ポリゴンPoS、Napoliアップグレード完了 Dencun導入は次のステップで
パフォーマンスを最適化する機能導入
暗号資産(仮想通貨)ポリゴン(MATIC)は21日、Polygon PoSでNapoli(ナポリ)アップグレードを実装したと発表した。イーサリアム(ETH)の直近の大型アップグレード「Dencun」の機能や、相互運用性を高める改善案を組み込んだ。
まず、イーサリアムのアップグレード「Dencun」から次の3つの重要な要素を導入している。
- EIP-1153: 一時ストレージ
- EIP-6780: 自己破壊コード制御
- EIP-5656: メモリコピー命令
EIP-1153は、ブロック領域の利用効率を高め、ネットワーク全体のパフォーマンスを最適化することを目的とするものだ。
EIP-6780はコントラクトが不要になった際などに使用される自己破壊オペコードの機能を制限し、操作をより安全でコントロールされたものにする。
EIP-5656は、メモリのコピーに関連する技術的な負荷を削減し、ネットワーク内のプロセスをさらに効率的にする。
ポリゴンは、今後予定される「Feijoa」アップグレードで、Dencunの手数料削減機能EIP-4844も導入する予定だ。
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RIP-7212で相互運用性を強化
Polygon PoSは、「ナポリ」アップグレードでRIP(ロールアップ改善提案)7212もアクティブ化した。相互運用性を強化する楕円曲線(secp256r1)のプリコンパイルサポートが導入されている。
これにより、主流のテクノロジーやデバイスとの相互運用性が向上した。例えば、iPhoneの安全なメモリ領域内にキーを保存して様々な検証プロセスを仲介するようなアプリケーションなどの可能性を開く。
なお、楕円曲線は暗号化などセキュリティに広く使用されるものだ。プリコンパイルは事前にコンパイル(コンピュータ言語への変換)を行うことである。
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RIP-7212は、レイヤー2プロジェクトのチームが結集したグループ「RollCall」によって開発された。ポリゴンによると、「RollCall」はレイヤー2ソリューション内でEVM(イーサリアム仮想マシン)の拡張をサポートする組織だ。
ZkSync EraやOptimism(オプティミズム)など、ポリゴン以外のレイヤー2も、近い将来にRIP-7212を実装することを目指している。
レイヤー2(L2)とは
「2層目」のブロックチェーンのこと。全ての取引履歴をメインチェーンに書き込むと負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。
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