仮想通貨関連条項は除外
米国議会は6日、2024会計年度(2023年10月~2024年9月)国防予算の枠組みを決める国防権限法(NDAA)を発表した。この法案には暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関する条項は一切含まれていなかった。
背景として、カーステン・ギリブランド上院議員(民主党)、ロバート・マーシャル上院議員(共和党)、シンシア・ルミス上院議員(共和党)、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)は超党派でNDAA修正案を提出していた。
内容としては、規制当局に仮想通貨活動に従事する金融機関に対する審査基準を設定するよう義務付けることや、財務省に仮想通貨ミキシングサービスやプライバシー性の高い匿名性通貨に関して勧告を行うよう義務付けることを盛り込むものだ。
ミキシングサービスとは
仮想通貨の取引データを複数混ぜ合わせることによって、その仮想通貨の出所や保有者のアイデンティティを隠すもの。本来はプライバシーを強化するための仕組みだが、ハッキングなどで違法に取得した仮想通貨の資金洗浄に利用される事例も指摘される。
▶️仮想通貨用語集
ギリブランド上院議員はこの修正案について、「マネーロンダリングや違法金融へ仮想通貨が使われるのを禁止することは、米国の国家安全保障と経済の両方にとって極めて重要だ」と述べていた。
さらに4月にギリブランド議員らは、テロや違法資金と闘うための独立作業部会を設立することを規定する「金融テクノロジー保護法」も提出している。
こちらは、米国の様々な政府機関と、民間の金融テクノロジー企業、金融機関、研究機関などが共同でマネーロンダリングとテロ資金調達対策の取り組みについて検討するグループを設立しようとするものだった。
このたび、どちらも国防予算の割り当てから外された格好だ。
最近では、米財務省がイスラム系組織ハマスがミキシングサービスを利用しているとして、マネーロンダリングの拠点に指定する計画だと伝えられている。
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待望される規制明確化
NDAAから仮想通貨関連の法案が除外されたことを受けて、ルミス議員は「失望した」と述べ、次のように改めて違法資金に対処する必要性を強調した。
米国議会は、強力な消費者保護を提供し、米国に十分に規制された安全な仮想通貨市場を創設するための法案を可決する必要がある。
また、米国が世界の金融リーダーであり続けることを保証し、仮想通貨を規制するための「責任ある金融革新法」をギリブランド上院議員と共に進めていく計画だとも続けている。
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米国では、複数の仮想通貨関連法案が審議されているところだ。
代表的なものとしては、ステーブルコインの明確な規制枠組みを構築することを目指す「決済ステーブルコインの明確化に関する法案」や、仮想通貨業界に対する規制を明確化するための「21世紀のための金融イノベーションとテクノロジー法」がある。
この二つとも、7月に下院金融委員会を通過したが、今後、上院銀行委員会に提出する必要があり、その成立目途はまだ立っていない。
米国では、特にSECに対して、仮想通貨についての明確な規制ガイドラインを提供しないまま取り締まりを行っているとの批判が挙がっている。法律を根拠とした明確な規制の整備が待ち望まれているところだ。
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