ビットコイン相場に市場の迷い、バイナンス訴訟の影響懸念も
マクロ経済と金融市場
28日の米NY株式市場では、ダウは前日比37ドル(0.12%)安、ナスダックは52ドル(0.45%)安で取引を終えた。
クレディ・スイス・グループ(CS)やドイツ銀行をめぐる欧州市場の懸念後退や破綻したシリコンバレーバンク(SVB)の引受先確定などを受け、過度な金融不安はいくらか収まったものの、神経質な展開は続く。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.44%高の27,379ドルに。
27日には、CFTC(米商品先物取引委員会)が最大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスを提訴したことを受け急落する場面もあったが、26,000ドル台で下げ渋って反発した。米株指数同様、方向感に欠ける展開となっている。
CFTCの提訴は、米国において未登録のデリバティブ取引規則に違反したとするもの。
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CryptoQuantのアナリスト Eralp Buyukaslan氏によれば、今回の件に関する市場の動揺は限定的。
ビットコインの取引所ウォレットのネットフローは、FTXショックで暗号資産取引所からの大規模資金流出を招いた昨年11月と比較して落ち着いた推移を辿る。
また、バイナンスのデリバティブ取引における建玉では、CFTCのヘッドラインが流れた後に一斉にクローズするような動きはなく、大きな変化は見られなかった。
米SEC(証券取引委員会)がRipple社を提訴し、XRPの有価証券性について争われる裁判が佳境を迎える中、CFTCの訴状の中で、「ビットコイン、イーサリアム、ライトコインをコモディティ(商品)と定義」し、CFTCの管轄下にあると認めている点も着目される。
時価総額6位のXRPは、裁判結果が近いとの思惑をめぐり前日比11.2%高と続伸した。
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CFTCの見解は、ビットコインを除く暗号資産の大半を「Howeyテスト(投資契約の証券性判定)」基準に該当するとし、イーサリアムなどPoS通貨のステーキングサービスは有価証券であるとの見方を示す米SEC(証券取引委員会)の見解と矛盾するとの指摘もある。
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CFTCのRostin Behnam委員長は今月8日、米上院の予算公聴会でも「米商品取引法の下、イーサリアムはコモディティ(商品)に分類される」との主張を行った。
CFTC訴訟の懸念点としては、FTX破綻の影響もあり、以前にも増してバイナンスの規模が大きくなりすぎたことが挙げられる。
モルガン・スタンレーの調査によれば、23年2月に中央集権型の暗号資産取引所で売買されたビットコイン(BTC)取引高のうち8割がバイナンスが占めており、米国拠点のトレーディングデスクやマーケットメーカーの撤退を招けば、市場の流動性が目に見えて低下するおそれもある。
ベンチャーキャピタルCinneamhain VenturesのパートナーであるAdam Cochran氏は28日、「今回の訴訟を経て、業界最大手のバイナンスに致命的な打撃を与える可能性は十分あり得る」と指摘。強い懸念を示した。
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