仮想通貨ビットコインの非公式開発者会議、発行上限引き上げ・半減期の撤廃を検討|反対派の意見で新たな進展
- ビットコイン半減期に懸念される「検閲耐性」の低下
- マイニングプールBTC.Topの設立者であるZhuoer氏は、ビットコインのコア開発者会議で、発行上限引き上げや半減期の撤廃が検討されていることを明かした。その背景には「検閲耐性」の低下への懸念があるとする。検閲耐性とは、ブロックチェーン上の取引内容の改ざんやネットワークへの参加が故意的に制限されることが困難であることを意味する。マイナーのインセンティブ低下によるマイナー数の減少が、ビットコインネットワークの検閲耐性、セキュリティの低下につながるという。
ビットコインの発行上限と半減期に懸念される「検閲耐性」の低下
ビットコインに設けられている2100万(20999999.9769)の発行上限の引き上げの検討や、半減期の撤廃をコア開発者がクローズドに行なっていたニュースで、日本時間21日、新たな進展が見られたことがわかった。
ビットコインのネットワーク維持に務める開発者Wladimir van der Laan氏がビットコインの発行数の変更を提案した関係者に対して、「ビットコインの”金融政策”を変える、というのは健常者が提案するものではない」と発言するなど批判する姿勢を示した。
van der Laan氏はCoinDeskの取材に対し、以下のようなコメントも残している。
(供給量の増加)は非合理的な上、人間心理に反している。自分が持っているもの(ビットコイン)の価値を意図的に下げることは論理的ではない。既に価格が低い中で、このような提案はもってのほかだ。
このように述べた同氏は、限られた発行数というビットコインの主要な特徴である側面を失うことにつながると考えているという。
コピーすることが日常茶飯事であるインターネットにおいて、限られた発行数があるビットコインは希少だ。
多くのプロジェクトが稀少価値を産もうと試みたが、ビットコイン以外は全て失敗に終わっている。
ビットコインの稀少価値につながる発行数の上限を変えてはいけない。
発行上限引き上げと半減期の撤廃に関する提案
これらビットコインの仕組みに変更を加える検討内容は、マイニングプールBTC.Topの設立者であるJiang Zhuoer氏(以下、Zhuoer氏)が、中国最大のSNSである「weibo」への投稿が行われた。Zhuoer氏のほかにも、複数の開発者から、ビットコインの手数料高騰を抑える施策として、議論されていることがわかっている。
そのような議論が起きている背景には、マイナーのインセンティブの低下(半減期)によるビットコインネットワークのへの懸念があるとZhuoer氏は説明している。
検閲耐性とは、ブロックチェーン上の取引内容の改ざんやネットワークへの参加が故意的に制限されることが困難であることを意味するが、インセンティブ低下によるマイナー数の減少がマイニングの中央集権化につながり、結果的にそれの低下に至るという理論だ。
Zhuoer氏は、weiboでその議論について以下のように述べている。
ビットコインの発行上限の引き上げはビットコイン・コア陣で長く議論されてきたプランであり、問題提起をすることで、彼らはそれに対するコミュニティの反応を知ろうとしている。
また、現実世界でのビットコイン利用の簡易化と普及を促進するアプリ「Fold」の設立者であり、コア開発者会議に参加するMatt Luongo氏は、ビットコインの発行上限引き上げについて、「私は、ビットコインはいずれ発行枚数の増加が必要になると開発者会議で主張した一人だ」と以前にツイートをしている。
それらの主張は、コア開発者らの間で、ネットワークのセキュリティを維持する上でマイナーのインセンティブの確保が重要であり、そのための半減期の廃止や発行上限の引き上げが現実的に検討すべき段階にあることを示している。
また、Zhuoer氏は、検閲耐性の維持の手段としてブロックサイズを小さくするというものもあるとするが、それに伴うスケーラビリティの低下を指摘している。
ブロックサイズを小さくすることによるマイニングへの参加障壁の低下が、マイナー数の増加につながり、検閲耐性の強化を期待できるというアイデアであるが、ブロックサイズの縮小によって、ブロック毎のトランザクションの処理能力が低下するためスケーラビリティの低下が考えられる。と、Zhuoer氏の懸念感を示した。
また、2020年に予定される(ブロック生成時間で前後する可能性も)次のビットコインの半減期についても言及しているが、それについては特にブロックチェーン上のセキュリティ問題は生じないだろうと見ているようだ。しかし、多くのネットワーク変更が、半減期に伴い発生しうる点も指摘している。
検閲耐性はネットワークのセキュリティ維持において非常に重要な要因となってくるが、半減期に伴うそれに想定される課題に対して開発者とコミュニティはどのような対策を講じていくのか注目である。
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