イーサリアム共同創設者ブテリン氏、仮想通貨「Worldcoin」の課題を考察

Worldcoinの課題を考察

イーサリアム(ETH)の共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は24日、人間であることを生体認証で証明することに関して、自身の見解を公表した。

その中で、ChatGPT開発企業「OpenAI」のサム・アルトマンCEOらが進めるプロジェクト「Worldcoin」の課題を指摘。さらに、その課題を解決する方法を考察している。

Worldcoinは、世界中の人々に暗号資産(仮想通貨)を配布するという壮大な野望を掲げたプロジェクト。「Orb」という機器で目の虹彩をスキャンすることで個人を識別し、ユニークなID(World ID)を生成するという仕組みを立ち上げた。

WLDは24日にメインネットをローンチし、早速バイナンスやBybitなどの取引所に上場している。

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ブテリン氏がWorldcoinについて指摘している4つの課題は以下の内容。

  • プライバシー
  • 利用のしやすさ
  • 中央集権化
  • セキュリティ

プライバシーについては、Orbが目の虹彩をスキャンする仕組みに言及。もし、他人が誰かの虹彩をスキャンすると、他人が、その人物がWorld IDを持っているかをデータベースで確認できてしまう可能性があるとした。

利用のしやすさについては、Orbの数の問題を指摘。安心して世界中の人々がWorld IDを作れるようにするためには、非常に多くのOrbが必要になると主張した。

また、中央集権化については、Orbが安全に作られているかどうかや、バックドアが仕込まれていないかを検証する方法がないと指摘。ソフトウェアが完全で分散化していたとしても、「Worldcoin Foundation」がバックドアを作ることもできるとした。

セキュリティについては、ユーザーのスマートフォンがハッキングされる可能性を指摘。そこで強制的にスキャンを行うよう誘導されれば、虹彩の盗難も起こりうると述べている。

解決策も考察

ブテリン氏は上述した4つの課題について、それぞれ解決策を考察した。例えば、プライバシーの漏洩のリスクには、生体認証に限らず、どんな仕組みにもゼロ知識証明を活用できるなどと説明している。

ゼロ知識証明とは

証明(Proof)プロトコルの一種。証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズムを指す。

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また、解決策を考察するだけでなく、人間であることの証明について、別の認証方法もあると指摘。その1つとして「ソーシャルグラフ」に基づいた認証があると述べた。

ソーシャルグラフとは、互いに影響し合う人と人との結びつきのこと。ブテリン氏は、1人のIDを認証してくれる既存の認証済みIDが多くあれば、その1人のIDも認証されるという方法もあると指摘している。そして、ソーシャルグラフには機器が不要であることなど、Worldcoinと比較した場合のメリットも紹介した。

なお、ブテリン氏はWorldcoinを一方的に批判しているわけではない。今回の文章の冒頭では、Worldcoinの議論に応じてくれたとして、Worldcoinのチームらに感謝を述べている。

そして最後には、これから人間であることの証明の全手段が発展していくことを楽しみにしているとし、様々なアプローチが最終的に結束していくことを望んでいると結んだ。

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画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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