「米国が仮想通貨へアクセスできるように守る」ロビンフッドCEO、SECと争う姿勢示す
証券法違反を警告
暗号資産(仮想通貨)や株などの取引サービスを提供する米ロビンフッドのVlad Tenev CEOは9日、米CNBCの「Last Call」に出演し、米証券取引委員会(SEC)から証券法違反を警告されたことについて語った。
このような状況は望んでいなかったが、顧客やロビンフッド自身を守らなくてはいけないと発言。仮想通貨の重要性は高まっているとし、米国が仮想通貨にアクセスできなくなる未来を受け入れることはできないと述べ、SECと争う姿勢を示した。
ロビンフッドは今月、仮想通貨部門がSECから「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取ったことを公表。ウェルズ通知は、企業や個人に対しSECが法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書であり、これからSECが同社を提訴する可能性がある。
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Tenev氏は今回、仮想通貨取引サービスを正式に行えるようにするためにSECと事前に16回も面会したと話している。一方で、SECはこの面会を続けたくないと述べたとし、その道が閉ざされたと語った。
ロビンフッドは特別目的ブローカーディーラーとしてSECに登録して、仮想通貨取引サービスを提供しようと試みていたという。Tenev氏は今回、既存の有価証券のルールは仮想通貨を考慮して作られたものではないと指摘している。
同氏は今回「16回」と話したが、ロビンフッドがSECのスタッフと「16カ月」ほど話し合ったことが、昨年の公聴会で明らかになっていた。SECと話し合いを続けていたことは、すでに提訴されているコインベースも同様だ。
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Tenev氏は、SECはブローカーディーラーが仮想通貨を取り扱うことができるようにルールを変更できる立場であるにも関わらず、執行による規制を行うことを選んだと非難した。
ロビンフッドの対応
SECが具体的にロビンフッドのどのような行為を問題視しているかは明確になっておらず、SECが今回どの銘柄を有価証券の事例として挙げるかも不透明である。
同社はSECと話し合いを行う以外にも、コインベースやバイナンスに対するSECの提訴を受け、問題になっている銘柄を上場廃止にする措置も講じていた。また、州の規制に応じて取引できる銘柄を制限する対策も行っていると公式サイトで説明している。
ほかにも、FAQ(よくある質問)の項目では、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から事業ライセンスを得ていることや、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に登録していること、銀行秘密法を遵守していることなど、規制に対応していることを明記している。
SECとは
「Securities and Exchange Commission」の略。株や債券など証券の取引を監督する米政府機関のこと。SECのミッションは「投資家を保護すること」「公正で秩序のある効率的な市場を維持すること」「資本形成を促進すること」である。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します