Polymarket(ポリマーケット)とは
Polymarket(ポリマーケット)は、スポーツ、政治、ポップカルチャーなど幅広いトピックで、将来のイベントの結果にユーザーが賭けられる、分散型予測市場です。
従来の市場とは異なり、ポリマーケットはブロックチェーン技術を活用し、仲介者不要で契約を執行するスマートコントラクトを使用して実行されます。さらに、イーサリアムのレイヤー2ソリューションであるPolygon(MATIC)によってスケーラビリティが向上し、手数料も削減されています。
ユーザーは、米ドル連動型のステーブルコイン「USDC」などの暗号資産(仮想通貨)などをデポジット(入金)して、特定のイベントに対する予測市場で取引を行います。自分の予測とタイミング、そして現実世界の結果に基づいて利益を得ることができます。
また、経済的インセンティブによって、より多くの賢明なトレーダーが参加することで、市場価格(確率)は現在の実際のオッズをより正確に反映するように変化します。結果として、予測市場はリアルタイムでのイベント発生確率を知るための最良の情報源となります。
ポリマーケットはシリーズA及びシリーズBの資金調達ラウンドで7,000万ドル(約107億円)を調達しました。直近のラウンドは著名投資家ピーター・ティール氏のベンチャーキャピタル「Founders Fund」が主導し、仮想通貨投資企業Dragonfly Capitalやイーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏も参加しています。
大統領選での使われ方
トランプ前大統領の暗殺未遂事件や突然のバイデン大統領の撤退など、目まぐるしく変わる2024年米大統領選の政局は、将来のイベントの結果に賭ける予測市場にとっては格好の対象となっています。
Polymarket(ポリマーケット)では、2024年大統領選の勝者や、民主党大統領候補にハリス氏が指名されるかどうか、州別の選挙戦など、さまざまな予測市場で賭ける機会が提供されています。
アメリカの金融調査会社バーンスタイン・リサーチは、ポリマーケットのオッズ(配当率)が「選挙の動向を伝えるメディアがよく引用するデフォルトスタンダードになっている」と評価しています。
実際、2024年の米国大統領選挙では、ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズなどの主要メディアが、従来の世論調査とともに、ポリマーケットにおけるオッズに言及するまでになりました。
また、7月にポリマーケットは、選挙世論調査分析で有名なネイト・シルバー氏を顧問に迎えています。
Nate has been an inspiration for me since long before I started Polymarket. Thrilled to have him aboard. @NateSilver538 https://t.co/oZIgD1ug7N
— Shayne Coplan (@shayne_coplan) July 16, 2024
ブロックチェーンデータ分析ツール「デューン」によると、ポリマーケットの月間アクティブユーザー数(MAU)は4万3000人を超え。7月の月間取引額は約3億9,000万ドル(約580億円)に達し、6月の1億1,100万ドル、5月の6,300万ドルから大幅に増加しました。米国大統領選挙をめぐる熱狂的な憶測が、記録的な取引量増加の原動力となっています。
現在までに、「11月4日の大統領選挙でどの候補が勝利するか」という予測市場は、トランプ氏が勝率59%でリードを保っています。一方、バイデン氏が選挙戦から撤退したことを受けて、カマラ・ハリス副大統領がトランプ氏との差を縮め、その勝率は1%から38%に上昇しています。
ポリマーケットの仕組み(プラットフォームの特徴)
Polymarket(ポリマーケット)では、分散型取引所で使用されるスマートコントラクト「自動マーケットメーカー(AMM)」を活用し、市場での取引をサポートしています。AMMは、市場で取引が常に成立するように流動性を提供し、特定のアルゴリズムに基づいてオッズ(価格)を自動的に決定。一般ユーザーは、いつでも予測市場に参加し、予測の売買が可能です。
Polymarketでは、流動性提供者(LP)も重要な役割を果たしています。流動性提供者は市場に必要な資金を供給し、ユーザーがスムーズに予測市場で取引できるようにします。
ユーザーが取引を行う際に少額の手数料が発生し、この手数料はPolymarketと流動性提供者に分配されます。取引量が増えるほど収益が増加するため、彼らには市場の流動性を維持し、取引を促進するインセンティブが生まれます。
米国大統領選の予測市場について
米国大統領選挙は、8月1日時点でポリマーケットで最大の予測市場となっており、掛け金は約670億円(4億4900万ドル)を超えています。この市場は”勝者総どり”形式で、Yes に賭けた人たちが勝者となり、総ベット額が勝者間で分配されます。分配額は、総掛け金と勝者の数に応じて変動します。
例えば、Yes 株を59セントで購入するということは、1ドル(全額の分配を受ける権利)の価値があると予測していることを意味します。予測が的中し、トランプ氏が当選すれば、Yes 株は1ドルの価値になります。この仕組みはオプション取引に似ています。
オプション取引では、特定の条件が満たされた場合に資産を購入または売却する権利を取引します。同様に、予測市場でも参加者は将来の結果に基づいて、Yes 株や No 株という価値を持つ権利を取引します。期日が近づくにつれて、予測の確率が変動し、それに応じて権利の価値も変わります。
また、結果が出る前に、Yes 株や No 株を売却して利益を確定させることも可能です。特に、大金を投じた参加者は、リスクを避けるために早めに利益を確定する動機があります。このようにして、予測市場は柔軟な取引機会を提供し、オプション取引に似たダイナミクスを持つのです。
また成行注文だけでなく、指値注文も可能なため、さらに高度な投資戦略を展開することができます。
トレーダーは、現在のオッズに同意できない市場で取引機会を見つけ、さまざまなイベントに関する知識と予測からそこに賭けることができます。