自由な取引ツールとしてのビットコインは実現しないのか、開発者が憂慮

ビットコインの根本に関わる問題

暗号資産(仮想通貨)ビットコイン開発の貢献者であるマット・コラロ氏は11日、「自由のためのツール」というビットコインのビジョンが実現できるかどうかが危ぶまれているとの考えを明らかにした。

この先数年間は、ビットコインにとってブロックサイズ戦争と同じくらい重要だ。 当時は、ビットコインとは何かを誰が決めるのかという問題だったが、今はビットコインとは何かという問題になっている。

コラロ氏は、ビットコインは元来、第三者を信頼しなくとも、望む相手と取引できる自由を提供するツールとなることを目指していたと主張。しかし、現在の状況を見ると、ロールアップやサイドチェーン、モバイルライトニングなど、ビットコイン取引を実用的にするアイディア全てに「信頼できない」参加者が関わる傾向にあると指摘した。

我々は、信頼できない参加者の関与なしに、仮想通貨支払いレールの構築を突破できていない

同氏は、ビットコインのスケーリング技術やその使用について批判しているわけではなく、多くの場合、集中型の仲介業者に依存していることを問題視している。

規制の標的に

コラロ氏は、ビットコインがより主流になることで発生する規制上の課題についても論じている。

多くの新規参加者は、分散型決済の基本原則よりも、 投資の安全性を優先し「いかなる形式の非KYC支払いレールも、投資価値に敵対的であるとみなす」傾向があると主張。そのため、エコシステムに大きな変化が生じているという。

米国では、エコシステムの参加者全てにKYC要件の適用が必要ではないという点において、規制を明確化するチャンスはあったかもしれないと同氏は言う。しかし、「仮想通貨の政治資本」は、匿名性を保ちつつ有意義な取引を可能にするのではなく、「トークン発行が合法であることを保証する証券改革」を推し進めることに使われ、すべて使い果たされてしまったと指摘した。

同氏は、規制当局による取り締まりが強化されると、中央集権的な参加者が規制の標的になる恐れがあると危惧している。実際、規制当局の監視を避けるため、先取りして閉鎖するような例も、この数ヶ月で散見されたという。

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マイニングプールの集中化

さらに、コラロ氏はマイニングプールが集中化している現状を憂慮している。ほとんどのマイナーは変化を望んでいないため、ビットコインのすべての層が集中化されることにつながっているという。

同氏は以前、ビットコインのハッシュレートの約50%が、実質的には単一のマイニングプールに近い状態で管理されているという分析を示していた。

このような集中化は、「規制当局が捕捉する」ための機が熟した状態だとコラロ氏は警鐘を鳴らす。

トランザクションの選択を分散化するように設計されたプロトコル「StrarumV2」またはp2poolによって、集中化の問題が改善される可能性もあるが、その導入は遅れており、分散型マイニングの見通しは明るくないようだ。

トラストレスな取引システム

ビットコインの本来の理念である「トラストレスなグローバル取引を可能にするシステム」を構築することは、困難な戦いだが、それを望むのであれば、以下のような努力をする必要があるとコラロ氏は強調する。

  • エコシステム全体にわたるデフォルトウォレットのプライバシーの抜本的な改善
  • 規制の変更に積極的に投資する
  • 世界レベルでのスケーラビリティ・ソリューションの運用

しかし、これらの分野への投資は非常に不足しており、ビットコインの他の分野に投入されたエネルギーのほんの一部にすぎないと、同氏は憂えている。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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