米SEC長官が「ビットコインETF承認・有価証券問題」の必要事項を明確化|仮想通貨リップル(XRP)証券性に関する質問も
- 米SEC長官がビットコインETF申請認可に必要な項目を指摘
- 米証券取引委員会の長官を務めるJay Clayton氏は米国27日に開催された大型カンファレンスConsensus Investで登壇し、ビットコインETFや仮想通貨の有価証券問題等について言及したことが注目を集めている。また未だ不透明なままのリップルの証券性についても触れた。
ビットコインETF申請に必要なもの
米国時間11月27日、ニューヨーク市内で今年5月に続き大型仮想通貨カンファレンスの投資家向けイベント、Consensus Investが開催された。
数々の仮想通貨界隈の著名人が登壇した中、最も注目を集めた登壇者の一人だったのがアメリカの証券取引委員会(SEC)長官を務めるJay Clayton氏である。
米証券取引委員会の長官であるClayton氏は米ニューヨーク州で開催されたコンセンサス・インベストでもビットコインETF申請に必要なもの、また現在の仮想通貨環境に欠けているものを主に2点指摘した。
市場操作のリスク
ETFの現物である資産の徹底したカストディ(安全・管理)
またClayton氏は昨日も海外大手メディアCNBCとインタビュー内でも仮想通貨の価格の安定も不安材料要因の一つとして挙げていた。
昨日時点での番組内でもClayton氏はビットコインETF申請に必要なものを挙げた。
信頼できる価格情報が取引市場から確保できるか、(ETFの)担保となる仮想通貨のカストディ、そしてそれが他の資産の様に安全に管理・確保がされるかが要点だ。
ビットコイン自体は有価証券ではない
Clayton氏がこのように6月に続き、ビットコインは有価証券ではないと断言すると会場は拍手に包まれた。
ビットコインの特異性については米国の連邦準備銀行も最近言及しており、ビットコインは通貨でも有価証券でもなく、ペイメントのメカニズムであると述べていた。
ビットコインが異なる点は中央銀行によって発行されていない。
また銀行の負債でもない。ビットコインはペイメントのメカニズムで、法定通貨としてではなく、法定通貨に代わる技術だ。
….(また)ビットコインは分散化されていて、誰も独断で作成・またコントロールしていない。さらに法定通貨としてではなく、それに代わる新たなペイメントシステムとしてデザインされている為、これは有価証券ではないと言える。
ビットコインを利用する人はそれを理解するべきだ。
リップル有価証券問題について
またリップルの有価証券であるかどうかという問題に対して、また具体的な発表の時期などに関する質問も、以前クリントン政権で経済アドバイザーを務めたGlenn Hutchins氏からClayton氏に対して行われた。
Clayton氏は、具体的な言及を避けながらも、以下のようにコメントした。
我々は企業やICO発行側と具体的な状況を彼らと話すことに対してオープンだ。
ある質問(リップルに関する質問)に関して言えるのは、断定的な返答を示すには大量の情報が必要であることだ。
とClayton氏は仮想通貨リップル(XRP)の名称を挙げることもしなかった。
有価証券の定義を再度明確化
どのように仮想通貨が有価証券であり、デジタル通貨であるかという肝心な質問に対し、Clayton氏はまず米国証券取引委員会の歴史を振り返った。
1933、34年に当時の米証券取引委員会は有価証券を規制することを決めた。
そこで幅広い投資家から資金を募る公募(Public offering)と、狭い投資家の中から資金を集める私募(Private Offering)の2種類が開始した。
しかしClayton氏は当時の規制当局は賢く、有価証券の定義を一般的な紙に書かれた有価証券として定義しなかったと説明し、以下のように有価証券を定義づけた。
「利益が期待できると見込み、投資家が出資をする場合」
「流通市場で取引して、または配当等で利益が見込める場合」
「公募である場合」
また「売りと買いのマッチング(約定)を通して市場取引が行われる場合」は取引所としての登録が必要となると述べ、今月初旬に未登録証券取引所とみなされた仮想通貨取引所の創設者がSECに起訴された事例を示唆した。
なおSECが仮想通貨やICOプロジェクトが有価証券であるか判断する指標の一つとして「Howey Test」と呼ばれる過去の裁判事例が頻繁に引用されている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します