コインベース、過去の出来高水増し等で約7億円の罰金支払い
米CFTCは19日、暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースが過去にウォッシュトレードなど出来高を水増しの疑いや「無謀で虚偽、そして誤解を招く不正確な報告」を行なったとして、ペナルティーとして650万ドル(約7億円)の支払いを命じた。今後、同様の違反を犯さないよう再発防止に関する命令も発している。
CFTCの令状によれば、2015年1月から2018年9月にかけ、コインベースがビットコイン(BTC)など仮想通貨の取引量に関して「無謀な形で虚偽、そして誤解を招く不正確な報告」を行なったと指摘。コインベースの自動トレードプログラム「Hedger」と「Replicator」の生成したトレードがお互いとマッチして、出来高が膨れ上がった点などを指摘した。
このような取引情報が市場参加者に利用されるため、CFTCはコインベースがビットコインを含む仮想通貨の流動性に関する虚偽で、誤解を招く情報を公開する形になったと説明した。
ウォッシュトレードを行った元従業員も
さらにCFTCはコインベースの元従業員が2016年8月から9月にかけて、欺瞞的なデバイスを用いて意図的にライトコイン/ビットコインの取引ペアで売買注文を行い、ウォッシュトレード(売買を故意に約定させる行為)を行なったと指摘。ライトコインの流動性(出来高)が実際よりも高いと見せ、トレードの注目度を意図的に偽ったとして、コインベースが代位責任を負うべきだとした。
ウォッシュトレードとは
売買が繁盛に行われていると他の投資家に誤解させ、取引を誘引することを目的として、同一人物が同じ時期に同じ価格で売買両方の注文を発注するといった、権利の移転を目的としない取引のこと。株式などの投資取引においては日本の金商法に違反する違法行為である。
CFTCの執行部長代理Vincent McGonagle氏は以下のようにコメントしている。
虚偽で誤解を招く不正確な取引情報はデジタルアセットの価格決定の真正性を損なうことに(繋がる)。今回の取り締まりは当機関がそのような情報の完全性と透明性を守るために行動することも示す。
ナスダック上場も4月に延期へ
またコインベースの匿名筋によると、当初3月に予定されていたナスダック(NASDAQ)へのDPO(直接上場)は4月に延期されたということをブルームバーグが報じた。これまでにも直接上場はNYSE(ニューヨーク証券取引所)では行われてきたが、ナスダックでは初の事例だ。
先週コインベースが米SEC(証券取引委員会)に提出し直した申請書類(S1)フォームでは、発行される株式の登録数が114,850,769(約1.15億)に設定されていたことがわかっていた。
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CFTCからの出来高水増しに関する罰金の支払いは上場を控えるコインベースにとっては痛いタイミングだが、S1書類には捜査の状況が記されており、報告されていた内容となっている。
米国では最大手の仮想通貨取引所コインベースの上場事例は、同じく上場を目論むクラーケンなど他の仮想通貨企業の事例にも影響を及ぼす可能性がある。