米公聴会「トークン化されたポケモンカードは証券か?」ゲンスラーSEC委員長は答え示さず

ゲンスラー氏のアプローチを非難

米国下院金融サービス委員会は27日、証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長を招いて公聴会を開催した。

ゲンスラー委員長による「ルール策定に対する無謀なアプローチ」をはじめ、「デジタル資産エコシステムに対する反対運動」などに懸念を表明し、約5時間にわたり、厳しく追及した。

公聴会に先立ち、同委員会の共和党委員全員がゲンスラー氏に書簡を送り、SECが徹底した経済分析を実施せず、規制の課題に関する利害関係者の意見を考慮していないと非難していた。

公聴会の冒頭で、パトリック・マクヘンリー委員長は、法律は明確であるとする言動と対照的に、ゲンスラー氏の行動は「更なる混乱と永続的な損害を生み出した」と主張。消費者保護が目的だと繰り返す一方で、「合法的なデジタル資産活動を、消費者が保護に手厚い規制金融機関から排除する」行動をとっていると批判した。

また、マクヘンリー委員長は、SECは金融サービス委員会の再三にわたる文書の提出要求にも応じていないと非難した。SECは他の規制機関と同様、「法律を超越したもの」ではなく、議会の監視の下にあると強調。監視義務に応じない場合、ゲンスラー氏に対して議会召喚状の発行も辞さないとして、次のように述べた。

今こそ、あなたの行動がSECの評判に与える永続的な影響について考える時だ。

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曖昧な「投資契約」の概念

リッチー・トーレス議員は、ゲンスラー氏の率いるSECの下では、「投資契約という言葉が、無限にも変化し、操作可能になっている」と強い懸念を表明した。

暗号資産(仮想通貨)に関して言えば、あなたの解釈では、投資契約は限定的な原則を持たず、したがって、裁定的で気まぐれな強制措置を招きかねないと心配している。

投資契約の概念に関してトーレス議員は、ゲンスラー氏に「投資契約には”契約”が必要なのか」という点について明確な答えを求めるも、膨大な判例があることを根拠にゲンスラー氏は明言を避けた。

トーレス氏は、一つの具体例として、「ポケモンカードの購入は有価証券取引とみなされるか」と質問。ゲンスラー氏は、「小売店において、ポケモンカードは有価証券ではない」と答えた。

トーレス氏は続いて、「ブロックチェーン上でトークン化されたポケモンカードを、デジタル取引所で購入した場合はどうか」と尋ねると、ゲンスラー氏の答えは「もっと(内容を)知る必要がある」であった。

トーレス氏は、「あなたにとって、トークン化のプロセスは証券取引ではないものを証券取引に変換するものなのか」と重ねて尋ねると、返って来た答えは以下のものだった。

一般投資家が他人の努力に基づいて利益を期待し、資金を交換するのであれば、それがハウィーテストの核心だ。

ハウィーテスト

ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。1946年のHowey社訴訟事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めた。

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恣意的な執行への招待状

公聴会終了後、トーレス氏はゲンスラー委員長が「テクノロジー中立」を掲げているのに関わらず、トークン化されたポケモンカードの仮説に対する答えによって、同氏のブロックチェーン技術に対する「深刻な偏見」が明らかになったとコメント。仮想通貨メディアDecryptに、以下のように語った。

私の質問に対するゲンスラー委員長の回答は、仮想通貨規制に対する彼の全体的なアプローチと同様、支離滅裂だった。彼の手法と化した証券法の操作によって、恣意的な執行が罷り通ることになる。

ポケモンカードがNFTに

トーレス議員が言及したポケモンカードのトークン化は、もはや仮説ではなく、すでに実現している。

カード取引プラットフォーム「Courtyard」では、取引されるアイテムはポリゴン(MATIC)ブロックチェーン上でNFT(非代替性トークン)に変換されるが、カストディサービス企業「Brink’s」との連携により、現物のカードは保管され、保険でカバーされる。

Brink’sは1859年の創業以来、ダイヤモンドやオークション品などの貴重品の保管と輸送を手掛けてきた歴史ある企業だ。

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現実世界資産(RWA)のトークン化は、大きな注目を集めており、ボストン・コンサルティング・グループによると、2030年までに現実資産のトークン化市場は数兆ドルの市場規模に達する可能性があるという。

例えば、金融大手のシティは、預金管理や貿易金融に導入することを想定したRWAのトークン化サービスを開発・実験している。また、JPモルガンチェースは、ブロックチェーン基盤の入金システムを開発していると報じられた。

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