スイスのツーク州、ビットコインによる納税上限額を2億円超に引き上げ
仮想通貨による納税上限を大幅引き上げ
スイスのツーク州は、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)による納税上限額を、約2.3億円(150万スイスフラン)にまで引き上げた。The Blockが報じた。
ツーク州は、2021年よりビットコインとイーサリアムによる納税の受付を開始。これまでは上限を約1,530万円(10万スイスフラン)としていたが、15倍にまで引き上げた形だ。
2021年にこの取り組みを導入して以来、ツーク州では約150件の仮想通貨による納税があり、総額は約3億円(約200万スイスフラン)に達した。
こうした前向きな経験に基づいて、ツーク州財務当局はこうした仮想通貨による新しい支払い方法を試すよう、企業や市民に呼びかけている。
2023年後半からは、税務当局が発行した納付書のQRコードをスキャンするだけで、仮想通貨で税金を支払うことができるという仕組みも導入される見込みだ。これにより仮想通貨での支払いがより便利になる。
ツーク州では、まず2016年から州都のツーク市でビットコインにより税金を支払えるようになった。その後、2021年2月より州全体で、ビットコインとイーサリアムによる税金納入を開始している。
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納税に際しては、同国の大手仮想通貨ブローカーBitcoin Suisseが協力しており、同社が納税者から支払われた仮想通貨をスイスフランに両替する仕組みだ。
ツーク市周辺は、銀行・金融の世界的な中心地であり、ブロックチェーン産業も盛んで「クリプトバレー」と呼ばれている。Bitcoin Suisseのダーク・クレーCEOは、次のようにコメントした。
ツーク州は長い間、仮想通貨業界にとって重要な拠点であり続けている。納税基準値の引き上げは、仮想通貨の導入において、ツーク州が主導的な立場にあることを改めて示している。
複数の自治体で仮想通貨受け入れ
スイスでは、ルガーノ市も仮想通貨への取り組みで知られている。ビットコイン、USDT、スイスフラン連動のステーブルコインLVGAを個人や企業の納税や、公共サービスなどの支払いに使えるようにしているところだ。
また、2023年末までには2,500超の店舗で3銘柄の決済を導入する計画である。すでにマクドナルドなどで仮想通貨決済を導入している。
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また、人口約8,000人以下の小さな町キアッソやツェルマットでもビットコインによる納税を受け付けている。ツェルマットでも、Bitcoin Suisseが両替を担当。支払われた仮想通貨をスイスフランに変換して、自治体の銀行口座に振り込んでいる。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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リヒテンシュタインも導入を計画
スイスの隣国であるリヒテンシュタイン公国も、ビットコインを公的サービスに対する支払いに利用できるようにすることを構想しているところだ。
受け取ったビットコインをすぐに、法定通貨スイス・フランに両替して受け取るとしている。具体的な導入時期へは言及していない。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します