セキュリティ企業BlockSec、NFTレンディングParaspaceの2,900 ETH盗難被害を阻止 ハッキングを検出してフロントラン

Paraspaceへの攻撃を阻止

セキュリティ企業BlockSecは17日、NFT(非代替性トークン)レンディング「Paraspace」へのハッキングによる不正流出を阻止したことを発表した。フロントランにより、2,900 ETH(6.59億円)が悪意のあるアクターに渡る事態を防いだ格好だ。

Paraspaceは、複数のNFTを担保に「クロスマージン・レンディング」を提供する。22年12月にローンチしており、執筆時点にイーサリアムでロックアップされた資産総額(TVL)約180億円(1.39億ドル)を有す。

BlockSecは、Paraspaceの貸出契約に脆弱性があり、通常より少ない担保で仮想通貨の借り入れができていたと説明。攻撃者がローン担保の残高を任意に操作できる状態だったという。

同社は悪意のあるハッカーの犯行模様を監視する中で、ガス代が低いためにトランザクションが滞ったタイミングでホワイトハットとして介入。悪意のあるハッカーのコントラクトをコピーして、BlockSecがハッカーより早くParaspaceの資産を奪った格好だ。

その後、BlockSecは、ハッカーから保護するために先に奪った資産を、Paraspaceに返還するために連絡したという。

Paraspaceの公式ツイッターは、問題を調査しており、サービスを一時停止することを発表した。プラットフォームに預けられたNFTは安全だと加えている。

BlockSecのLei Wu共同創設者兼CTOは、ハッキング攻撃をリアルタイムで検知する自社プロダクトにより、Paraspaceの救出につながったと述べている。攻撃トランザクションを検出し、それらを自動的に防止するためにプログラムが発動するということだ。

BlockSecのプロダクトは、アービトラージボットの一種。ハッキングを検出し、フロントランを自動で発動するように設計されている。「Flashbots」により、ブロックチェーンのmempool(保留中の取引リスト)を介さずに直接マイナーにトランザクションを提出できる。

フロントランとは

(ブロックチェーンの)フロントランとは、mempoolで待機している取引を攻撃者が観察し、より高いガス料金の取引を自前で作成することで、元の取引より先に自分の取引を処理させる行為。

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BlockSecの活動

その後、Paraspaceを攻撃した人物はブロックチェーン上に記載するメッセージで、本攻撃手法を考案した権利を主張、約0.7ETHのガス代だけでも支払うよう要求した。

BlockSecのプロダクトは日々DeFiエコシステムをパトロールしている。17日には、Definixへの価格操作の攻撃を検出。17,000ドルの損失が発生したことを公表した。Definixの攻撃者はまず流動性の低い資産でスワップを繰り返し、恣意的な価格変動を引き起こして、裁定取引を行ったという。

2022年4月にBlockSecは、Saddle Financeの攻撃者に約5億円(380万ドル)が渡るのを防いだ。2月にはPlatypus Financeのハッカーが約3.1億円(240万ドル)を奪うのを阻止した。

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