バイナンス、SECによる証言取得の制限などを要請 進行中の裁判で
SECへの証拠開示範囲の限定を求める
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは11日付けで、対米証券取引委員会(SEC)との訴訟において、証拠開示の範囲を限定するための保護命令を発することを、裁判所に要請した。
SECの証拠請求は「広範すぎる」また「過度に負担のかかる」ものであるとして、SECによる証拠開示活動を制限することを目的とするものだ。
具体的には、バイナンスUSの運営会社であるBAMトレーディングは、SECによるバイナンス従業員の証言録取を4件のみに制限することを求めている。
また、ブライアン・シュローダー前バイナンスUS・CEOとジャスミン・リー最高財務責任者(CFO)を含む6人の証人に対する、SECの証言録取請求を取り下げることも求める格好だ。
ブライアン・シュローダー氏は12日にバイナンスUSを退社し、現在は最高法務責任者のノーマン・リード氏が一時的に同社CEOに就任しているところだ。バイナンスUSは同時に、従業員の3分の1を解雇することも発表している。
バイナンスUSは、この動きについてSECによるバイナンス提訴が事業に影響したものだと説明した。「仮想通貨業界の発展を妨げようとするSECの試みは、米国の雇用とイノベーションに実際に影響するものであり、今回のことも一例」であるとSECを批判している。
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SECとは
「Securities and Exchange Commission」の略。株や債券など証券の取引を監督する米政府機関のこと。SECのミッションは「投資家を保護すること」「公正で秩序のある効率的な市場を維持すること」「資本形成を促進すること」である。
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SECが元の従業員に働きかける可能性
SECのインターネット執行部門長として働いていた経歴のあるジョン・リード・スターク氏によると、同氏がSEC執行部門で約20年間仕事をする中で、今回と類似の文脈で、裁判所がSECによるCEOやCFOの証言聴取を拒否した事例はないという。
また、シュローダー氏が退社したことは、SECが証拠を収集する上で有利に働く可能性もあると見解を述べた。
特にシュローダー氏が刑事訴追を恐れている場合や、バイナンスに何か不満を持っていた場合には、SECや米国司法省が、この裁判で同氏の協力を得られるかもしれないと推測する形だ。
それに加えて、SECや米司法省は、解雇されたバイナンスの従業員に接近して協力や証言を要請するなど、機密情報を収集することもできると指摘した。米司法省は、すでに他の元バイナンス従業員に対して捜査協力を求めているだろうとも意見している。
提供した情報によってはSECから報奨金を受け取れる可能性もあるので、バイナンス従業員の中から、SECへの内部告発者が現れるかもしれないとも述べた。
極秘扱いで裁判書類を提出
SECは8月28日に、バイナンスに対する訴訟で、一連の申し立て書類を機密扱いで提出することを求める文書を提出した。進行中の司法捜査に関わる書類を機密とするのではないかとの見方もある。
その後、SECとバイナンスは、機密扱いで裁判書類を提出することに同意した。
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