中国フィンテック大手アントグループ、仮想通貨セクターへの投資から撤退か
A&T Capitalの株式を売却
中国アリババグループのフィンテック関連企業アントグループは、A&T Capitalの株式約148億円(1億ドル)を売却した。暗号資産(仮想通貨)セクターへの投資から撤退する姿勢を示唆する動きとみられている。ブルームバーグが報じた。
A&T Capitalはアントグループの支援の下、2021年4月に設立された投資企業。同グループの仮想通貨セクターとの関わりにおいて中心的な役割を果たしてきた。これまでにMatrixportやConsenSysなど様々な仮想通貨企業に出資している。
アントグループはA&T Capitalから資本を引き上げた理由を明らかにしていないが、A&Tの創業パートナーであるユ・ジュン氏は、数か月前に職場でのセクハラ疑惑などにより取締役会を辞任し、その後当局の捜査を受けた経緯がある。
また、仮想通貨市場の低迷やAI(人工知能)分野への注力、AlipayやWeChat Payなどの人民元ベースのフィンテックサービスなどの状況を鑑みて、優位性を失ったとの経営判断が働いた可能性もある。
ブロックチェーン企業の資金調達は縮小中
仮想通貨市場の停滞により、ブロックチェーン分野での資金調達は縮小しているところだ。
例えば、ブロックチェーン投資企業Crypto Valley Venture Capital(CVVC)のレポートによると、2023年第2四半期(4~6月)までの一年間で、ブロックチェーン企業は、世界全体で総額約2兆円(146億ドル)の資金調達を行っているが、この額は前年と比較して62%減少していた。
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また、仮想通貨データ企業RootDataも、過去1年間で仮想通貨企業へのベンチャーキャピタル投資が70%減少したと分析している。
例えば2022年第1四半期(1~3月)には560件のラウンドで約1.9兆円(約127億ドル)の資金調達がなされたが、2023年同期にはラウンド数は340件に、資金調達額は約3,700億円(約25億ドル)に縮小していた。
金融に特化した人工知能を発表
人工知能(AI)に関して、アントグループは今月、金融に特化したAIモデルを発表し、同製品の消費者向けアプリ、およびプロフェッショナル向けアプリのテストを開始している。
資産管理のプラットフォームと保険のプラットフォーム上で、AIアプリのクローズドテストを開始した形だ。
このアプリ「Zhixiaabao 2.0」は、消費者に金融に関するヒントを提供するように設計されている。アントグループは、市場分析能力や推論能力は、平均的な金融専門家と同等だとしている。規制当局の承認が得られ次第、利用可能となる見込みだ。
テンセントによると、7月までに中国では130社以上の企業がOpenAIの「ChatGPT」のような、大規模言語モデルの製品を導入している。
例えば、中国を拠点とする情報技術企業iFlytekは5月、「ChatGPT」に対抗できるような生成言語モデル「SparkDesk」を開発したと発表した。検索エンジンBaidu(百度)なども同様のAIサービスを開発している。
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ChatGPTとは
ユーザーの質問に対し、人間との会話感覚で回答できるように設計された対話型のAIで、OpenAI社が開発。コンテンツ制作、レポート作成、コード設計など用途は多岐に渡るが、プライバシーや著作権の侵害など懸念事項も多い。
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