ドバイ、仮想通貨での給与支払いを法的に認める画期的判決
仮想通貨現物での支払い命じる
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの第一審裁判所は、雇用契約に基づく給与を暗号資産(仮想通貨)で支払うことを認める判決をくだした。
専門家からは、仮想通貨が有効な報酬支払い手段としてより広く受け入れられ始めたことを示唆する判決と見られている。LEXOLOGYで、法律事務所Wasel & Waselが15日に報告した。
今回の裁判は、ある会社の元従業員が原告となっており、以前勤めていた企業に対して、未払い賃金や不当解雇補償などを求めて起こしたものだ。
2023年にも同様の訴訟があったが、その際には原告が仮想通貨の正確な評価額を提示できなかったために却下されていた。しかし今回のケースでは、仮想通貨現物による支払い請求が認められている。
原告の雇用契約では、法定通貨での月給の他に、仮想通貨のEcowattトークン5,250枚の支給が規定されていた。しかし被告となった企業はこのトークン部分を6か月間支払わなかったとされる。
なお、Ecowattトークンは、環境に優しいエネルギー技術に投資するための資金調達を目的とするプロジェクトだが、現在取引はほとんど行われていない。
Wasel & Waselのマフムード・アブワセル氏は、今回の判決の意義について、次のようにコメントした。
今回の判決は、特に雇用契約における仮想通貨の使用に関して、アラブ首長国連邦(UAE)が進歩的な法的環境を持っていることを示すものだ。
裁判所が契約書に定められたとおりに、仮想通貨による支払いを命じたことは、雇用だけでなくさまざまな分野での仮想通貨の導入を促す前向きな判例となるだろう。
米国でも仮想通貨給与の事例
仮想通貨での給与支払いは、南米など各国でさまざまな試みがみられるところだ。
2022年には米国ニューヨーク市のエリック・アダムス市長がビットコインで給与を受け取っている。ニューヨークが新興技術にオープンであることを示す目的があった。
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米仮想通貨投資企業NYDIGも2022年に企業の従業員が給与の一部をビットコインで受け取り、貯金することができるサービスを開始。米大リーグのヤンキースなどが利用している。
なお、日本では2022年に厚生労働省がデジタルマネーによる給与支払いを解禁したものの、仮想通貨は対象外となっている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します