4〜6月期のビットコイン現物ETF 個人投資家の保有比率は約8割=NYDIG報告
価格下落でも購入
米大手暗号資産(仮想通貨)投資企業NYDIGは週次投資レポートで、投資家のタイプ別で分類したビットコイン現物ETFの保有状況を発表。価格下落にもかかわらず、ほとんどの投資家が第2四半期(以下Q2(4〜6月)と表記)中にビットコインETFを購入していたと報告した。
NYDIGは、Q2の「13F報告書」(企業の資産保有報告)に基づいて、ビットコイン現物ETFを保有する企業をタイプごとに分け、保有量を一覧にまとめた。
米国では、運用資産が1億ドルを超える企業に対し、保有する株式、オプション、転換社債、債券などの資産開示として、四半期ごとに証券取引委員会へ13F報告書の提出が義務付けられている。そのため、この報告書は特定の資産に対する機関投資家の関心と保有の程度を示す指標と見られている。
ビットコインETFの保有量でトップに立ったのは、個人投資家で全体量の78%(408億490万ドル=約5兆8,745億円)を保有している。(NYDIGは13F報告書を提出していない投資家を、個人投資家として分類)
前四半期にも個人投資家は積極的にビットコインETFを購入していたが、Q2には、このセクターから6億3,750万ドル(約918億円)の資金流入を記録した。
NYDIGは、ビットコインの価格下落局面で一般投資家がどう動くかを注視していたが、「今の所、全く動じていないようだ」とコメントした。
ヘッジファンドと投資マネージャーの動き
ビットコインETFの保有量の第2位はヘッジファンドで、44億1,260万ドル(約6,353億円)を保有しており、全体の8.4%を占めた。
ヘッジファンドによるQ2の資金流入は4億2,680万ドル(約615億円)。しかし、ロングポジションの絶対値が減少しているため、ベーシス取引の総ポジションが減少した可能性があるとNYDIGは分析している。
ヘッジファンドに次いで多くのビットコインETFを保有しているのが、投資顧問企業だ。
このグループは、Q2に11億ドル(1,585億円)のビットコインETFを購入。保有額は43億3,320万ドル(約6,238億円)に上り、保有の割合は8.3%となった。
Q2に新たな投資顧問企業が購入したことから、このグループでもビットコインETFの受け入れが進んでいるとNYDIGは分析している。
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証券会社も参入
証券会社は、2Qに3億420万ドルのビットコインETFを新たに購入し、4.6%の保有量で4位につけた。
このカテゴリーでは、新たにゴールドマン・サックスが3つのETFで3億6.000万ドル(518億円)相当を購入したことに注目が集まった。一方、大量のETF保有者であるサスケハナ・インターナショナル・グループは、約3億ドル(432億円)相当を売却した。
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銀行と年金基金
保有量で5位と6位につけたのは年金基金と銀行だが、全体に占める保有量はそれぞれ0.2%(1,055万ドル)と0.1%(606万ドル)で存在感はあまり大きくない。
年金基金のカテゴリーでは、第1四半期(Q1)にウィスコンシン州投資委員会がブラックロックのIBITとグレースケールのGBTCの合計1億6,285万ドル(235億円)相当を購入していたことが明らかになり、話題となった。同投資委員会はQ2に、GBTCを全て売却しIBITを購入したが、合計すると資金は純流出となった。
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資金流入が回復か
今月、ビットコインETFからの資金流出が顕著だったが、26日にはブラックロックのIBITで1ヶ月ぶりに2億2000万ドル(317億円)の純流入を記録。同日時点で、米国市場のビットコイン現物ETFへの資金流入は8日間継続したため、回復基調にあると期待されている。
仮想通貨投資企業CoinSharesは26日の週次レポートで前週、仮想通貨の投資商品に合計で5.3億ドル(約766億円)超の資金が純流入したと報告。過去5週間で最高となったと指摘した。
CoinSharesは、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が9月の利下げ開始を示唆した後に流入が増加したことから、ビットコインは利下げ期待に敏感に反応するようになっているとの見方を示した。
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