ペイパルのステーブルコインPYUSD、流通量が3月に大幅減
流通用や時価総額が下落
Web3企業Paxos(パクソス)はステーブルコインPayPal USD(PYUSD)に関する3月の透明性レポートを発表した。3月のPYUSDの流通量は1億8,850万ドル(約286億円)相当で、前月と比較して39%減少している。
ここ数か月の流通量は、1月に3億100万ドル、2月に3億400万ドルでピークに達していた。3月に大きく下落した格好だ。
CoinGeckoのデータによると、PYUSDの時価総額も、2月26日に史上最高値の3億1,200万ドル(約474億円)を記録。しかし2月下旬以降には下落傾向で、記事執筆時現在は1億9,100万ドル(約290億円)となっている。
ビットコイン(BTC)が3月13日に7万3,000ドルを超える史上最高値を更新するなど仮想通貨市場が上昇していたタイミングの前後に、大幅に時価総額が下がっていた形だ。
同じ時期に競合コインのUSDTやUSDコインの時価総額は上昇を続けており、明暗が分かれた。
その他の報告事項としては、3月29日時点で、PYUSDは裏付け資産として1,490万ドル(約23億円)の米国国債を保有しており、想定元本は約1,480万ドルである。
さらに、米国債担保リバースレポ契約を1億7,790万ドル(約270億円)保有、想定元本ポジションの価値は約1億7,400万ドルだ。PYUSDの純資産総額は1億9,200万ドル(約292億円)、想定元本ポジションの価値は1億8,900万ドルとなっている。
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グローバル企業による初のステーブルコイン
PYUSDは決済大手PayPal(ペイパル)が昨年8月に立ち上げたステーブルコインだ。イーサリアム(ETH)のERC-20規格を用いており、米ドル・米短期国債・現金同等物によって裏付けられている。パクソスはPYUSDの発行を担当している。
米国の利用者はPayPalのプラットフォームを通じてPYUSDを購入・送金することが可能だ。
世界的な大手企業による初のステーブルコイン発行であり、当局にステーブルコイン規制の整備の必要性を改めて認識させる出来事ともなった。
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ただ、現在のところ時価総額の面ではテザー社のUSDTなどには、はるかにおよんでない状況だ。CoinGeckoによると、現在PYUSDはステーブルコインの時価総額ランキングで13位である。
ランキング1位USDTの時価総額は約1,069億ドル(約16兆円)で、PYUSDの1億9,100万ドルを560倍超上回っており、圧倒的な差をつけられているところだ。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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