フルスタック開発者チーム「六人の侍」 テラ・エコシステムの復興目指す
Q3のロードマップと支出案
暗号資産(仮想通貨)テラ・クラシック(LUNC)の復興を目指す開発者チーム「六人の侍」は25日、同コミュニティに対し、第3四半期のロードマップと支出案を提出した。
「六人の侍」チームは、メンバー全員が、数十年のプログラミング経験を持つベテラン開発者であり、複数の技術領域に精通したフルスタックエンジニア。LUNCブロックチェーンに価値をもたらし、「エコシステムの真の復活」を成し遂げることを目的に結成されたという。
チーム共同リーダーの通称ビルボ・バギンズ氏は、LUNCには「無限の上昇の可能性がある」と主張。開発チームのスキルを最大限に活用することで、復興実現に貢献したいと述べた。また、チームメンバーは「熱心な」LUNC保有者であり、テラ・クラシック・ブロックチェーンの復活と分散化にコミットするコミュニティのメンバーでもあると付け加えた。
提案されたQ3のロードマップには、以下の重要な要素が含まれている。
- Columbus-5からColumbus-6への移行:アーカイブノードの同期時間の短縮とネットワークパフォーマンスの最適化
- Cosmos SDKの最新バージョンへのアップデート
- ステーブルコインUSTC(テラUSDクラシック)のテストネット構築
- アライアンス・モジュールの実装:チェーン間ステーキングを利用したクロスチェーンの利回りを可能に
- 手数料シェアモジュール:コントラクト開発者によるガス料金の一部の受け取りを可能に
プロトコルレベルでは、予算編成とキャッシュフロー管理を強化するため、コミュニティサブプールの創設を提案。また、分散型アプリ開発者のためのインセンティブとして、助成金や報奨金プログラムを計画している。
さらに、「Keplr」ウェブインターフェイスやCosmosブロックエクスプローラ「Mintscan 」にLUNCの掲載を働きかけるという。
チームはこのようなQ3の計画を実現するための開発予算として、約1,660万円(116,000ドル)を提案し、コミュニティの投票を求めている。
テラショックとその後の経緯
旧テラ(LUNA)は、アルゴリズム型ステーブルコインのブロックチェーン決済ネットワークとして開発された。同ネットワークのステーブルコイン旧TerraUSD(UST)は、昨年5月に米ドルとの価値との乖離(デペッグ)が発生し暴落。数日間のうちに99.99%の価値を失った。裏付け資産であった旧LUNAも大きく影響を受け、両方が暴落していくデススパイラルに陥った。
デペッグ騒動から復興を目指すテラは、新しいテラチェーンとなるテラ2.0の作成(ステーブルコイン発行なし)をコミュニティ投票で可決し、旧チェーンはテラ・クラシック(LUNC)とリブランディングされ、継続することとなった。
テラショックは仮想通貨相場の暴落と、大手ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)や融資企業Celsiusなどの連鎖破綻をもたらし、最終的には大手取引所FTXとアラメダリサーチの破綻へ向けての引き金となった。
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テラエコシステムを運営していたTerraform Labsの共同創設者Do Kwon氏は、新チェーンであるテラ2.0に人材とリソースを移すべきだとの立場をとっていたが、テラ・クラシックにも根強いファンとコミュニティがあり、今日まで存続している。
なお、米証券取引委員会(SEC)は今年2月、Terraform Labsとその創設者であるDo Kwon氏を、証券詐欺を指揮したとして提訴している。
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