「イーサリアムのdAppsは生産性が低い」ビッグ4のEYが指摘
- DAppsの生産性が低い
- イーサリアムのブロックチェーン上で開発されている分散型アプリケーション(dApps)は「生産性が低い」というレポートが発表された。世界大手監査法人EYが米SEC主催のフィンテック討論会で詳細を報告。
イーサリアムのDAppsは生産性が低い
イーサリアムのブロックチェーン上で開発されている分散型アプリケーション(dApps)は生産性が低いというレポートを、世界4大監査法人の1つErnst&Young(アーンスト・アンド・ヤング)社が公表した。
イーサリアムのネットワーク上で開発されたアプリの83%が生産的に使われていないという。同社の担当リーダーであるPaul Broady氏が米SEC主催のフィンテックフォーラムで報告を行った。
dAppsの開発は仮想通貨業界において重要視されている。dAppsは、ETHやTRONといった人気通貨のネットワークを活用しているだけではなく、投機的なやり取りとは異なった通貨実利用のできる場を提供しているからだ。
加えて、Apple社のApp StoreやAndroidのGoogle Playと同様に、開発者の興味を引きつけることができる。クリエイターは今までにないアプリを開発することもできるだろう。
だからこそ、Broady氏は業界を厳しく非難し、開発者に原点へ帰るように勧めている。ギャンブルやゲームのアプリが多いと述べ、問題解決をもたらすようなことに技術を使うことが重要だと強調した。金儲けだけを狙ったアプリが多いと指摘し、今後長く残るようなアプリを開発して欲しいと語っている。
また、Broady氏の指摘を裏付けるデータは、dAppsのランクを付けるDapp.comにある。ギャンブルのアプリが全体の44%を占め、ゲームが13%、それ以外のアプリが占める割合はこの2つ以下というデータもある。このデータでは上位10のdAppsのうち、ギャンブル系が7割で、EOSベースがその大変を占めている。
しかしEYが今回の報告でイーサリアムをテーマとした理由は、EY自身がイーサリアムブロックチェーンを利用したソリューションズを開発・提供しているからだと考えられる。
マーケットシェアの変化
イーサリアムはほんの1年前までは、dAppsのマーケットにおいて100%のシェアを誇っていた。しかし、現在では新たな勢力に押されている。TRONやEOSはそのシェアを伸ばし、どちらも5月にはユーザー利用数で過去最高の数字を記録した。
また、中国の行政機関「北京情報センター(CCID)」のブロックチェーン研究所」が作成した最新の「国際パブリックチェーン技術評価指標」では、EOSが1位でTRONが2位にランクインし、イーサリアムが3位だったことがわかった。
仮想通貨やブロックチェーンの普及にdAppsの開発が果たす役割は小さくないとされているが、その開発がただ数を生むだけに偏っているのであれば、業界のイメージに悪影響を与えかねないだろう。さらに今回のフォーラムはSECが開催したため、直接にこのような情報がSECのコミッショナーに伝わることは、今後SECがどのようにdApps市場(特にDEX取引所)に対して、規制を講じるか注視する必要がある。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します