米地裁判事、コインベースに有利な発言 対SEC訴訟で
「証券の定義が広範囲すぎる」と懸念
米ニューヨーク南部地区連邦地裁の判事は17日、米証券取引委員会(SEC)とコインベースの裁判でSECに質問を行った。暗号資産(仮想通貨)トークンの証券性などについて尋ねている。
SECは昨年6月に未登録有価証券を提供していたとしてコインベースを提訴した。
ソラナ(SOL)、ADA(エイダ)、ポリゴン(MATIC)、サンド(SAND)、チリーズ(CHZ)、NEAR Protocol(NEAR)、ダッシュ(DASH)やその他のトークンの名前を列挙し、有価証券だと申し立てる格好だ。
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キャサリン・ポルカ・ファイラ判事は、こうしたトークンの発行者は証券法に違反しているかどうかをSEC側に尋ねた。
すると、SEC側の弁護士は「正確には違います」「訴状で名指しされたこれらのトークンはコンピューターコードです」と回答している。トークンそれ自体は証券とはみなされない可能性が浮上した形だ。
さらにファイラ判事は、有価証券の定義についても「SECの議論が広範囲に広がりすぎているのではないかと危惧している」と表明した。
SECは、ステーキングサービスについても有価証券の提供とみなしている。これに対してファイラ判事は、ステーキングはSECが証券法違反として申し立てているサービスの中では一番、伝統的な投資手段との類似性が見られないもののように思われた、と意見した。
ここまでの段階では、ファイラ判事の発言はコインベースに有利なものとなっている。今回の公聴会は、コインベースがSECの訴訟を却下するよう裁判所に要請したことをめぐって開催された。
今後の手続きとしては、裁判官がコインベースの訴訟終了申し立てを却下する可能性が高いとされている。もしそうなれば、次は証拠開示手続きに進む。さらに証拠開示の終了時に、SECとコインベース双方が略式判決を求める申し立てを起こす可能性がある。
これに裁判官が納得しない場合は、裁判で陪審に付託されることになるが、その場合は2025年以降になる可能性がある。
なお、ファイラ判事は2023年8月、分散型取引所Uniswap(ユニスワップ)に対する集団訴訟を棄却。この際は、DeFiにおける詐欺的トークンによる被害が問題となっていたが、これを裁くために証券法の範囲を広げることは拒否するとしていた。
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ルミス議員らの訴訟却下要請
SEC対コインベースの訴訟については、米上院のシンシア・ルミス議員およびカーステン・ギリブランド議員が2023年8月、SECの訴訟を却下するよう裁判所に請願書を提出していた。
仮想通貨は国家的に重要な問題であり、まず議会が方向性を示すべきだという趣旨である。ルミス議員らは、仮想通貨を規制するための「責任ある金融革新法」を議会で進めていこうとしているところだ。
SEC側の弁護士は、ルミス議員らの却下要請について反論。SECが有価証券を定義する上で根拠としているハウイーテストは「議会の意向で制定されたもの」であり、一議員がこの意向を無効にすることはできない」とコメントした。
ハウイーテストとは
ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。1946年のHowey社訴訟事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めた。
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