仮想通貨規制を加速
暗号資産(仮想通貨)や株などの取引サービスを提供する米上場企業ロビンフッド・マーケッツは4日、同社の仮想通貨部門ロビンフッドクリプトが米証券取引委員会(SEC)から「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取ったことを公表した。
SECのスタッフは、ロビンフッドクリプトが証券法に違反しているため、執行措置を行うべきであるとSECに進言することを仮決定したと忠告。提訴されれば、SECは業務停止命令や罰金の支払いなどをロビンフッドクリプトに要求することになるという。
ウェルズ通知とは、企業や個人に対し、SECが法的措置を講じる予定であることを正式に伝える公文書。先月には、イーサリアム(ETH)などのブロックチェーン上で展開するDEX(分散型取引所)Uniswapと、メタマスクなどを手掛ける米Web3ソフトウェア企業Consensysもウェルズ通知を受け取ったことが明らかになった。
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ロビンフッド・マーケッツがSEC自身に提出した報告書類(FORM 8-K)や同社のプレスリリースでは、具体的にどのようなサービスや仮想通貨の提供が証券法に違反したとみなされているのかは明らかにされていない。問題視されているのは、仮想通貨の上場やカストディの業務、プラットフォームの運営とだけ記載がある。
今回、ウェルズ通知を受け取ったことで、SECがロビンフッドクリプトを証券法違反で提訴する可能性が浮上した。ロビンフッド・マーケッツの法務やコンプライアンスなどの責任者は以下のようにコメントしている。
何年もの間、規制明確化のために忠実にSECと協業してきた後にウェルズ通知が発行されたことを残念に思う。
我々は、上場している銘柄は有価証券に該当しないと固く信じている。そして、ロビンフッドクリプトに対する主張が、事実と法律に対していかに説得力がないかを明確にするために、SECと関わっていくことを楽しみにしている。
ロビンフッドクリプトの公式サイトによれば、同社は現在ビットコイン(BTC)やイーサリアム、ユニスワップ(UNI)、アバランチ(AVAX)などの銘柄を上場。一方、州の規制に応じて取引できる銘柄を制限する措置を講じているようだ。
また、FAQ(よくある質問)の項目では、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から事業ライセンスを得ていることや、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に登録していること、銀行秘密法を遵守していることなど、規制に対応していることも明記している。
同社は昨年、コインベースやバイナンスに対するSECの提訴を受け、問題になっている銘柄を上場廃止にする措置も講じていた。
弁護士の反応
コインベースやバイナンスらとの裁判が継続する中、最近SECは仮想通貨企業に対する規制を加速させてきた。
上述したConsensysに対しては、仮想通貨の交換を行えるようにする「MetaMask Swaps」のソフトウェアを、ブローカーディーラーとして登録せずに提供していたことが取引所法に違反していると主張。
また、ステーキングサービス「MetaMask Staking」の提供によって未登録有価証券の提供に従事していたとも述べ、証券法に違反したと指摘した。
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一方で、規制を明確にせずに執行措置を継続しているSECには疑問や批判の声も多く上がっている。
ロビンフッドクリプトにウェルズ通知が送られたことを受け、仮想通貨に精通するJake Chervinsky弁護士は以下のようにコメントした。
SECがこの数カ月間に送付した仮想通貨に関するウェルズ通知の数に驚いている。実際にこのような数の執行措置を同時に行うこと、または行えることを想像するのは難しい。
もしウェルズ通知を送付した分すべて執行措置を行えば、法律や議会から与えられた権限に違反するのではないか。
SECとは
「Securities and Exchange Commission」の略。株や債券など証券の取引を監督する米政府機関のこと。SECのミッションは「投資家を保護すること」「公正で秩序のある効率的な市場を維持すること」「資本形成を促進すること」である。
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