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ジャクソンホール会議とは パウエルFRB議長講演の注目ポイントは?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ジャクソンホールの注目点

年次経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、26日23時頃(日本時間)にパウエルFRB(米連邦準備制度)議長の講演が予定される。

40年来の高いインフレ(物価上昇)水準を抑制し、経済バランスの安定化を図るFRBは、金融引き締めペースを加速してきた。

特に8月はFOMC(連邦公開市場委員会)の開催がないこともあり、FRBの金融市場に対する長期的なスタンスを把握できるジャクソンホール会議に対する市場の関心は高い。

この記事では、ジャクソンホール会議におけるパウエル議長講演の注目点をまとめていく。

なぜ注目されているのか?

ジャクソンホール会議とは、毎年8月末にアメリカ・ワイオミング州のジャクソンホールで開催される年次シンポジウムの通称。主要国の中央銀行総裁や、財務大臣、学者、金融市場関係者が集い、金融政策について議論する。

歴代のFRB議長がジャクソンホール会議で重要な政策発表の場として活用しており、ここでの発言が金利や為替、株式市場に大きな影響を与えたケースもある。

ビットコイン(BTC)市場は、株式やその他のリスク資産と比較的密接に相関するようになっているため、暗号資産(仮想通貨)投資家やトレーダーもジャクソンホール会議の動向に注目している。

22年4月には、ビットコイン相場とナスダック指数の30日間の相関係数は、過去最高の「0.70」に達した。

関連:ビットコインと米株指数の相関係数(90日間)が過去最高水準に

金利が上がるとどうなるのか?

米国の中央銀行であるFRBが、金融政策で調節される「政策金利」の誘導目標を引き下げることを利下げ(金融緩和)、引き上げることを利上げ(金融引き締め)という。そして、株式や債券などのリスク資産は、一般的に予想以上の利上げにネガティブに反応する傾向がある(逆もまた然り)。

物価高の抑え込みを優先するためとは言え、FRBの利上げには景気を冷やす副作用を伴う。

金融機関の貸出金利等が上昇して借り入れコストが上昇(企業の資金調達の負担増)し、市中のマネーサプライ(通貨供給量)の低下を引き起こすほか、住宅ローンなど市民生活にも広範な影響を及ぼす。

また長期金利の急上昇は、企業価値の相対的な割高感などから、株価などリスク資産の下落を招きやすくなり、ビットコインなど暗号資産(仮想通貨)市場の連れ安要因となる。

背景には、ジョー・バイデンが大統領に就任した2021年1月以降、世界的なCOVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックという未曾有の混乱の中で米国のマネーサプライは約818兆円(6兆ドル)増加してインフレ率と株価をけん引した経緯がある。

現在では、ウクライナ情勢に伴う資源高などの影響もあり、過去最高のインフレ水準が常態化。インフレ抑制を掲げ、経済バランスの安定化を図るFRBは、2022年に4度の大幅利上げを実施するなど、金融引き締めペースを加速してきた。

パウエル議長の講演内容の見通し

米国のインフレ率は22年6月、40年ぶりの高水準の前年同月比9.1%に上るなど、目標インフレ率(2%)を大幅に上回っている状況にある。*インフレ率はCPI(消費者物価指数)の前年同月比上昇率で表される。

22年8月発表のCPI(22年7月度)でこそ、前年同月比9.1%→8.5%と減速。下落市場予想を下回ったこと、足元の原油価格の下落もありピークアウトが示唆されたことで、株やビットコイン(BTC)などのリスク資産は数週間に渡り、一時大幅反発した。

しかしながら、依然として異常事態と言える高い水準にあり、金融引き締めペースの緩和期待は時期尚早という見方が大勢を占める。パウエル議長はジャクソンホールで、インフレ抑制を目指して利上げを継続する決意をあらためて表明する(タカ派姿勢を示す)というのが、大方の見方だ。

米モルガン・スタンレーのAndrew Sheets氏は、「連邦準備制度理事会(FRB)の量的引き締めが9月から本格化する。」と指摘。「金利収入が株式のリターンを上回り、(ドル建て)現金保有の魅力が増している。」との見解を示している。 

米CoinbaseのDavid Duong機関調査責任者は、「FRB議長がより慎重なアプローチを取り、引き締めサイクルはまだ終わっていないと強調する可能性が高い」と指摘。「ビットコインは短期的に苦戦する可能性がある」との見解を示した。

一方で、ジャクソンホールでのパウエル議長の影響力に懐疑的な見方を示すストラテジストも。

シティグループのエクイティ・ストラテジストであるScott Chronert氏は、「パウエルFRB議長のタカ派発言を予想している人が多いが、マーケットはすでに織り込んだのではないか。来年のリセッション(景気後退)が予想される中、市場がどう反応していくかが焦点だ」と指摘した。

「政策金利が目標に達したとしても、すぐに真逆の緩和方面に舵を切る計画がないことも強調するだろう」との見解を示した。

パウエル議長講演の注目点

今回のジャクソンホール会議では、パウエル議長がどれだけタカ派(金融引き締め政策に積極的)的なスタンスに振り切るか、が注目点となっている。

今年7月のFOMC(FRBが開く金融政策会合)では、金利を75bp引き上げたが、警戒されていた100bpよりも低かったために、金融市場の一時的な買い戻しを誘った。

一方、積極的な利上げにより、経済成長への影響はすでに出始めている。講演ではリセッション(景気後退)に関する言及も予想され、利上げサイクル転換時期見通しに言及することがあれば、市場の警戒感をオフセットする可能性もあるだろう。

過去にはジャクソンホール会議が政策の重要な転換点となった年もある。昨年は、2021年内のテーパリング(量的緩和縮小)開始が発表されるなど、全体のメッセージがハト派だったことで市場に安心感が広がった。

関連:ムード一変でビットコイン急落、注目集まるFRB議長の経済見通し|bitbankアナリスト寄稿

FRB利上げによる過去の影響

BTC対ドルチャート(日足)出所:Trading View

22年7月26、27日

FOMCで75bpの利上げを実施(22年4回目)。政策金利の誘導目標は1.5~1.75%から、2.25~2.5%に引き上げられた。

FOMCでは異例となる2会合連続の75bp利上げも想定内、むしろ予想を下回った。パウエル議長が、FRBが今後数カ月で利上げペースを緩める可能性を示唆したことで、金融市場は上昇。

Mott Capital Managementの創設者で金融市場ストラテジストのMichael Kramer氏は、インフレがピークアウトに近づき、米国の利上げペースが鈍化して、23年3月に3.7%付近でピークを迎え、23年後半までその水準にとどまるとの見解。

22年8月17日

7月のFOMC議事録が公開されて、今後の利上げ継続が既定路線に。

インフレ率が2%に戻る道をしっかりと確保するために、その水準をしばらく維持することが適切と思われる

リスク資産のポジションを縮小する動きが広がり、BTCは前週比10%強下落し、ここ2カ月で最大の下げ幅となった。ジャクソンホール会議で、パウエル議長がタカ派に傾くという見方が拡がる。

「今後の利上げペースは鈍化するかもしれないが、利上げはまだずっと先で、しばらくは高止まりする可能性が高いと、パウエルが極めて明確に打ち出すと予想する。また、インフレ率が低下基調にあることが明らかになるまで、利下げは将来的にないことを明確に打ち出す必要がある」-Mott Capital Management、Kramer氏

なお、22年9月のFOMC会合では、7月と同程度(75bp)の利上げを行うとの予想が一般的で、先物金利市場では50%以上織り込まれている。(記事執筆時点)

CME FedWatch Tool

22年8月26日、FRB議長講演

FRBパウエル議長は26日23時(日本時間)、経済政策シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、政策金利を高い水準でしばらく維持する可能性が高いことを示唆した。

9月の利上げ幅について示唆することはせず今後のデータを見極めると述べる一方で、物価を安定させるには一定の時間が必要だとし、需給のバランスが安定するまでは強く対策を講じると説明。ある時点で利上げペースを緩めることが適切と述べるも、全体としてインフレ退治に向けて本腰を入れていく強い決意を示した。

講演後、市場はすぐには変化せず、パウエル氏のタカ派よりのコメントは市場に織り込まれていたかに見えた。しかし、積極的な利上げで高インフレを抑え込んだポール・ボルカー元議長が1979年にマネーサプライを絞り込むために政策金利を実勢レートに任せた事例を引用して「やり遂げるまでやり続けなければならない」と戒めるなど、インフレ警戒の強いメッセージが伝わるにつれて米株式市場が下落。TradingViewによると、ナスダック総合は-3.9%、S&P500は-3.4%で引けた。

BTC/USD, Nasdaq, S&P500 (5分足)出典:Trading View

株式とマクロ経済政策との相関が大きいことから、ビットコイン(BTC)を含む仮想通貨市場も全面的に下落。CoinMarketCapによると、26日にBTCは前日比-6%となる約278万円(20,199ドル)、イーサリアム(ETH)は-10 .7%となる約20.7万円(1,507ドル)の終値を付けた。

BTCとNasdaq、S&P500の相関係数(過去30日間)出典:The Block

ビットコインと株式との相関関係は、世界中でインフレが加速する中でFRBが初めて利上げを示唆した22年1月初旬から徐々に高まっている。

関連:米FRBパウエル議長、利上げ継続の意思を表明=ジャクソンホール会議

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