米国最長の政府閉鎖が一時停止|目先材料にビットコインETFが消えた今、Bakktや仮想通貨市場への影響は?

アメリカ政府のシャットダウンが一時停止
昨年12月22日より続いていた政府閉鎖に至っていた問題で、米トランプ大統領は米25日、政府の一部閉鎖を3週間だけ解除する暫定予算案に署名した。一部閉鎖を3週間だけ解除する米連邦政府の動向から、目先材料にビットコインETfが消えた今、Bakktのビットコイン先物申請の動向への影響を考察。

アメリカ政府のシャットダウンが一時停止

トランプ氏はアメリカとメキシコの国境間における壁建設問題で民主党と対立で、米国政府期間が閉鎖に追い込まれていた問題で、米トランプ大統領は米25日、政府の一部閉鎖を3週間だけ解除する暫定予算案に署名し、公式発表を行った。

政府閉鎖は米国においては決して珍しいことではないものの、今回の閉鎖のように1ヶ月にわたって閉鎖が続いた例は過去にもなく、5週間にわたって米政府機関が麻痺したほか、航空交通の混乱、職員80万人余りの無給状態を引き起こした政治闘争が巻き起こっていた。

政府閉鎖の影響は仮想通貨業界にも及び、SECやCFTCといった政府機関が一部業務停止、仮想通貨関連申請書の審査も一時的に滞っていた。その影響を受け、最有力といわれていたETFの申請企業VanEck社は、以下のような声明を発表し、申請の取り下げを行っている。

厳密に言えば、現在SECは政府閉鎖の影響を受けている。(一部、最低限の機能を除き停止されている) そのため我々はSECがビットコインETFの課題として挙げていたカストディ、市場操作の可能性や価格に関しての議論が止まらざるを得なくなった。

そのまま決断が(政府閉鎖の影響で)流れるよりも、我々は引き下げることを選んだ。 SECが再開したら、我々は再び申請を提出して規制当局との対談を重ねていく。

ETFが目先材料に消えた今、仮想通貨市場と政府閉鎖の動きに関する注目点は、もっぱらCFTCの審査を待っているBakktのビットコイン先物申請に移っているが、今後この政府閉鎖がどのような動きになるのか?また、目先材料とも言えるBakktとETF申請取り下げとの違いを見ていこうと思う。

政府閉鎖、今後の動きは

Bakktの先物承認にとっては、政府閉鎖が収束し、CFTCやSECの業務が再開することは望ましいことだが、今回の政府閉鎖停止は、上記に述べたように3週間に限定された一時的なものであることには留意したい。

今回の一時閉鎖を受け、国境警備問題について協議の猶予が生まれた形だが、今後3週間にわたって、与野党で最終的な落とし所を探りに向かうことになる。しかしトランプ氏はあくまで壁建設の予算を承認させるべく自身の主張を通す意向を示しており、合意に至らなければ2月15日以降に再び政府閉鎖を行使することも辞さないと主張しており、再び対立姿勢を強める動きも懸念されている。

仮想通貨にも関係するSECやCFTCに話を移すと、すでに5週間の一部業務停止が行われているほか、再び政府閉鎖が起こり得る状況である点を踏まえると、今回の発表で明かされた3週間の中で、仮想通貨関連の申請処理が進むかは、依然不明確なままとなる。

Bakktの動きから考察

VanEck社が政府閉鎖を理由に、申請の取り下げを行った一方で、Bakktは24日にビットコイン先物の詳細を公開している。

Bakktの承認を管轄するCFTCもSECと同様に米政府閉鎖の影響を受け、現在その大部分の機能が停止している状況下にあるが、ETFの申請取り下げのマイナスな動きに対し、Bakktはリリースに前向きな運営体制を示している。

Bakktは、これまでもCFTCの申請許可の状況を見守りつつも、並行して業務を推し進めていくことを強調しているが、より具体的な先物の詳細が公開されたことは、かなり前向きに捉える見方も多くある。

というのも、CFTCに申請を行うBakktや、SECに申請を行っていたVanEck社を含め、これまで申請状況の中で規制機関との協議を重ねていることを明らかにしており、ある程度申請に対する温度感は把握していると見られているためだ。

また申請許可が行われるとの見方が強まっている理由の一つに、米国内で取引が行われているCboeとCMEの先物取引といった前例が挙げられる。BakktもCboeやCMEと同様、米国における伝統的な取引所であるNYSE(NY証券取引所)の親会社にあたるICEが運営を行っており、これまでも米国規制当局との信頼性を築いてきた企業の一つだ。

具体的な日程はいつか?

まず、Bakktが公式に発表していた延期予定日程は今年の1月24日で、すでに過ぎている状況にある。

調査会社LongHashは、情勢に詳しい匿名筋の情報をもとに、4月まで延期する可能性があるとの ニュースを報じているが、CoinPostの取材に対しても、匿名筋の信頼度などは明かすことはできないとしており、現状明確な日程は定かではない。

なお、米国の規制機関の状況に精通するChervinsky弁護士は、許可期限のない先物取引の申請は、CFTCが明確に米国政府閉鎖の解消を経て機能復旧をしない限り、無限に延期されることは可能としており、米政府閉鎖の状況次第で大きく前後することを示唆した。

これらのことを踏まえると、一部閉鎖解除する3週間の間に申請処理が行われる、またはこの政府閉鎖が本格的に解消に向かうタイミングが注目点となると見ることができ、低迷する仮想通貨市場へのインパクトが期待されるBakktの動きとして、仮想通貨市場が注目することになると言えるだろう。

なお、ETF申請企業CEOのVan Eck氏も、SECが再開後に規制当局との対話を開始すると述べているが、閉鎖期間中に積み上がったタスクへの対応に追われるSECの状況を鑑みるに、新たな申請に当たる再申請の手続きを進めることは、この3週間では厳しいとも見られている。

なお、ETF再申請を行なった場合も、これまでの審査期間がリセットされることから、米SEC側は最終判断までに新たに240日の猶予が与えられることになる。240日のカウントは、SECが正式に申請受理を発表したタイミングで行われ、年内12月31日までETF承認が実現する可能性を残す場合、遅くてもVanEck側が2019年の5月5日にETFの再申請を行なう必要があるようだ。

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米SECの内情に詳しいJake Chervinsky弁護士は、閉鎖中も必要な業務は、少数のスタッフにより行われている上に、SECがその自動承認を阻止する業務を遂行する可能性が極めて高いため、ETFが自動的に承認される可能性はないと解説。
アメリカの歴史上、最長の政府シャットダウンが原因で、米CFTCとSECは大きな機能弊害を受けている。このような背景が注目されているBakktの先物とVanEck版ETFへ与える影響を、ブロックチェーンや仮想通貨に詳しい弁護士が詳しく解説。

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