ブロックチェーンで環境価値をデジタル資産化 IIJがデジタル通貨「DCJPY」で決済取引開始

ブロックチェーンを活用

GMOあおぞらネット銀行は28日、環境価値のデジタルアセット化とデジタル通貨「DCJPY」による決済取引が開始されたことを発表した。

これは昨年10月に予告されていた取り組みである。これからブロックチェーンやデジタル通貨の技術を活用し、取引の効率性を高めたり、新サービスの提供を目指したりしていく。

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環境価値のデジタルアセット化とは、「非化石証書」のような資産をデジタル化して保存・流通させることを指す。

非化石証書とは、石油や石炭などの化石燃料を使っていない非化石電源で発電された電力が持つ「CO2を排出しない」という環境価値の部分を分離して、取引ができるように証書化したもの。

通常、電気は電気そのものの価値しか持たないが、再生可能エネルギーをはじめとするCO2を排出しない非化石電源から発電された電力には、電気の価値以外に環境価値を持つ。非化石証書は2018年5月、取引所が創設され取引が開始された。

こういった環境価値の取引にDCJPYの決済を導入し、実際に取引が開始されたというのが今回の発表。デジタル通貨やスマートコントラクトを活用して、アナログ証書や中央集権型システムを使用してきた従来の仕組みを発展させることを目指す。

スマートコントラクトとは

あらかじめプログラムされた条件に応じて自動で契約を執行する仕組みを指す。スマートコントラクトの機能が実装されている代表的なブロックチェーンはイーサリアム。

各種契約を締結する際には、仲介者や契約書作成などの事務作業が必要になる場合が多いため、自動的に契約を執行できるようにすることで、効率性向上やコスト削減などの効果が期待されている。

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3社が連携

今回の取り組みでは、以下の3社が連携している。

  • GMOあおぞらネット銀行:DCJPYを発行
  • ディーカレットDCP:「DCJPYネットワーク」のシステムを提供
  • インターネットイニシアティブ(IIJ):取引を実施

そして、今回の仕組みを図にすると以下のような構造となる。

出典:発表

IIJは23年10月から、白井データセンターキャンパスというデータセンターを利用する顧客向けに非化石証書の代理調達サービスを提供してきた。まずは、同社のデータセンターでDCJPYの利用を開始するという。

また、今後についてはデータセンターでの利用に加え、デジタルアセット化した環境価値の二次流通の可能性などを検討し、カーボンニュートラルへの関心の高まりに対応する新サービスの提供を目指すとしている。

そして、ディーカレットDCPについては、環境価値の他にも、公募自己募集型デジタル証券やDAOファントークンサービスなど、新たな経済圏の創出に向けて取り組んでいると説明。DCJPYネットワークの提供を通して、今後も様々なビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)に貢献していくと発表で述べた。

なお、DCJPYネットワークではステーブルコインを発行しているわけではなく、銀行預金をブロックチェーン上でデジタル通貨にしている。ディーカレットDCPが電子決済等代行業者であるため、企業は決済関連の金融ライセンスの取得・登録をせずに、DCJPYを送金することができるという。

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