米サークル社CEO、PayPal参入や事業情況を語る

USDCの時価総額は減少中

ステーブルコインUSDCoin(USDC)を提供する米サークル社のジェレミー・アレールCEOは、事業の状況やPayPal参入など競争激化について話した。ブルームバーグが10日に報じた。

豊富な利息収入や、バランスシート上にある約1,450億円(10億ドル)の現金を活用して事業に投資していきたいとしている。

CoinMarketCapによると、USDCの時価総額はステーブルコインの中では、依然として2位にランクインしているものの、2023年1月の約6.5兆円(約450億ドル)から7カ月で、現在は約3.8兆円(約260億ドル)にまで減少している。

また、首位のUSDTは時価総額が約12兆円(約835億ドル)で大差をつけられているところだ。アレールCEOは、時価総額下落の原因について、次のように話した。

旧テラエコシステムの崩壊は、私たちのステーブルコインにとっては後押しになった。バイナンスの方針転換にはダメージを受けた。FTXの破綻は私たちにとって、ある程度追い風となったものの、その後、銀行の破綻も私たちにダメージを与えた。

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは2022年9月、独自ステーブルコインBinance USD(BUSD)の普及を促進するために、競合するUSDコイン(USDC)、パックスドル(USDP)、トゥルーUSD(TUSD)の取引などを停止。ユーザーの口座に残っていたこれらのトークン残高を自動でBUSDに変換した経緯がある。

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今年3月、サークル社は提携先だったシリコンバレー銀行が事業停止した際、同行に約4,780億円(33億ドル)の電信送金が未処理のまま残されていることを公表。このため一時的にUSDコインは米ドルとのディペッグを起こしていた。

ディペッグは一時的なものだったが、サークル社は提携銀行の破綻により、資金をBNYメロン銀行に移管するなどの対応を迫られた。

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PayPal参入を歓迎するコメント

アレール氏は、PayPalの参入については、競合する企業が増えるのは素晴らしいことで、今後も、あらゆる種類の金融サービス会社などが参入し、社会でステーブルコインが広く普及していくことを期待するとの趣旨で発言している。

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USDCの時価総額は下落傾向だが、サークル社はドル預金や短期国債など、ステーブルコイン裏付け資産からの利息収入によって収益の大部分を生み出しており、その額は金利上昇の恩恵も受けて増加しているところだ。

サークル社の、今年上半期(1~6月)の収益は約113億円(7億7,900万ドル)で、この数字は、2022年通年の約112億円(7億7,200万ドル)をすでに上回っている。また、サークル社のバランスシート(USDC裏付け資産以外のものとして)には6月時点で約1,450億円(10億ドル)以上の現金が存在している。

アレール氏は、こうした収益を資金源として活用し、投資を行い、新たな収益源や製品を構築し、国際展開を実行していきたいと話した。

デジタルウォレットサービス

サークル社は8日、新たな製品として、開発者向けのデジタルウォレットサービスを発表したところだ。

ベータ版はイーサリアム(ETH)、アバランチ(AVAX)、ポリゴン(MATIC)に対応しており、Web3開発者が、アプリなどに簡単にデジタルウォレットを組み込めるようにする。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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