大手企業ウォレットから仮想通貨取引所に40億円相当の入金、市場で売却の警戒感高まる
ウォレットからの高額資産の移動
破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXによる、最大で5,000億円相当の保有資産の売却可能性に市場が警戒感を持つ中、暗号資産市場は11日夜に急落を見せた。ビットコイン(BTC)は過去24時間で3%の価格下落を記録し、3,700,515円となった。
その後、大手トレーディング企業らが大量のBTCやイーサリアム(ETH)などを仮想通貨取引所に入庫したことが明らかになった。その総額は40億円程に上り、さらなる売却について市場は警戒感を強めている。
ブロックチェーンデータの専門家であるArkham Intelligenceなどによると、資産移動の詳細は以下の通りだ。
1. Abraxas Capital(英投資会社)
– 移動した資産:14,130 ETH
– 該当時の価格:約33億円
– 移動先:Bitfinex
2. Jump Trading(自己勘定取引会社)
– 移動した資産:約236 BTC
– 該当時の価格:約8.6億円
– 移動先:Binance
3. Wintermute(自己勘定取引会社)
– 移動した資産:ARBトークン
– 該当時の価格:約5億円
– 移動先:Binance
大規模な資産を取引所に移す行為は、その後の売却を予兆させ、投資家の不安を煽る傾向がある。事実、ETHは4.3%下落し、今年3月以来の最低価格を記録。ARBも1日で10%の価格下落を見せた。
一方で、これらの動きは、マーケットメーカーによる取引所市場への流動性提供を目的としたものである可能性も考えられる。マーケットメーカーは、価格差(スプレッド)を埋めるために市場に流動性を提供しており、特に価格変動が激しい市場では、市場の安定性と効率性を高める役割を果たしている。
FTXの資産清算については、仮想通貨運用企業Galaxy Digitalが資産売却を代行する形となる見込みで、米デラウェア州裁判所に毎週最大1億ドル(146億円)、場合によっては2億ドル相当のトークンを売却する提案が出されている。この件に関する裁判所の決定は、米国時間13日に下される予定だ。
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大型投資家の動向とBTC価格への影響
機関投資家の動向は、市場に大きな影響を与えるとされる。Bitfinexの分析によれば、短期的なビットコイン投資家の動きが、価格の変動のサインとなることが確認されている。
具体的には、2023年8月17日にビットコインが12%急落し、25,000ドルに近づいた日に、1年以上動かされていなかったビットコインの供給量が1345万BTCから1332万BTCへと減少。この供給量の変動とビットコインの価格動向には約0.730の相関が認められた。
Bitfinexは、BTCの短期投資家の売却行動は、利益を得るための一過性のものであり、弱気への心理変化ではないと主張していた。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します