日銀は金融緩和策を堅持
日本銀行は28日、開催されていた金融政策会合にて、経済下支えの観点から大規模な「金融緩和」を続ける方針を固めた。
急速な円安の影響などについて、重点的に議論したものとみられる。
世界的にインフレ(物価高)が進む中、今年度の物価上昇率の見通しについては、今年7月に示した前回値の2.3%からさらに引き上げる方針だ。欧米諸国の10%前後ほどではないものの、国内のインフレ状況を示す「消費者物価指数(CPI)」は、前年同月比3%まで上昇している。
日銀は、インフレ(物価高)の抑制を重視して金融引き締め(利上げ)を加速する欧米諸国とは正反対の金融政策をとっていることから、外国為替市場では、利回り運用上有利なドルを買って円を売る投機的な動きも加速し、「円安・ドル高」が急進。1990年以来の円安水準となった。
これに伴い、日銀は24年ぶりの”為替介入”を余儀なくされた経緯がある。
これらの影響から、「欧米の中央銀行を中心とした潮流に合わせ、遅かれ早かれ金融引き締めに転じざるを得ない」との指摘もあるが、不用意に転換すれば日経平均株価の暴落を招くリスクも考えられる。日銀は今回、「現在の物価上昇は(企業の)賃金アップを伴っておらず、景気を下支えする必要がある」として、これを否定した格好だ。
金融引き締めによる金利引き上げはインフレを抑制できる一方、住宅ローンなど個人消費への影響や企業の資金調達時の借入コスト増大(住宅投資や設備投資への需要)などの観点から、景気を冷やすデメリットがある。
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