EclipseがIBC対応ロールアップ「Cascade」を紹介、チェーン間資産移動のセキュリティを強化

IBCのセキュリティモデル

ロールアップ技術プロバイダーであるEclipseは24日、Inter-Blockchain Communication Protocol(IBC)の重要性を解説し、初のIBC対応ロールアッププロジェクト「Cascade」について紹介した。

IBCは、異なるブロックチェーン間のデータ転送(資産移動)を可能にする通信規格。コスモス(ATOM)エコシステム内で広く利用されており、執筆時点ではCosmosSDKをベースにした59種類のネットワークで活用されている。例えば、OsmosisやStrideのようなプロジェクトでは、IBCを利用して分散型取引やステーキングトークンの流動性を他のブロックチェーンと連携させることが可能。これにより、ユーザーはさまざまなブロックチェーン上でのデータや資産の移動を円滑に行うことができる。

IBCのセキュリティには二つの主要な要素がある。一つ目は各ブロックチェーンがその核となるプロトコルを正確に実行すること、二つ目はライトクライアントがデータの検証を行うことである。データ転送の役割を果たすリレーヤーがメッセージの正確な配信を担当するが、その他の点でIBCに信頼を要するポイントは存在しない。

このモデルは、既存のIBC対応ブリッジプロトコルHyperlaneや、ソラナ(SOL)やイーサリアム(ETH)対応のマルチチェーンブリッジプロトコルWormholeなどとは対照的である。これらのプロトコルでは、ブリッジ運用者のネットワークがセキュリティを確保することを信頼する必要がある。

Eclipseが開発しているIBC対応の初のロールアップはCascadeで、これはソラナの仮想マシン(Sealevel Virtual Machine)向けのロールアップソリューションである。開発者はソラナのアプリケーションをCascade上に構築し、コスモスエコシステムとシームレスに連携することが可能になる。

ロールアップとは

ブロックチェーンのトランザクションを集約し、効率化するための技術の一つである。これにより、大量のトランザクションを一つの「ロールアップ」トランザクションにまとめ、ブロックチェーンのスケーラビリティ(処理能力)を大幅に向上させることが可能となる。

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Cascadeは現在、InjectiveというCosmosSDKで構築されたレイヤー1ブロックチェーンのテストネット上で稼働しており、間もなくメインネットへの移行が予定されている。

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IBC対応ロールアップの可能性

また、既存のIBCリレーヤーがEclipseのロールアップ技術と連携できるよう、準備が進められている。さらなる将来のビジョンとしては、バリデータネットワークの分散化が計画されており、これにより様々なバリデータグループが参加できるようになる予定である。

Eclipseは、IBCの実装を通じて、異なるブロックチェーンネットワーク間のコミュニケーションを容易にし、セキュリティと分散性を維持しながら、ブロックチェーン技術の利用範囲を広げることを目指している。

EclipseのロールアップコンセプトはCascadeだけでなく、他のロールアッププロジェクトにも応用可能であると考えられる。ソラナ以外のブロックチェーンへの適用を通じて、次世代のインターチェーンロールアップの登場が期待されている。

CosmosSDKとは

Cosmosエコシステムの一部として開発された、ブロックチェーンフレームワーク。分散台帳上でのデータの整合性や順序を保証するコンセンサスエンジン「Tendermint」とIBCをベースにしたモジュール式のフレームワークで、カスタムブロックチェーンを簡単に作成できる。

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