MakerDAOのステーブルコイン「DAI」、時価総額7千億円に到達
金利引き上げ戦略が成功
DeFi(分散型金融)大手MakerプロトコルのステーブルコインDAIは、今月だけで時価総額が約1,450億円(10億ドル)近く上昇し、現在約7,250億円(50億ドル)を超えている。
金利を引き上げることによってエコシステムのユーザーを増やすという戦略が狙い通りに功を奏した形だ。一方、DAIをロックすることで金利を獲得できる「Dai Savings Rate(DSR)」という機能で、利率は20日より8%から5%に引き下げられている。
この背景には、DAIをロックすることで獲得できる金利を一時的に3.19%から最大8%に増やす提案がコミュニティ投票で承認され、7日から導入されていたことがある。
当初より、金利引き上げは一時的な措置とされていた。金利は、DSRの利用率が高くなるにつれて下がっていくという仕組みだ。
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一方で、この方針については、利上げによりDAIプロトコルの支払利息が膨らみ利益が低下するとの指摘もされていたところだ。5%への引き下げは、こうした懸念に対処するものともなる。
8%の金利を5%に下げることを盛り込んだ提案は18日に承認され、20日より実施されている。
これを受けて、DSRへのDAI預入額は、20日に約15億DAIでピークに達してから低下、現時点で約11億DAIへと縮小した。
大口の預け入れ者の何人かも、金利低下の後に資金をDSRから償還している。暗号資産(仮想通貨)トロン(TRX)の創設者であるジャスティン・サン氏も、約2億DAIをDSRから引き出したようだ。
ただ、金利引き上げ策を導入する前のDSR預け入れ額は約3億DAI程度だったことを考えると、現時点でこの水準の3倍以上を維持している格好だ。
また、ステーブルコインDAIの時価総額は8月1日時点で約6,670億円(約46億ドル)だったが、現24日時点で約7,690億円(約53億ドル)に達している。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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「Spark Protocol」も活発化
なお、DSRの利率上昇でエコシステムへの参加者が増えたことで、DAIを中心としたDeFi(分散型金融)融資プラットフォーム「Spark Protocol」も活発化している。
8月6日よりわずか一週間ほどでSpark Protocolへの預入総額を示す「Total Value Locked(TVL)」は7倍近く上昇し、約650億円(約4.5億ドル)に達した。なお、DSRの利率が5%に下がった後、現24日時点でのTVLは約420億円(約2.9億ドル)だ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します