ドイツ金融規制機関『個人投資家はICOに手を出すべきではない』|国際的な仮想通貨規制の必要性を強調

国際的なICO規制の必要性
ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)の代表Hufel氏は、不透明性や規制の欠如から個人投資家がICO分野に手を出すべきではないと言及し、同分野における国際的な規制を施行するべきであると主張した。
規制を実現した国々と実現できていない国々
ICO分野における規制の必要性はドイツだけでなく、多くの国々が主張しているがその規制の実現に至っている国々は少ない。今後のICO業界の発展には、国際的な協力を念頭に置いた世界的な規制が必要であると考えられている。

国際的なICO規制の必要性

ICO分野には、可能性のあるプロジェクトに投資し莫大な富を生み出すことに成功した人々が存在する一方で、詐欺まがいのプロジェクトも多数存在し、投資家保護を始めとする様々な規制が整備されていない。

実際、2017年のICOによる資金調達額は5600億円を超えていると言われているが、その中でも既に夢半ばで生き絶え、詐欺だったものを含む失敗に終わったプロジェクト数は1000を超えるとCoinopsyとDeadCoinsは言及している。

またIT系情報サイトのTechCrunchもその詐欺まがい、または、失敗に終わった仮想通貨プロジェクトの総被害額は1100億円を超えていると発表し、ICO分野が危険と見る声は少なくない。

そんな中28日には、ドイツの現地メディアThe Handelsblattがドイツ連邦金融監督所(BaFin)がICOにおける国際的な規制を施行するべきであると考えていることを明らかにした。

ドイツ連邦財務省の傘下にある公式金融規制機関、ドイツ連邦金融監督庁の代表を務めるFelix Hufel氏(以下、Hufel氏)は、ICO分野が規制の欠如や不透明性の多い分野であることから、「個人投資家は手を出すべきではない」と強調し、以下のように続けた。

私たちは、イノベーションを阻害したくはない。しかし、同時に危険を排除していかなければならないのも事実なのだ。

例えば、資金洗浄や投資家のプライバシー保護は、私たちが対処していかなければいけない物事である。そして、ICO分野には契約という名の下において最低限の基準が必要であるべきなのだ。

このように、Hufel氏は投資家保護やプライバシー保護の観点からICO業界の危険性を主張しており、同業界における国際的な規制の必要性を強調した。

ドイツ中央銀行も規制の必要性を強調

また今年1月には、ドイツ中央銀行(Bundesbank)の役員であるJoachim Wuermeling氏も、仮想通貨は、新興資産クラスでその影響は1カ国ではなく、グローバルな規模になってきているため、もはや国毎の規制では仮想通貨を規制することはできないと言及し、国際的な規制の必要性を強調していた。

Wuermeling氏は、同時期に以下のようにコメントしている。

効果的な仮想通貨規制は、国際的な協力なしでは成し得ない。なぜなら、各国毎の規制の力は限られており、仮想通貨はその1カ国の規制で足りる範疇を超えているのだ。

規制を実現した国々と実現できていない国々

ドイツの規制局を始め、仮想通貨業界の国際的な規制や、国内での規制に焦点を当てた発言が目立ってきているが、未だ多くの国々でその規制が実現されていないのが現状だ。

フランスでICO合法化

しかし、先月9月にはドイツの隣国フランスの国会にてICOを合法化する法案が可決された。

その法案では、ICOの中心となる企業がそのプロジェクトに関する全ての詳細を公開することを義務付け、投資家がそのICOプロジェクトを十分に理解し、投資の是非を決定することを可能にするとされている。

欧州議会でも進む基準策定

さらに、ヨーロッパ全体の動きとして今年9月に欧州議会の経済金融問題委員会(ECON)もICOに関する新たな基準策定に向け、ヨーロッパ全域にて身分証明や資金洗浄対策を組み込んだ提案が行われた。

仮想通貨や各種トークンはその性質として世界的に取引され、ボーダーレスなものとなっていることから、世界規模での規制や監査が難解である点は否めない事実だ。

実際、多くの政府が仮想通貨の合法化や規制明確化に対して躊躇している理由は仮想通貨の犯罪を目的とした利用だと言える。

しかし多くの人々が詐欺的プロジェクトやプライバシーの観点などで被害を被っている現実の要因として一貫性のあるルールの欠如も挙げられる為、一刻も早い国際協力が必要であると言えるだろう。

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