仮想通貨取引所Bittrex、米国での事業を閉鎖へ
米Bittrex、規制の不透明さ背景に閉鎖
暗号資産(仮想通貨)取引所Bittrexは1日、米国の事業を4月30日に閉鎖すると発表した。規制の不透明さを主な理由として挙げている。
BittrexのRitchie Lai共同設立者兼CEOは次のように説明した。
現在の米国の規制や経済環境で事業を継続することは、採算が合わず不可能だ。
規制要件はしばしば不明確で、適切な議論や意見がないまま施行される。その結果、競争環境は公平ではないものになっている。
今後、Bittrexの経営陣は、グローバル版Bittrexが米国外で成功するために注力する計画だと続けている。なお、グローバル版Bittrexは、欧州、カナダ、南米などで運営しており、米国版Bittrexの閉鎖は、こうしたグローバル版の事業には影響しない。
今後の対応
米国版Bittrexの顧客資金はすべて安全に保管されており、身元確認を行った顧客は引き出すことができる。Bittrexは、2023年4月30日までにすべての資金を引き出すよう通知している。
より詳しくは、仮想通貨の出金で丸一日対応するのは、米国時間の2023年4月29日まで。法定通貨出金の最終期限は、電信送金では4月24日、ACH(自動資金決済センター)利用では2023年4月27日としている。
Bittrexは、予期せぬ遅延が発生した場合に備えて、できるだけ早く資金を引き出すことを推奨しているところだ。期限を過ぎると、ユーザーアカウントは無効となり、口座に残されている資金は、しばらくの間アクセスできなくなる可能性があるとする。
ユーザーは、4月14日までは取引を行うことができるが、この日以降の、オープンポジションはすべてクローズされ、保留中の注文はキャンセルされるとも説明した。
コインベースへの通知
米国の当局は最近、仮想通貨企業への法的措置を立て続けに行っているところだ。また、特に米証券取引委員会(SEC)について、明確なガイドラインを提示せずに、法的執行による取り締まりを行っているとして批判されてきた。
最近では、仮想通貨取引所コインベースが3月、SECから同取引所が証券法に違反している可能性を伝える文書を受け取ったと発表。上場している仮想通貨の一部や、ステーキングサービス「Coinbase Earn」などが対象に含まれていた。
コインベースは、どのトークンが有価証券に該当するのか質問してもSECは回答しなかったと主張。SECへの事業登録についても数か月に渡って提案を行ってきたが、SECは対応を拒んだとも説明している。
関連:米SEC、証券法違反の疑いでコインベースを調査 ウェルズ通知を送付
同月、SECは仮想通貨トロン(TRX)の創設者であるジャスティン・サン氏に対しても、未登録証券の販売や市場操作条項違反などで訴訟を起こしている。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します