米国初、ワイオミング州で土地登記をブロックチェーン上で管理|eコマース大手傘下企業と連携

米ワイオミング州、ブロックチェーンで土地情報を管理へ
米大手eコマース企業Overstock社の関連企業が米国のワイオミング州ティトン郡の土地登記を独自のブロックチェーンプラットフォームで管理することを発表した。米国では初の事例となる。

米国初、ブロックチェーンで土地情報を管理へ

米国の大手通販サイトOverstock.comは、ブロックチェーン系の子会社であるMedici Land Governance社を通じて米ワイオミング州ティトン郡の土地登記などの重要情報をブロックチェーン技術を活用したプラットフォームで管理すると発表した。アフリカやメキシコなどでも実用に向けた動きが進んでいたが、米国では初めての事例となる。

人口2万人程を誇る米西部のワイオミング州ティートン郡では、Overstock社のプラットフォームを活用して以下のような土地情報の管理を行う。

  • 所有権譲渡証書
  • 抵当権
  • 先取特権

提携先のMedici Land Governance社(MLG)は上記の項目を同郡のデータベースから1996まで遡り、ブロックチェーンベースのプラットフォームへの移行に成功した。これらのデータは今後ブロックチェーンで追跡、記録されていく仕組みで、データも一般に公開 される。

MLG社のCEOであるAli El Husseini氏は、ブロックチェーンベースのプラットフォームで土地登記などの情報を管理することで「重要な保護層をさらに加えるとともに、透明性を高める」と期待感を示した。

またMLG社の親企業Overstock社のCEOで、仮想通貨やブロックチェーン技術を前向きに捉えるPatrick Byrne氏は以下のように言及した。

我々の関連企業ではブロックチェーンがいつか世界に影響をもたらすことを夢見るだけではなく、実際にブロックチェーンプラットフォームやブロックチェーン商品を開発してきた。そして2019年は実際にそのような商品を世界に輩出する年だ。

Byrne氏は今後もこの土地管理プラットフォームをさらに普及させていきたい姿勢を示しており、すでにアフリカやメキシコなどで採用されている事例を紹介。将来的にはブロックチェーン技術を活かして世界中に最新鋭の土地管理プラットホームを提供していく意気込みを語った。

Overstock社は、仮想通貨市場が下落相場の最中であった11月にブロックチェーン技術を積極的に導入していく姿勢を表明した企業で、今年1月にも独自のセキュリティートークンの提供を開始したほか、3月にはブロックチェーン銀行の株式取得を発表している。

考察:ブロックチェーン技術開発と仮想通貨市場

今年4月から仮想通貨市場は上昇相場にトレンドが転換してきて、直近2ヶ月でビットコイン価格が年初来価格から+200%も上昇している。一部では2017年を彷彿とさせる騰落率を見せていることから、2年前のバブル相場との比較が多く散見されるが今回の上昇で決定的に異なる点は技術環境の整備と発展である。

2017年に仮想通貨市場が急上昇を見せていた際、多くのICOプロジェクトが将来的な利益と可能性を売り目に急騰を記録していた。しかしプロジェクトの基盤となる技術面での整備が未発展のケースが多かった為、価格が実際の価値(ユースケース、採用事例)を上回るバブル状態が多かった。

対照的に今回の上昇相場ではスターバックスをはじめとする米国の大手店舗で仮想通貨決済が導入されたことが前向き要因となるなど、仮想通貨やブロックチェーン技術の発展が価格に伴ってきたという見方もできるだろう。

そういった点では、このように大手企業がブロックチェーン技術を独自で導入して、ブロックチェーン技術のユースケースを増やしていくことは仮想通貨業界にとっても間接的にポジティブな動きだと言える。

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