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商流と金流の融合でB2B決済を変革、トークン化預金と地方DXの可能性を議論|MoneyX 2026

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

オンチェーン時代のB2Bモデルとは

次世代金融カンファレンス「MoneyX 2026」が2月27日、東京・ザ プリンス パークタワー東京で開催された。

「商流が変わる、金融が変わる――オンチェーン時代のB2Bモデル」と題したセッションでは、ブロックチェーン・トークン化預金・AI決済という技術が交差する企業間決済の現在と未来について、金融・IT業界の実務担当者が議論を展開した。

登壇者は以下の通り。

  • 平子恵生(株式会社ディーカレットDCP 取締役 副社長執行役員 COO)
  • 小野沢宏晋(GMOあおぞらネット銀行株式会社 執行役員)
  • 岩田悟(株式会社ミロク情報サービス 営業本部 DX事業戦略室 DX事業グループ 参与)
  • 関口慶太(日本経済新聞社・NIKKEI Financial副編集長)※モデレーター

日本の企業決済1000兆円、いまだデジタル化されず

モデレーターの関口氏は冒頭、「日本の企業決済は約1000兆円規模に上るが、そのほとんどがいまだデジタル化されていない」と指摘し、トークン化預金やステーブルコインによる変革の重要性を強調した。

ディーカレットDCPの平子氏は、同社が提供するトークン化預金プラットフォーム「DCJPY」について説明。銀行の預金そのものをオンチェーン化し、B2B決済に活用する仕組みを紹介した。

「銀行と取引先の事業会社が、同一チェーン上でリアルタイムに決済を行える環境を整えていく」と述べ、GMOあおぞらネット銀行とともにDCJPYの発行を進めている現状を報告した。

「商流と金流の融合」で業務自動化へ

GMOあおぞらネット銀行の小野沢氏は、B2B領域における資金決済の課題として、発注・受注・照合・支払いといった一連のプロセスに多くの人的コストが発生している点を挙げた。

「トークンの動きと資金の流れを連動させることで、業務プロセスをプログラムとして埋め込み、自動化できる」と語り、いわゆる「商流と金流の融合」が実現する世界観を示した。また、新規市場の開拓にあたっては「間に立つ企業と組み、そこを通じてサービスを展開する」アプローチを採用していると説明した。

平子氏は具体的な実証例として、システム開発会社と個人事業主間の発注・請求・支払い業務をDCJPYでオンチェーン化した概念実証(PoC)を昨年12月に完了したと明かした。「請求書の発行から入金回収、最終的な仕訳記帳まで全工程を自動化できる。2026年内の商用化を目指す」と述べた。

地方中小企業の内部業務を直撃する人手不足

地方DX(地方のデジタル化)の現状についてミロク情報サービスの岩田氏は、地方中小企業のデジタル化が遅れる要因として、「DX推進担当者の不在」と「IT投資に対する意識の低さ」の二点を挙げた。

「IT投資をコストとして捉える傾向が強く、積極的な取り組みが進みにくい。地方銀行によるサポートが大きな役割を果たす」と述べ、ERPベンダー(企業資源計画システムの提供会社)としても企業のDX推進に伴走する姿勢を示した。

平子氏は地銀からのヒアリングとして、「地方中小企業では、請求書の発行・受領・支払いといった内部業務を担う人材の高齢化が深刻で、後継者不足による事業継続リスクが生じている」と現場の実情を紹介。トークン化預金とAIを組み合わせることで、こうした内部業務を一気通貫で自動化できると強調した。

AIエージェントが決済を代行する時代へ

セッション後半では、AIと決済の融合というテーマも議論された。

小野沢氏は「AIフレンドリーな銀行になることが求められる。AIエージェントからの取引をきちんと受け止められる金融インフラが必要だ」と述べ、B2B領域においてAIが発注条件の交渉から支払い実行までを担う世界観が近づいていると語った。

岩田氏は、売掛金の回収優先順位の最適化やキャッシュコンバージョンサイクルの効率化など、資金管理領域でのAI活用に大きな可能性があると指摘した。

平子氏はより踏み込んで、「AIエージェント同士が商取引の条件を相談・決定し、その結果をトークン上でやり取りして最終決済までプログラムで完結させる世界が来る」との見方を示した。

クロスボーダー決済への展開も視野

セッション終盤では、トークン化預金による国際送金(クロスボーダー決済)の可能性についても議論が及んだ。

平子氏は「銀行間であれば既存のAML/CFT(マネーロンダリング防止・テロ資金供与対策)の枠組みを維持しながら、ブロックチェーン上で24時間365日のリアルタイム決済が実現できる」と語り、すでに具体的なパートナーシップを通じてクロスボーダー決済の取り組みを進めていることを明かした。

岩田氏はERPベンダーの視点から、「大手ベンダーはデジタル通貨をすでに決済手段として取り込んでいる。日本のERPも商流から金流までリアルタイムで一体化できる仕組みへの対応を急ぐ必要がある」と警鐘を鳴らした。

モデレーターの関口氏は、「B2BもB2Cも、コストが安く使いやすい決済手段として、3年後にはトークン化預金が当たり前に使われている世界になっているだろう」と締め括り、セッションを終えた。

MoneyXとは

MoneyXは、ステーブルコインの正式認可が切り拓く「通貨の新時代」をテーマとした次世代金融カンファレンス。国内外から金融業界の有識者、大手金融事業者、スタートアップ、投資家、規制当局が集結し、技術革新・制度設計・社会実装をめぐる議論を展開する。参加登録は無料・承認制。

日本最大のWeb3カンファレンス「WebX」を主催するWebX実行委員会が主催し、JPYC、Progmat、SBIホールディングス、CoinPostが企画・運営に携わる。

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