世界におけるブロックチェーン企業の資金調達
ブロックチェーン投資企業Crypto Valley Venture Capital(CVVC)は、世界のベンチャー投資状況を分析するレポートを発表した。ドイツにおけるブロックチェーンベンチャー企業の資金調達額が前年より伸びていると報告している。
レポートによると、2023年第2四半期(4~6月)までの一年間で、ブロックチェーン企業は、世界全体で1,367件の取引により総額約2兆円(146億ドル)の資金調達を行った。資金調達額は、その前の一年と比較して62%減少していた形だ。
世界的な縮小傾向の中でも、ドイツにおけるブロックチェーン企業の資金調達は伸びており、34件の取引で約532億円(約3.6億ドル)を集めている。この額は前年比で3%増加していた。
その結果、ドイツが世界のブロックチェーン資金調達額に占める割合で、これまでで最大の2.4%を記録している。なお、ブロックチェーンベンチャー資金の大部分は米国に集中しており、世界のブロックチェーンベンチャー企業資金調達総額の45%を占めていた。
ベルリン拠点の企業が牽引
CVVCは、ドイツの取引の大部分が初期段階の企業によるものだったと指摘した。その中でも、ベルリンに拠点を置く企業が、調達額全体の93%を占めていた。
CVVCは、ベルリンの成功については、豊富な人材や、革新的な新興企業、規制環境による支援、投資家や業界専門家のネットワークなどが功を奏したのではないかと述べている。
ドイツにおいてセクター別では、2022年には「ブロックチェーンネットワーク」による資金調達が大半を占め、「DeFi(分散型金融)」、「ゲーム・NFT(非代替性トークン)・メタバース」と続いた。
2023年のデータでは現在のところDeFiプロジェクトが最も多い。
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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ベルリンを拠点とするブロックチェーン企業の一例としてはFinoaがある。ベルリンで2018年に設立された仮想通貨カストディ企業であり、今年初めにドイツ連邦金融監督局(BaFin)からライセンスを取得した。
現在、DeFi、Web3アプリなどと安全にウォレットを接続するFinoaConnectを300以上の企業に提供している。
金融大手の参入事例
ドイツでは、金融大手もブロックチェーン・仮想通貨に参入を始めている。例えば、ドイツ銀行が6月、デジタル資産のカストディサービス運営を目指し、ドイツ連邦金融監督局への許可を申請したところだ。
さらに今月14日には、デジタル資産のカストディ・発行インフラを手掛けるスイスのTaurus(トーラス)との提携も発表している。資産のトークン化事業への進出を見据えた動きとみられる。
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カストディとは
カストディとは、投資家の代わりに資産を保有・管理することを指す。資産の保管や売買に係る決済、また元利金・配当金の受領や議決権行使など、幅広い業務を代行するサービスを指す。カストディを行う企業を「カストディアン」と呼ぶ。
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