どうして仮想通貨が短期的にVISAやMasterCardの脅威となり得ないのか

ビットコイン及び、その他の仮想通貨は非常に好調であり、それにより富を手にした人々は名声を得ることが出来た
一部の投資家達は、VISAやMasterCardがビットコインなどの仮想通貨によって代替されてしまうのではないかと懸念しているようですが、この脅威は誇張されているとのことです。
多くの市場参加者達は、既存の支払い環境に満足しており、仮想通貨で支払いをするよりもうまく機能している
短期的に(今後10年程)は、既存の仮想通貨が VISA 及び、MasterCard に大きな影響を与えることはない、と述べられています。

自由主義者や仮想通貨マニアは、ビットコインや、その他の仮想通貨が21世紀及び、それ以降の支払いシステムを一新することになんの疑いも持っていません。

これは、VISAやMasterCardの市場価値の低下に直結するわけではありませんが、実際に会った多くの人はVISAの株を買うと聞くと、頭がおかしいのではないかと考えているようでした。

「ブロックチェーンは市場を一新し、ビットコインやイーサリアムが国を堕落させている法定通貨の代わりとなります」

と語る人もいます。

人々が政府への信頼を失っていく理由は数多くあるとは思いますが、現時点ではビットコインは未だ投資商品としか捉えることが出来ません

中央銀行や国際銀行機関から現地企業に渡る国際支払いインフラの参加者は、少なくとも今後10年の間は、既存の支払いインフラの全面的な見直しを行うことはないでしょう。

下記で、VISAやMasterCardが今後何年間かは影響なく利用され続けると思う理由を記述していきます。

既存のシステムは上手く機能しており、修正が必要だと感じているのは少数

加盟店がVISAやMasterCardの手数料を好んでいないことを考慮しても、システムがうまく機能していることに変わりはありません。

特に、トークン化という側面から見ても、VISAやMasterCardは世界有数の安全性を持つ技術インフラを使用しているのです。

実際に、ハッカーが支払いデータを傍受したり、VISAやMasterCardのサーバーをハッキングするというのはいささか想像できません。

ハッキングは、起こるとしても、加盟店である小売業者サーバーに記録されたクレジットカードデータについてでしょう。

この安全性の確保は加盟店からすればコストがかかるものですが、物理的な通貨の場合に起きる横領、紛失を減らすことができるのです。

SAP計算システムや税金計算ソフトウェアなどが統合されたPOSシステムなど、多くのビジネスが支払いを実行する物理的なインフラに対して既に多額の投資を行っているのです。

この全ては、仮想通貨ではなく、法定通貨を元に設計されています。

今後10年間、もしくは20年間で、ブロックチェーン基盤の通貨がこのようなシステムにどう組み込まれていくのかは、現状ではまだ不鮮明です。です。

Squareなどの技術で、小規模の加盟店であっても、クレジットをより安価で容易に利用できるようになり、VISAやMasterCardは彼らにとっても、既に非常に便利なものとなっています。

一部の都市では、クレジットカードやデビットカードのみが使用可能な、”Cashless(非現金主義)” なビジネスも台頭してきています。

同様に、新興市場ではQRコード関連の技術も発展してきており、小規模な加盟店が安価なスマートフォンアプリで消費者から直接支払いを受け付けることができるようになっています。

VISA CFOのVAsant Prabhu氏のレポート

下記は、VISAのCFOである VAsant Prabhu氏(以下、Prabhu氏)が最近発表した Square及び、QRコードに関してのレポートです。

「Squareは私たちにとって非常に良いパートナーです。

Squareは、ありがたいことにどんなスマートフォンもModel Point of Sale Model(mPOS)対応可能にしました。

mPOS(エムポス)は、スマートフォンアプリと専用のカードリーダーを利用して、お手持ちのスマートフォン・タブレット端末で簡単にクレジット決済ができるスマホ決済サービスです。

これは本質的に、専用の機器などを必要とせず、どんな小さな店でも加盟店となることができるので、スマートフォンがある程度普及している市場にとって非常に便利なツールとなります。

発展した市場において、mPOSが使用されることで、このコストが大幅に削減され、今まで空想とされていた、ホットドッグなどの低価格商品の購入や、駐車料金の支払いなどの様々な支払いが可能になってきています。

さらに、一方で新興市場ではQRコード関連の技術も台頭してきています。

新興市場において最大の参入障壁となっているのは、最小規模のビジネスで、固定電話を使用していたり、例え、固定電話を使用できたとしても、そのシステムを普及させるまでに非常に多くの時間がかかっていました。

しかし、現在では私たちのVISAサービスを利用することで、安価なスマートフォンでアプリをダウンロードし、QRコードをカウンターに貼り付け、消費者は銀行からのアプリをダウンロードしてそのQRコードをスキャンするだけで取引が完了するのです。

コストは比較的安価で即時に設定することができるのです」

仮想通貨がクレジットカードを代替するとは考え難い

消費者視点から見ても、その取引プロセスは非常に容易で、支払いが停止したり、拒否されるような問題も少なくなります。

クレジットカードや、ApplePay(APPL)のようなモバイル決済もうまく機能しており、特に問題はありません。

VisaNetやPayPal(PYPL)もオンライン決済をより容易にしており、消費者がその既存のシステムの根本的な変革を求めているわけでもありません。

実際に既存のシステムは、消費者を窃盗者から保護する最善の方法なのです。

信用リスクを請け負うJPモルガン・チェース(JPM)などによって、詐欺などは容易に特定でき、可逆性も持ちます。

しかし、盗まれたビットコインなどを取り戻そうとしても、そうはいきません。

発行機関は、重要な役割を果たします。

世界中の主要金融機関はクレジットカード取引において、消費者が商品やサービスの購入の際に現金をリスクに晒さない役割を果たすのです。

これは、クレジットカードによる銀行間の関係によって短期的な信用メカニズムを機能させることができていますが、この全ての銀行がビットコインなど仮想通貨にシフトしない限り、これを仮想通貨が代替できるとは考えにくいです。

取引承認速度の比較

物理的インフラでいえば、現在ビットコインを支えているブロックチェーンはブロックサイズの問題から1秒間に3、4取引しか承認することができません。

よって、1秒間に20取引ほどを承認できることを考慮するとイーサリアムの方が、ビットコインよりも将来性があると言えるかもしれません。

これをPayPalと比較してみるとどうでしょう。

PayPalは、FY16の際、1秒間に193もの取引を承認し、サイバーマンディの際には、1秒間に450もの取引を承認しています。

VISAは、さらに上を行き、2016年では1億5000万もの取引を1日で行い、VISA ヨーロッパとの統合によってさらに向上する見込みです。

これは、1667もの取引を1秒間に行なっており、ネットワーク機能の試用によれば、56,000もの取引をも処理することができるようです。

このようにVISAは、巨大でまだまだ許容範囲があり、例えビットコインが無限にあったとしても、少なくとも今後何年間はこの支払いネットワークが影響を受けることはないでしょう。

取引に使用されないのであれば、その通貨に価値はあるのか

率直に言って、ビジネス的に決済ネットワークが広がりを見せていることについては理解できますが、大きな金額を送金する時も実用性はあると考えられますが、ビットコインが違法な取引や税率が低い国からの資金洗浄の用途での本質的に実利用されている現状もあります。

今後その価値は数十倍に膨れ上がるかもしれませんし、80%値下がりするかもしれません。価格に関しても実用性が伴わないと予想するのが難しいでしょう。

既存の中央銀行集権システムに問題があるとは思えません。

しかし、今後10年間この現金主義からモバイル決済への変換という大きなトレンドは続くのではないかと考えています。

このような中で、ビットコインや他の通貨が決済手段として実利用される段階に至るまでには、まだ既存の決済を提供するVISAなどの利便性を超えた次元へと進化する必要があるでしょう。

Why Bitcoin Is Not A Near-Term Threat To Visa and MasterCard

Dec 4, 2017 by Detroit Bear

参考記事はこちらから

CoinPostの考察

最近、ビットコインは通貨として取引に利用されることに着目されている訳ではなく、価値の貯蔵手段(store of value)としての面を強めてきています。

また、上でも触れられていたように、取引認証速度に大きな違いがある等の観点から、ビットコインという通貨自体がクレジットカード等の脅威となる可能性は低いのが現状です。

しかし、ブロックチェーン技術は、クレジットカード、他国間の銀行送金等様々な分野で注目されています。

また、リップルがAmerican Express(アメックス)と提携したというニュースも記憶に新しいです。

American Express社とSantander社はフィンテック企業のRipple社と協力し、ブロックチェーン技術を使った米英間のクロスボーダー決済の迅速化を狙います。Ripple社は『間もなく決済迅速化の手段として自社仮想通貨のXRPが活用される』とも言及しました。

つまり、短期的には”特定通貨”がクレジットカードの脅威となることはないと思われますが、長期的には”ブロックチェーン技術”がこの業界で存在感を発揮することは十分にあり得ると思われます。

またそれに伴い、ビットコインでないとしても、価値を瞬時に移動するという特性を持った通貨が実利用の段階に至る日はくることは間違い無いでしょう。

また、これらクレジットカードなどを提供する決済企業との繋がりを持つリップル社やXRPは、このような決済手段という観点ではかなり大きいアドバンテージを持っているのではないでしょうか?

仮想通貨ビットコイン(BTC)のニュースをまとめた特集記事です。価格の下落や高騰についても触れていきます。

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