はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米SECが2つの仮想通貨を未登録証券と判断|有価証券問題と専門家の意見

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米SECが2つの仮想通貨ICOを有価証券と判断、民事和解へ
米SECは、米時間金曜日、2つのICOプロジェクトに対する告訴にて、ICOトークンを未登録証券とみなし、投資家への返金、証券登録および罰金を課したと発表した。これは、ICOの有価証券問題における取り締まりの重要な事例となるとされている。今回もこの問題の重要性と、法律家を含む専門家の意見を引用し、今後仮想通貨業界への影響を考察した。

米SEC:ICOが未登録証券違反と判断、和解を

米時間金曜日、米国証券取引委員会(SEC)は、2つのICOプロジェクト=AirfoxとParagonに対する告訴にて、ICOトークンの発行と販売が未登録証券とみなし、民事調停(和解)を行なったと、SECのプレスリリース によって明らかになっている。

出典:SEC

同リリースによると、上記の両企業は、「影響された投資家へ返金を行い、トークンを有価証券と登録し、SECへ周期的な報告を提出し、罰金(≒2800万円)を支払う」ことに同意した。

また、以下が今回の判断における重要なポイントとなる。

  • 2017年のDAO調査報告書発表後に行われたICOが有価証券の発行および販売とみなされる点
  • SEC初の、ICO証券における「登録違反」に対する民事処罰(詐欺手段ではない)
  • 既存のICOプロジェクトが返金し、SECに登録し直すことが可能

同発表によると、有価証券と該当するトークンを提供する取引所がSECの規制に準じて登録、もしくは免除の資格を申請する必要がある事を明確化している2017年のDAO報告書が発表されてから、Airfoxは約17億円、そして、Paragonは約14億円を調達した。

SECの監視課課長を務めるStephanie Avakian氏は、今回の案件を通して、以下の様ICOに関して述べた。

我々SECは、ICOを通して証券を発行する企業は既存の証券登録ルールと関連法律を遵守しなければならないことを明確にしている。今回の判断は、類似したビジネスを行おうとする企業に、我々が連邦の証券法に違反するデジタル・アセットに対する取り締まりを継続させる事例となるのだ。

SECの直近の取り締まり

SECが11月9日、未登録の証券取引所を運営した疑いで、仮想通貨分散型取引所のEtherDeltaの創設者であるZachary Coburn氏を起訴し、総額≒4400万円の罰金を課したことをコインポストで報じた。

この案件を通して、SECは今回と同じくDAO報告書を判断基準とし、EtherDeltaが「連邦証券取引法上、有価証券に該当するトークンを含むERC20トークンを提供していた」と指摘した。

そして、当時、Avakian氏はこのようにコメントした。

EtherDeltaは、国認定のオンライン証券取引の持つようなユーザー・インターフェイスと機能を持っているため、SECの法的規定に則って、登録、もしくは免除の資格を申請しなくてはならない

ビットコイン価格急落の要因|米国初の未登録仮想通貨取引所への法執行事例による今後の影響は?
ビットコイン価格は9日未明、米ドル建ての取引が先行し急落、その要因に挙げられているのが、米国初の未登録仮想通貨取引所への法執行事例だ。今回はその問題の重要性と、法律家を含む専門家の意見を引用し、今後仮想通貨業界への影響を考察した。

さらに、先日、同委員会の「企業金融部長」を務めるWilliam Hinman氏は、首都ワシントンD.C.で行われたフィンテックカンファレンスにて、今後トークン(仮想通貨)の販売=ICOを行う際に必要となる【ガイダンス】を『理解しやすい言葉』で作成し、公開すると計画していると明らかにした。

ICOプロジェクトとDEXに対する取り締まりを先例とし、ICOのガイダンスも加えて、SECがICOトークンの有価証券問題に対して、本腰で取り掛かり始めていると言えるだろう。

ICOの有価証券問題と専門家の意見

SECの上記の2つのICOに対する告訴および結果に関して、複数の専門家の見解を取り上げていく。

まず、仮想通貨界隈のコメンテーターとして業界からの信頼が置かれている米弁護士Jake Chervinsky氏の見解から見ていこうと思う。

米弁護士Jake Chervinsky氏の見解

Chervinsky氏はSECの仮想通貨に対する規制に関して、同日SECが発表した「デジタル・アセット証券および取引に関する陳述書 」を取り上げ、「これが現段階では最も重要かつ役に立つ公式文書だ」と、以下の様に重要な部分を抜粋した。

たとえICO発行企業が過去に違法で未登録のデジタル・アセット証券を発表したとしても、改めて連邦の証券法を遵守し、改正していく方法はある。

つまり、今回の事例の様に、返金と登録の道もあり、しかも「詐欺」と見なさない民事処罰という、通常の証券法違反(刑事処分)よりも比較的に軽い処罰も考えられるとのことだろう。

ワシントンD.C.本拠地の法律事務所Anderson Killの弁護士Stepehn Palley氏の見解

米大手仮想通貨メディアCoindeskも取り上げたPalley氏の見解 によると、今回の判断は、Howeyテスト(証券性を判定する有効な指標)が用いられたため、おそらく過去2年間に行われた95%のICOに適用するだろうと指摘した。

仮想通貨が「証券」に該当するかを判定するHowey(ハウェイ)テストとは
Howeyテストはブロックチェーントークンが「証券」であるかどうかをスコアに基づいて判定するテスト。法的拘束力はないものの、トークンの「証券性」を判定する有効な指標であり、いくつかのICOプロジェクトはトークンのテストスコアを公表している。

ブロックチェーン専門のベンチャーファンドCastle Island VenturesのNic Carter氏の見解

Castle Island VenturesのNic Carter氏は、Coindeskの取材に応じて、ICOプロジェクトに対する忠告を以下の様に述べた。

SECが今後ICO・仮想通貨にどんな行動を取るかは予測し難いが、まずは、もっとも明らかにトークンへの投資を通じて利益を得たこと、得ようとしたことが見られるプロジェクトを追及していくだろう。

私のアドバイスだが、トークンの販売や上場をやめて、投資家に返金し、トークンを必要としないビジネスを行なったほうがいいのでは。

しかし、ICOという証券登録が回避できる資金調達の概念が覆されつつあるものの、市場参加者が気づくまではしばらく時間がかかりそうだ。

この事例を受け、仮想通貨市場の出来高や動きにも制限がかかる懸念があり、今後SECの動きや業界の対応がどの様に動くかは注目すべき重要な内容であると言えるだろう。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

ビットコイン価格急落の要因|米国初の未登録仮想通貨取引所への法執行事例による今後の影響は?
ビットコイン価格は9日未明、米ドル建ての取引が先行し急落、その要因に挙げられているのが、米国初の未登録仮想通貨取引所への法執行事例だ。今回はその問題の重要性と、法律家を含む専門家の意見を引用し、今後仮想通貨業界への影響を考察した。
米SECが「仮想通貨ICOガイダンス」公開予定であると明言|有価証券の判断基準を明確化
SECのHinman氏が、今後ICOトークンの発行に当たる「有価証券」の判断を明確にするガイダンスを公開する予定であると発言した。今後ICOトークンの正当性にとって極めて重要なターニングポイントとなる事が予想される。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/27 木曜日
15:07
リップル社のステーブルコイン「RLUSD」、アブダビADGMが正式認定
中東での企業利用が加速へ リップル社は27日、同社の米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」が、アブダビ金融サービス規制庁(FSRA)により「法定通貨参照トークン」として正式…
14:02
Xapo Bank、ビットコイン信用ファンドの提供範囲を拡大
ジブラルタルのXapo Bankがビットコイン建て信用ファンドを全会員に拡大。初期段階で1億ドル調達。2022年の業界崩壊後、厳格なリスク管理で市場回復。長期BTC保有者向けに安定利回りを提供。
14:00
ビットコイン需要の低迷続く 市場は横ばいか=Glassnode分析
Glassnodeが最新市場レポートで、仮想通貨ビットコインの需要低迷を指摘した。新たな資金流入が回復するまで市場は狭いレンジで推移する可能性が高いと分析している。
13:55
タイ当局、サム・アルトマンのワールドコインに120万件の虹彩データ削除を命令
タイ個人情報保護委員会が、生体認証プロジェクトWorldに対し、仮想通貨と引き換えに虹彩スキャンデータを収集した行為が個人情報保護法違反として、120万件のデータ削除と業務停止を命令。世界各国でも同様の規制措置が相次いでいる。
13:35
世界取引所連合が米SECに書簡、仮想通貨企業への免除措置見直しを要請 トークン化株式に懸念
世界取引所連合が米証券取引委員会にトークン化株式を提供する仮想通貨企業への包括的な免除措置の見直しを求める書簡を送付した。ナスダックやCMEグループなどが加盟する同連合は、適切な規制遵守なしに仮想通貨プラットフォームが証券取引所の役割を果たすことへの懸念を表明。
11:10
「BTCが74000ドルまで下落しても転換社債に対する価値は5.9倍」ストラテジー
ストラテジー社は、仮想通貨ビットコインの価格が同社の平均購入価格である74,000ドルまで下落しても、転換社債に対して5.9倍の資産を保有していることになると投稿。債務の安全性を強調した。
10:30
韓国最大級仮想通貨取引所Upbit、ネイバーと合併 約1.5兆円規模の株式交換で傘下に
韓国IT大手ネイバーが仮想通貨取引所Upbit運営のドゥナムを1.5兆円規模で買収。韓国国内シェア7割超のUpbitとネイバーペイを統合し総合デジタル金融エコシステムを構築。2025年6月の合併発効を目指す。
10:15
BTCマイナーのクリーンスパーク決算発表、売上高が過去最高に AIインフラを拡大中
ナスダック上場のビットコインマイナー、クリーンスパークが決算報告。過去最高の売上高を記録した。AIとビットコインの両ワークロード対応の包括的プラットフォームへ進化中だ。
09:55
ソラナ特化型ウペクシが最大35億円調達、SOL財務戦略などに利用
ナスダック上場のウペクシが普通株式とワラントの私募により最大2300万ドルを調達すると発表した。調達資金は仮想通貨ソラナ財務戦略と運転資本に充てられる予定だ。
08:45
セキュリタイズがEU取引決済システム認可を取得、アバランチで展開へ
セキュリタイズがスペイン国家証券市場委員会からEU全域での取引決済システム運営認可を取得した。同社は米国とEUの両方でライセンスを持つ唯一の企業となり、欧州システムはアバランチ上に展開される。
08:00
S&P、USDTのドルペッグ能力を最低評価に引き下げ
S&Pは、テザー社の米ドルステーブルコインUSDTに対する評価を最も低い「5」に引き下げた。仮想通貨ビットコインを準備資産として保有する割合などに触れ、判断の根拠を説明している。
07:02
大口投資家の売りが加速、ビットコイン平均入金額が1年ぶりの高水準に=クリプトクアント
クリプトクアントが報告したデータによると、ビットコイン価格が8万ドルまで下落した後、大口トレーダーによる取引所への送金が増加している。最近では9000BTCが送金され、その45%が100BTC以上の大口入金だった。
06:25
ビットワイズのドージコインETFも取引開始、グレースケールに続く
ビットワイズがドージコインETFの取引を米ニューヨーク証券取引所で開始した。管理手数料は0.34%で最初の1カ月間は資産5億ドルまで免除され、グレースケールとREX-オスプレイに続く3番目のドージコインETFとなる。
05:55
ビットコイン、売りは飽和領域に近づくか K33が長期的な買い場と分析
K33リサーチは仮想通貨ビットコインが過去最高値から36%下落した現在の相場を「感情主導の行き過ぎ」と分析している。現在の価格乖離が長期投資家にとって魅力的なエントリーポイントと見ている。
05:35
グレースケール、米国初でジーキャッシュETFの登録申請を提出
グレースケールが仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)を対象としたETFの登録申請を米SECに提出した。実現すればジーキャッシュに特化した初のETFとなり、同社は過去1カ月間でXRP、ドージコイン、ソラナの投資信託もETFに転換している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧