これまで、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)では3回連続の75bpsの金利引き上げが濃厚とされてきたが、金利先物市場では、過去前例のない100bpsの追加利上げを織り込み始めた。一夜明けて0%から36.0%まで急上昇している。

CME FedWatch Tool

インフレ(物価高)上昇ペースに対して、FRB(米連邦準備制度)が注力するインフレ抑制効果が十分に機能していないことを示唆したことは、弱気トレンドの続く金融市場の底入れ期待を遠ざけた格好となり、多くの個人投資家にとっても痛手と言えそうだ。

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仮想通貨市況

CPI発表を受け、ビットコインも前日比8.1%安の20,384ドルと急落した。

BTC/USD 日足

ここのところは日足レベルのダブルボトムから上昇に転じていたが、22,500ドルの水平線や中期トレンドライン、一目均衡表の雲上などの上値抵抗線を抜けられずに大陰線を付ける形となった。

BTCマイナーは強気

一方、ビットコインマイナー(採掘業者)はここ最近でも強気姿勢を維持しており、収益性を維持できるかどうか試練の刻を迎えている。

今年5〜6月の暴落局面では、採算割れしたマイナーの”降伏シグナル”を示す大規模な売りが広範に渡って観測された。利益が減少する中、運用コストをカバーするために保有BTCの売却を余儀なくされるからだ。

この点について、ナスダックに上場するマラソン・デジタル・ホールディングスのCEOは、「相場の逆境に耐え得る十分な資本力を有し、強い立場から運営できるマイナーは、淘汰されゆく業界でむしろ恩恵を受けやすい」「まだ納品されていない最新鋭の採掘マシンが準備段階にあるほか、マイニング施設への追加投資でハッシュレートの大幅引き上げによるシェア拡大も視野にある」と、強気の見通しを示した。

ビットコイン(BTC)ディフィカルティー(採掘難易度)は、前回の9.26%から3.45%上昇し、4回連続でプラス調整となった。

btc.com

今夏には、電力需要のピーク時に酷暑による節電需要の影響で一部マイナーがに応じてマシンの稼働を止めたこともあり、マイニングの難易度が一時大幅下落する局面もあった。

関連:米テキサス州、仮想通貨採掘企業が事業を一時停止 電力需給が逼迫

週平均ハッシュレート(採掘速度)は、232.08(EH/s)の過去最高を記録した。

アルトコイン相場

イーサリアム(ETH)が前日比6.0%安となるなど、主要アルトも全面安となった。

大型アップグレードであるThe Merge(ザ・マージ)予定日は、9/15(木)13:22頃に迫る。

Google

イーサリアムのマージを経てアルゴリズムがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)→PoS(プルーフ・オブ・ステーク)へと移行することにより、エネルギー効率が99%向上することは、伝統金融のプレイヤーの参入障壁を緩和し、新規マネー流入の呼び水となるとの見方がある。

PoSとは

PoSとは、保有(ステーク)する仮想通貨の割合に応じて、ブロックを新たに承認・生成する権利が得られるコンセンサスアルゴリズムのこと。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

デジタルサミット2022に登壇したイーサキャピタルのブライアン・モソフ最高経営責任者(CEO)は、「数多くのファンドや機関投資家の資金には、ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点が存在する」と指摘した。

一方、リスク面からイーサリアム(ETH)投資に慎重な向きも強い。

資産運用会社CoinSharesの週次レポートによれば、イーサリアムの投資商品への資金フローは、数週間に渡って流出超過が続いている。

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースで開発者サポートなどを担う「コインベース・クラウド(Coinbase Cloud)」は12日、イーサリアムのマージに関する潜在リスクについて、ブログ上で見解を述べた。

技術的リスク

技術的リスクについては、「仮想通貨の歴史上最も複雑で難しいアップグレード」と指摘。「これまでも技術面やソフトウェアでバグなどの不具合は数多く観察されてきた」と言及した。

イーサリアム新旧チェーンのマージ(統合)にあたり、合意レイヤーと実行レイヤーの2つのクライアントの実装が異なることも、難易度を引き上げる背景にあるという。

経済的リスク

また経済的リスクについては、イーサリアムチェーンを支えるマイナー(採掘業者)の問題を挙げた。

ディフカルティ・ボム(難易度爆弾)により、PoS移行を促すが、マイニング続行不能になることから一部マイナーはこれに反発。ディフカルティ・ボムの作動を止め、GPUを使用したPoWマイニングを続行すべく、チェーン分岐を伴うハードフォークを企てている。

関連:イーサリアムPoWフォーク:新トークン付与に関する「仮想通貨取引所」対応一覧表

同じPoW(プルーフ・オブ・ワーク)でも、ビットコインマイニングの場合はより強力なプロセッサである「ASIC」を使用するため「GPU」では対応できず、代替通貨のイーサリアムクラシック(ETC)の採掘が、一部マイナーの移転先の受け皿になるものと見られる。

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ブロックチェーン分析企業の米Chainalysisによると、イーサリアムはすべてのGPUマイニング・アクティビティの内97%を占めており、残りのすべてのGPUで採掘可能なコインの総時価総額は、イーサリアムの2%の41億ドルに留まる。

一方、イーサリアム上に構築されたdApps(分散型アプリケーション)は、正規版のイーサリアム(ETH)以外のサポートを否定しており、混乱を招く可能性もありそうだ。

この点を踏まえコインベースクラウドは、投資家がマージ前にイーサリアム(ETH)保有量を増やすため、DeFi(分散型金融)レンディングプロトコルでETHの借り入れ数と金利が急増している点を指摘。

これに伴い、Aaveプロトコルは、「ETHの借り入れを一時停止するガバナンス案」を96.18%の圧倒的多数で可決した。ETHの大半が貸し出されると清算取引が妨げられ、プロトコルが破綻するリスクが上昇するからだ。

Aaveプロトコルは、「ETHの借入金利が極端に高いと、債権トークンである「stETH/ETH」のポジションを解消することで価格偏差をさらに押し上げる可能性が高まり、追加の清算や破産が発生するリスクについても指摘している。

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