日本政府、仮想通貨取引の追跡強化へ 新ルールを6月から施行

仮想通貨規制を強化

日本政府は23日、暗号資産(仮想通貨)に関する規制を強化する政令を閣議決定した。

これは犯罪収益の移転防止に関する法律等の改正で、国内ではすでに関連した案内が取引所からユーザーに送付された事例が確認されている。新しいルールは来月1日から施行されると多くの国内メディアが報道。金融活動作業部会(FATF)が提唱するトラベルルールを遵守し、マネーロンダリングなどに対する犯罪対策を強化することが狙いだ。

FATFとは

「Financial Action Task Force」の略で、マネーロンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)などを監督する国際組織のこと。提示するルールや勧告自体に法的拘束力はないが、加盟国に対して審査を実施し、AMLやCFTにおける非協力国リストを公開するため、大きな影響力を持っている。

▶️仮想通貨用語集

FATFは2021年8月に発表した第4次対日相互審査報告書で、日本を実質的な不合格と判断。これは仮想通貨だけを対象にしたものではなく、包括的な審査である。

この審査でFATFはAMLやCFTについて、仮想通貨を含めたリスクの高い分野に対処しようとしていると評価したが、日本の政策と戦略はAMLやCFTの活動に特化したものではないなどと説明し、全体的にまだ改善の余地があると指摘していた。

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日本の仮想通貨取引所は、これまで段階的にトラベルルールへの対応を進めてきたが、今回閣議決定された政令に対する関心は特に高い。それは、国内の取引所同士であっても、一部で直接送金ができなくなるからだ。

これは主に、トラベルルール対応で各取引所が採用するシステムが異なることが要因。現在、日本の取引所は採用するシステムが二分しており、例えばビットバンクからコインチェックには送金ができなくなる。この対応は、今回閣議決定された政令によるものだ。

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G7は模範を

FATFのトラベルルールは、今月にG7サミットが開催されたことでも注目された。FATFのラジャ・クマール議長はサミット開催直前の18日に、トラベルルールなどFATFの提唱する国際基準を、仮想通貨セクターで遵守徹底させるべきとする内容の文書を発表している。

クマール議長は、FATFの勧告が多くの地域で施行されていないとして、G7諸国は模範を示し、違法な金融取引が安全に行われるような場所が存在しないように仮想通貨セクターを規制すべきと主張した。

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G7は今回のサミットの首脳宣言に、以下の内容を記載している。

責任あるイノベーションを支援しながら効果的なモニタリング、規制および監視を行うことは、仮想通貨の活動や市場がもたらす、金融安定と健全性のリスクに対処し、規制の裁定を避けるために極めて重要である。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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