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分散型予測市場とは?仕組み・賭けサイトとの違いを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2024年米大統領選で話題となった「予測市場」が、世界各地で身近な存在になりつつあります。米国大手Kalshiは2026年5月に評価額220億ドルに達し、2030年には1兆ドル規模になるとの見方もあります。

本記事では、予測市場について基本から主要サービス、日本国内の動向までを解説します。

220億ドル
Kalshi評価額
(2026年5月)
90%超
Kalshi米国
市場シェア
1兆ドル
2030年予測
市場規模予測

予測市場(Prediction Market)の基本をおさえる

まずは、予測市場の定義から、賭け事や世論調査との違いについて紹介します。

そもそも予測市場とは何か

予測市場とは、未来の出来事に対して「起きるか・起きないか」を予想し、参加者同士で売買することを指します。取引価格はそのまま「対象の出来事が起きる確率」として読むことができます。

たとえば、「A候補が勝つ」契約が0.65ドルで取引されていれば、市場参加者は勝率を約65%と見ている計算になります。

出典:Polymarket Help Center

予測市場は5W1Hで見るとわかりやすい

予測市場の仕組みを5W1H(誰が・何を・いつ・どこで・なぜ・どう)で整理した図解

予測市場は、以下のように5W1Hで見ると全体像がつかみやすくなります。

予測市場を5W1Hで読み解く

観点 内容
Who(誰が) 個人投資家・機関投資家・ヘッジファンドなど
What(何を) 将来の出来事の「確率」を売買
When(いつ) 24時間取引可能(市場閉鎖まで)
Where(どこで) Polymarket・Kalshi・PredictItなど専用サイト
Why(なぜ) 未来予測・リスク回避・情報収集のため
How(どう) YES/NOで参加、価格がそのまま確率を示す

賭けや世論調査と何が違うのか

予測市場にはギャンブルに近い側面もありますが、一方で明確に異なる点もあります。

予測市場が持つ2つの側面

ギャンブルに近い側面

金銭を賭けて利益・損失が発生/日本の刑法上は賭博罪に該当する可能性がある

ギャンブルとは異なる側面

トレーダー同士で確率を売買/米CFTCが「イベントコントラクト」として金融規制の対象としている

世論調査との違いは「確信度がどう表れるか」です。世論調査が賛否の”人数”を集計するのに対し、予測市場では「どれだけ確信しているか」が投資額に表れます。

予測市場・賭けの仕組み・世論調査の比較

項目 予測市場 賭けの仕組み 世論調査
仕組み トレーダー同士の確率売買 胴元との固定オッズ 質問と回答の集計
規制 金融規制(CFTC等) 賭博規制 規制対象外
自信度の反映 あり なし なし
新情報の反映速度 速い 限定的 遅い
主な参加者 個人・機関投資家 個人ベッター 一般有権者

予測市場がいま注目される理由

予測市場が世界中で関心を集めている背景には、30年以上の歴史・2024年米大統領選での急成長・活用範囲の拡大などの3つの要素があります。

30年以上の歴史と技術の進化

予測市場の起源は、米アイオワ大学が1988年に立ち上げた「Iowa Electronic Markets」といわれています。選挙予測の実証実験として始まり、現在も研究目的で運営されています。

2010年代に「Intrade」「PredictIt」が登場するも、米国規制で停滞。2018年Kalshi、2020年Polymarketの本格稼働とブロックチェーン技術の進展により、暗号資産を使った24時間取引が世界中で広がりました。

2024年米大統領選を機に急成長

予測市場が世界中で広く知られるようになったのが、2024年の米大統領選です。Polymarketの大統領選winner市場では約36.8億ドルの取引が行われ、予測市場としてこれまでにない大きな規模になりました。

48倍
月次取引量増加

月次取引量は2024年1月の5,400万ドルから11月には26.3億ドルへと拡大。選挙当日においても、AP通信の公式発表前からPolymarket上でトランプ氏の勝利確率が高く示されたことも話題となりました。

2024年米大統領選におけるPolymarketの月次取引量推移グラフ(2024年1月〜11月)

予測市場は「ニッチな実験」から、機関投資家やメディアにも参照されるインフラへと変わりつつあります。

政治からスポーツ・経済指標まで応用範囲の拡大

予測市場の活用領域は、以下のように政治以外にも拡大しています。

予測市場の拡大例

  • 2026年2月:スーパーボウル60で、KalshiとPolymarket合計約16.3億ドルの取引が発生(単一イベント史上最高)
  • 2026年3月:Kalshi取引高はスポーツ関連が大半を占める規模に拡大※
  • FRBの利下げ判断・雇用統計・企業業績・ビットコイン(BTC)ETFの動向など経済・金融分野での活用も
  • 2025年11月:Google FinanceがPolymarketとKalshiの予測データを統合

※スポーツ取引拡大は公式発表で確認済み。87%という具体値は一次ソース確認中。

関連記事:Google Finance、PolymarketとKalshiの予測データを統合|予測市場が金融情報インフラへ

業界をリードするPolymarketとKalshiの最新事情

予測市場を語るうえで、PolymarketとKalshiの存在は欠かせません。ここでは、両社の成り立ちや規制との関係、予測精度をめぐる議論まで紹介します。

暗号資産発のグローバル大手Polymarket

Polymarketは2020年米国で創業、創業者はShayne Coplan氏です。Polygonチェーン上でUSDC建ての取引を提供し、分散型での運営を続けています。

2022年以降、Polymarketは規制対応と米国市場への再参入を段階的に進めてきました。

Polymarketの主な動き

時期 出来事
2022年 CFTCから未登録のデリバティブ取引と認定、和解金を支払い米国市場から撤退
2025年7月 CFTC認可の指定契約市場(DCM)QCEXを約1.12億ドルで買収
2025年10月 NYSE親会社のICEから最大20億ドルの出資を受け、企業価値は約90億ドルに
2025年11月25日 CFTCから「Amended Order of Designation」を取得
2025年12月3日 米国アプリの提供を開始

なお、指定契約市場(DCM)とは、米国で金融デリバティブを取引できるCFTC認可の取引所のことです。

出典:予測市場大手ポリマーケットが仮想通貨永久先物市場に参入予告

米国規制を乗り越えて急成長するKalshi

Kalshiは2018年にマサチューセッツ工科大学(MIT)出身のTarek Mansour氏とLuana Lopes Lara氏によって創設されました。2020年には、CFTCからDCMとして認可を受けており、規制の枠内で運営されてきた点がPolymarketとの違いといえます。

DCM認可以降、Kalshiは規制の枠内で着実に規模を広げてきた背景があります。

Kalshiの主な動き

時期 出来事
2020年 CFTCからDCMとして認可を取得
2025年12月 Series Eで評価額110億ドル
2026年5月7日 Coatue主導でSequoia・a16z・Paradigm等が参加したSeries Fで10億ドルを調達、評価額は220億ドルへ(約5ヶ月で2倍)
2026年現在 米国の予測市場で90%超のシェア、機関投資家の利用も拡大

PolymarketとKalshiを数字で比べる

両社の動きを数値で見比べてみると、それぞれの方向性や規模などの違いが見えてきます。

PolymarketとKalshiの比較

項目 Polymarket Kalshi
創業 2020年 2018年
基盤 Polygon/USDC建て CFTC認可DCM
評価額 約90億ドル(2025年10月時点) 220億ドル(2026年5月時点)
2024年大統領選winner市場 約36.8億ドル (後発参入)
2026年4月単月取引量 約90億ドル 約148億ドル
米国市場シェア 限定的(再参入中) 90%超
主戦場 政治・暗号資産 スポーツ・経済指標

※2026年4月単月取引量はThe Block調べ。集計基準により数値が異なる場合があります。

「Polymarketが当てた」は本当か

「Polymarketが世論調査を上回る精度で2024年米大統領選を予測した」との見方もあります。しかし、数値を見ると別の側面も見えてきます。

米ヴァンダービルト大学が2025年に発表した研究では、2024年米大統領選の最終5週間に行われた約2,500件・約25億ドル分の取引データを分析しています。

PredictIt・Kalshi・Polymarketの2024年米大統領選における予測精度の比較(ヴァンダービルト大学2025年研究)

主要3サービスの予測精度(ヴァンダービルト大学・2025年)

93%
PredictIt
78%
Kalshi
67%
Polymarket

また、予測市場の精度が高いと言われる主な理由は以下のとおりです。

予測市場の精度が高いと言われる背景

  • 参加者が金銭的なインセンティブで「正解」を求める
  • 『群衆の英知』(James Surowiecki氏)として知られる理論的な裏付けがある
  • 米アイオワ大学IEMの研究でも、予測市場の精度の高さが示されている

インサイダー疑惑・関連調査の事例

  • 仏国籍トレーダー「Théo」が4アカウントで最大4,600万ドル相当を取引、最終的に約8,000万ドルを獲得したと報じられている
  • フランス当局ANJ(国家ギャンブル機構)が調査を開始
  • 2026年5月22日:米下院監督委員会がPolymarket・Kalshiに対するインサイダー取引調査を開始

参考:ヴァンダービルト大学 予測市場研究

日本でも動き始めた予測市場の最新事情

国内では2005年から実証的な取り組みが続いており、近年は海外大手の参入計画も相次いでいます。

日本の予測市場20年史

国内では、2005年のはてな「総選挙はてな」を皮切りに、学術機関やスタートアップによる試みがありました。

日本での予測市場に関する歴史

出来事
2005年 はてな「総選挙はてな」(衆議院選挙対象の仮想市場)
2007年 京都大学「sangi.in」(参議院選挙対象)
2008〜2009年 静岡大学(佐藤哲也研究室)「shuugi.in」
2024年9月 AI党「Polex」自民党総裁選予測実証実験
2025年11月19日 Masentic「ミライマ」リリース(国内初の予測市場アプリ)
2026年3月3日 gumi「ヨソクヒロバ」開発決定
2026年4月30日 JBA勉強会「予測市場の未来」開催
2026年5月22日 Polymarketが日本市場参入に向けた代表者任命をBloombergが報道

日本の法制度と予測市場の関係

日本で予測市場を考えるうえで、賭博罪との関係は重要です。刑法185条(単純賭博罪)では50万円以下の罰金または科料を定めています。
ただし、例外的に認められているのは公営競技(競馬・競輪・競艇・オートレース)・宝くじ・toto・IRカジノなどです。

海外の予測市場プラットフォームに金銭を賭ける行為は同罪に該当する可能性があるため、現状Polymarketでは日本は制限地域に指定されています。

関連記事:予測市場ポリマーケット、日本を利用制限対象に

国内勢の動きとPolymarketの日本進出

2025年末から2026年にかけて、国内・海外ともに予測市場関連の動きが活発になっています。

Masentic「ミライマ」

2025年11月19日リリースの国内初の予測市場アプリ。早稲田大学Shimizu Labとの共同研究を進め、刑法・景品表示法を遵守した設計で運営。

gumi「ヨソクヒロバ」

2026年3月3日に開発決定、Gunosyと協業で2026年5〜6月の提供開始を予定。

Polymarketの日本参入

2026年5月22日にBloombergが報道。Jupiter日本責任者のMike Eidlin氏を起用し、2030年までの認可取得を目標。

出典:gumi公式ニュースリリース

予測市場を活かすポイントと今後について

ここでは、予測市場を活用する3つのポイントと今後の課題を解説します。

予測市場は「完璧な答え」ではない

予測市場を読み解くうえで大切なのは、「確実な答え」ではなく「今の時点で多くの人が出している予想」として読み解く姿勢です。

また、予測市場は変数もあり、たとえば流動性の薄い市場では大口トレーダーの取引が価格を動かすこともあります。確率はあくまで「今の時点での予想」として、さまざまな情報源と合わせて参考にする人が多いと考えられます。

ポイント1:まずは大手から見る

PolymarketとKalshiは情報量・流動性・影響力ともに業界最大級で、業界全体のトレンドが反映されています。まずは両社の動きを押さえると、業界トレンドが把握しやすくなります。

ポイント2:出資者・経営陣の動向を追う

予測市場の方向性は、資本と人事の動きにも表れています。

注目すべき直近の動き

  • ICEがPolymarketへ最大20億ドルを出資(2025年10月)
  • KalshiがCoatue主導でSequoia・a16zなどから合計10億ドルを調達(2026年5月)
  • Polymarketが2026年4月、無期限先物取引(最大10倍レバレッジ)への参入を発表

上記のような資本の流れや経営陣の動きを追っていくと、業界全体の今後の流れもつかみやすくなります。

ポイント3:関心のある領域とつなげて活用する

予測市場は政治・経済・スポーツ・暗号資産・カルチャーなど多岐にわたります。そのため、自分の関心テーマと結びつけて活用するユーザーも多いです。

暗号資産投資家

ビットコイン関連市場やETF動向

株式投資家

個別企業のIPOやFRB利下げ予想

スポーツファン

NFL・スーパーボウル・W杯などのスポーツ予測

まずは、自分が普段から関心がある・追っているテーマから始めると、価格の動きも理解しやすくなります。

今後の課題と可能性

予測市場の成長や今後の発展には、まだ課題もあります。

規制のあり方、市場の取引量、インサイダー取引などが代表例です。米国では「予測市場をどの法律で扱うか」をめぐって複数の州と連邦規制当局が争っており、ルール整備には時間がかかる見通しです。

一方で、金融サービスとの連携や国内企業の参入も進み、機関投資家の間でも利用が広がっています。

よくある質問

予測市場についてよくいただく質問をまとめました。

Q. 予測市場とは何ですか?

予測市場とは、未来の出来事に対して「起きるか・起きないか」を予想し、参加者同士で売買する市場のことです。取引価格がそのまま「その出来事が起きる確率」を示し、個人投資家から機関投資家まで参加しています。

Q. 予測市場はギャンブルと何が違いますか?

予測市場はトレーダー同士が確率を売買する仕組みで、米CFTC(商品先物取引委員会)によって金融規制の対象とされています。胴元との固定オッズで賭けるギャンブルとは異なり、確信の強さが投資額に反映される点も特徴です。ただし金銭的な損失リスクが伴う点は共通しています。

Q. PolymarketとKalshiはどちらが大きいですか?

2026年現在、評価額ではKalshiが220億ドル(2026年5月時点)とPolymarketの約90億ドル(2025年10月時点)を上回ります。米国市場シェアはKalshiが90%超ですが、2026年4月の月間取引量はPolymarketが約90億ドル、Kalshiが約148億ドルと競っています(The Block調べ)。

Q. 予測市場の予測精度はどのくらいですか?

ヴァンダービルト大学が2025年に発表した研究では、2024年米大統領選のデータを分析した結果、PredictItが93%、Kalshiが78%、Polymarketが67%という精度を示しました。ただし大口取引による価格操作の懸念も指摘されており、確率はあくまで「今の時点での集合知」として参考にする姿勢が重要です。

Q. 日本から予測市場を利用できますか?

現状、日本は海外の主要予測市場(Polymarketなど)の制限地域に指定されています。日本の刑法上、海外プラットフォームで金銭を賭ける行為は賭博罪(刑法185条)に該当する可能性があります。国内では「ミライマ」や「ヨソクヒロバ」など刑法・景品表示法を遵守した設計のサービスが登場しており、Polymarketも2030年の認可取得を目標に日本進出を準備中です。

Q. 予測市場の今後の見通しはどうですか?

業界は2030年に1兆ドル規模になるとの見方もあります。Kalshiの評価額は5ヶ月で2倍に達し、機関投資家の参入も加速しています。政治・スポーツ・経済指標など対象領域も拡大中ですが、規制整備・インサイダー取引対策・流動性確保が主要な課題として残っています。

予測市場のまとめ

この記事のポイント

  • 予測市場は「確率を売買」する仕組みで、金融規制の対象。ギャンブルとは法的・構造的に異なる
  • Kalshiの評価額は2026年5月に220億ドルに到達。米国シェア90%超で機関投資家の利用も急拡大
  • Polymarketは米国再参入を進め、2026年4月に無期限先物市場へ参入
  • 予測精度には限界もある(Vanderbilt大研究:Polymarket 67%)。インサイダー調査も進行中
  • 日本では「ミライマ」「ヨソクヒロバ」が登場。Polymarketは2030年の認可を目標に準備中

業界は2030年に1兆ドル規模との見方もあり、既存金融との連携も進行中です。パーセンテージだけでなく、背景にある資本・規制・参加者の動きまで合わせて読み解いていく動きも広がっています。

なお、予測市場への参加は金銭的な損失リスクを伴うほか、規制変更や価格操作の懸念も指摘されています。日本国内からの海外プラットフォーム利用は賭博罪に該当する可能性があるため、本記事は情報提供を目的としており、特定サービスの利用を推奨するものではありません。

出典:Kalshi公式プレスリリース Series F

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