イーサリアムクラシック12月12日ハードフォークを予定/今後の価格上昇に大きな後押し
- ECIP 1017を実行予定
- イーサリアム・クラシックは、新たな金融政策を発表し、発行数推移及び、発行数限度を定めました。この金融政策の制定は、新しいシステムが飛躍するための第一歩である投機的資金流入を促し、結果、その価値を高め、多くの人々が参入することでその安全性、信頼性を高め、実用性の向上に努めようとしています。
- 長期的な価格上昇にも大きく期待できる環境となる
- 発行上限や報酬減額導入は、供給量を減らすこととなるので、需要拡大と共により価格への影響が大きくなることに直結します。
イーサリアムクラシックが数日間大暴騰を起こしており、この理由として考えられるのは、イーサリアムクラシックの発行上限やブロック報酬減額へと移行するためのハードフォーク(ECIP 1017)が控えていることだと言えます。
このハードフォークの詳細を詳しく見ていきましょう。
変更点
このハードフォークではいくつかの変更点が存在します。
発行枚数上限の変更
2億1000万ETCを予定しています。最大値は2億3000万(ブロック報酬変動率により、完全な上限枚数はわからないが、この範囲の中で行われる模様)となるようです。
ブロック報酬減少
5,000,000ブロック作成される毎に20%ずつ減額、更にアンクルブロック作成に対しての報酬も減額されます。
ECIP 1017 とは?
イーサリアム・クラシックのコミュニティは2016年7月の発足以降大きな成長を遂げてきています。
イーサリアム・クラシックのビジョンに沿う形で、コミュニティは投資家、開発者、ビジネス運営者の長期的な利益を考え、適切な金融政策を採用する必要がありました。
また上記の変更点がECIP 1017というイーサリアムクラシックの共同声明の内容となります。
アンクルブロックって?
ビットコインでも起きることですが、イーサリアムネットワーク上の二人のマイナーがほぼ同時にブロックを承認することがあり、これを”アンクル”と呼びます。
この場合、ネットワークが一方のブロックを不適正であると判断するまで、二つのブロックが一定時間共存してしまうことになります。
一方が不適正であると判断されると、そのブロックから派生したチェーンも不適正とされ、無効になります。
この無効にされたブロックをビットコインでは”オーファン”と呼び、イーサリアムでは”アンクル”と呼び、イーサリアムではこの”アンクル”と呼ばれるブロックでのマイニングに対し、少量の報酬が支払われます。
これは、マイニングをより公正にするためです。
実際にどう機能するのか
具体的にどのように機能するのか、ブロック数などについて解説します。
初期段階 (0 ~ 5,000,000 ブロック)
”確定”ブロック作成報酬は 5ETC です。
確定ブロック作成マイナーは、付随して最大2ブロックの 各uncle ブロックの作成に対して 1/32 (0.15625ETC)が付与されます。
作成した uncle ブロックが確定ブロックに組み込まれることに成功した マイナーは、確定ブロック報酬の最大 7/8である 4.375ETCを獲得します。 この時、確定ブロックに組み込まれる uncle ブロックの最大数は 2 とします。
1回目のブロック報酬減額が行われた後 (5,000,000 ~ 10,000,000 ブロック)
”確定”ブロック作成報酬は 4ETC です。
確定ブロック作成マイナーは、付随して最大2ブロックの 各uncle ブロックの作成に対して 1/32 (0.125ETC)が付与されます。
作成した uncle ブロックが確定ブロックに組み込まれることに成功した マイナーは、確定ブロック報酬の最大 1/32である 0.125ETCを獲得します。
この時、確定ブロックに組み込まれる uncle ブロックの最大数は 2 とします。
何をすべきか?
合意された変更点は、既存のクライアントに反映されます。
よって、Parity (>1.6.9)、または、ETC-Geth、Mantis が最新バージョンにアップデートされていることを確認してください。
(これはクライアントの話なので、一般のETC保有者は対応する必要はありません。)
展望
ETCネットワークにおいて既存の金融政策から、発行上限を設け、発行数を減少させていく金融政策に調整した目的は、ネットワークのセキュリティをブートスト・ラップするためです。
ネットワーク上のセキュリティを高めることで、適切な金融政策が間接的にネットワーク自体を成長させ、安全なプラットフォームの提供を可能にし、スマートコントラクトの発展を促すことになります。
投機が、新しいシステムの経済的後押しを促し、需要を押し上げるものであるという前提を受け入れるとすれば、同様に新しいシステムであるイーサリアム・クラシック・ネットワークにおいての投機も、そのトークンの実用的価値が追いつくまでは、その価値を高める役割を担うことになります。
つまり、投機を後押しすることはネットワークの安全性を高め、成長させるためには合理的であるのです。
大規模で、高いリスクを持つ高性能のアプリケーションが、低いハッシュレートなどの脆弱なセキュリティのブロックチェーン上で開発されるとは考えにくいでしょう。
イーサリアムクラシック・トークンの需要が高まれば、それに伴い、イーサリアムクラシック・トークンの価格も上昇します。
その価格が上昇すると、マイニングへの報酬額も必然的に高まり、イーサリアムクラシックのネットワークの参加者も増加し、このインセンティブの増加によって増えるマイニング力は、ネットワーク自身のセキュリティを高めるのです。
そして、セキュリティが高まると、既存のユーザーや潜在的ユーザー、開発者との間の信用も高まり、これが、結果的にこのブロックチェーン上で大規模で、高いリスクを持つ高性能のアプリケーションの開発に繋がるのです。
このように、投機の促進は、イーサリアムクラシックのネットワークをより安全に、そして、より成長させます。
特に初期段階にある仮想通貨は、もしその他の要素が全て均一であるならば、発行数が徐々に減少していきます。
そして、行数限度が決まっているネットワークの方が、発行数推移や発行数限度が決まってないネットワークよりも高リスクの投機が起こりやすくなります。
上記を踏まえると、金融政策が直接的にネットワークの価値を生み出す訳ではなく、実用的なアプリケーションを持つ安定したプラットフォーム及び、活気に満ちたコミュニティが価値を生み出すと言えるでしょう。
適切に構成された金融政策は、人々が万全とは言えないシステムに対してリスクを取る際に有利に働き、さらに、関心がなかった人々や、プラットフォーム上でまだ開発を行なっていない人々、そして、未だ懐疑的な人々がこの初期段階にあるプラットフォームに参入する理由になるのです。
Ethereum Classic Era Countdown
参考記事はこちらから
CoinPostの考察
ビットコインにあって、イーサリアムやイーサリアムクラシックにない点は、最大発行枚数の設定です。
ビットコインは2100万枚という最大発行枚数が設定されており、半減期を迎えるごとにマイニング報酬が半減される仕組みが取られており、供給量減少の後押しをします。
これにビットコイン自体の需要増が重なることで、より価格の上昇が見込めることから、投資家の将来的なビジョンとしてこの発行が一定枚数で停止する規定はかなり重要となります。
逆にイーサリアムとイーサリアムクラシックは、今までこの発行上限枚数の設定がなかったことで、現在のマーケット供給量と需要から逆算した価格はある程度推測できる状況でしたが、上限設定がされていることによる有限資産という意味での価格上昇は見込めない状況でした。
仮想通貨の価格にとって、この上限枚数の設定はとても大事であり、今回ETCは同時にマイニング報酬額が20%ずつ減少していく仕組みを発表しています。
これら2つの材料はETCにはプラスの材料となり、短期的なハードフォークまでの期間の価格上昇(事実売りは発生する可能性がある)と、長期的な価格を見てもいい影響を与えるのではないかと思います。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します