バイナンスUS、仮装売買でビットコイン取引量を水増しか バイナンス側は否定=WSJ報道
ビットコインの仮装売買の可能性
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスの米国部門「バイナンスUS」におけるローンチ直後の取引は、同社の内部による仮装売買(ウォッシュトレード)だった可能性が浮上した。内部のメッセージのやりとりを確認したという「Wall Street Journal(WSJ)」が24日に報じた。
2019年のローンチ直後、バイナンスUSでは最初の1時間で7万ドル(現レートで990万円)相当のビットコイン(BTC)が取引されたという。しかし、WSJは、バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOが「この取引は我々が行ったものだと思う」と述べたという情報を入手。一方、バイナンスはこの報道内容を否定している。
ウォッシュトレードは、売買が繁盛に行われていると他の投資家に誤解させて取引を誘引する目的で実行されるトレードのこと。具体的には同一人物や関係者が同じ資産の売買両方の注文を行うことを指し、権利移転を目的としない。
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バイナンスUSのウォッシュトレードについては、先月に米証券取引委員会(SEC)が、同社らを訴訟した際に指摘。SECは「少なくとも2019年から2022年6月まで、CZ氏が管理するトレーディング企業Sigma ChainがバイナンスUSで、仮想通貨証券の取引量を水増しするためにウォッシュトレードを行っていた」と主張している。
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SECは訴状でビットコインを有価証券の例としては挙げていないが、バイナンスUSにウォッシュトレードを監視するために必要な仕組みは実質上なかったと指摘。訴状によれば、Sigma ChainはCZ氏の指示によって運営されている。
バイナンスとは
取扱銘柄や取引高、登録者数が非常に多い大手仮想通貨取引所を運営。他にもベンチャーキャピタル部門の活動や教育コンテンツの提供、慈善活動など幅広い事業を展開している。22年11月には、日本市場への進出を発表した。
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バイナンスのコメント
バイナンスUSの担当者は今回の件について、WSJに以下のようにコメントした。
我々は、ウォッシュトレードに関するSECの主張には、全く根拠がないと考えている。
SECは、事実を誤解し、法を誤用している。
また、バイナンス本体の担当者は「CoinDesk」に対し、以下のように述べた。
バイナンスは、利用規約違反であるウォッシュトレードを行わないし、認めもしない。これまでウォッシュトレードを行ったことは一度もない。
我々には、マーケットを監視する専門チームがあり、ウォッシュトレードなどの不正行為をチェックしている。
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