
創業者による意味深な投稿
予測市場プラットフォーム大手「ポリマーケット」(Polymarket)の創業者シェイン・コプラン氏がXに注目を集めた投稿を行い、話題を呼んでいる。

投稿では、時価総額上位のビットコイン、イーサリアム、BNB、ソラナの次に、「POLY」トークンが並べられている。ポリマーケットはネイティブトークンを発行していないため、新たなトークン発行を示唆したものではないかとの憶測が広がっている。
この投稿は、インターコンチネンタル取引所(ICE:ニューヨーク証券取引所の親会社)による同プラットフォームへの20億ドル(約3,000億円)の戦略的投資発表後のタイミングで行われたことから、さらに大きく注目されることとなった。
トークンの機能をはじめ、配布に関する詳細は未だ明らかにされていない。
暗号資産(仮想通貨)メディア「The Block」の報道によると、ポリマーケットは昨年11月、プラットフォーム上で一部のユーザーに「我々は未来のドロップを予測する」とのメッセージを表示し、エアドロップが近いのではないかと話題になった経緯がある。
また、今年9月にポリマーケットの親会社「Blockratize」が米証券取引委員会 (SEC)に提出した書類に、「その他の権利オプション」が明記されていたことから、トークン発行前に同様の書類を提出した分散型デリバティブ取引所dYdXの事例を彷彿させるとの見方も出ている。
一方、予測市場Myriadのユーザーは、ポリマーケットが今年中にトークンローンチを発表する可能性は低いと見ており、ローンチしない確率を65%と予想している。なお、コプラン氏の投稿前に、その確率は83.5%と予測されていた。
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自力で財を成した最年少の億万長者
ポリマーケットがICEからの20億ドルの投資を受けたことにより、現在27歳のコプラン氏は、ブルームバーグによって世界最年少の億万長者に選出された。
コプラン氏の成功物語は、まさにアメリカン・ドリーム(成功の軌跡)を体現している。ブルームバーグは同氏を「自力で財を成した億万長者」と紹介している。

コプラン氏は2020年、21歳の時にポリマーケットを立ち上げた。ニューヨーク大学を中退してから2年半後のことだった。
当時、「お金も底をつき、文字通り何も失うものがない」状態から、自宅アパートのバスルームで、プラットフォーム構築の作業に取り組んだ。そのきっかけとなったのが、経済学者ロビン・ハンソン博士の予測市場に関する著書に感銘を受けたことだったという。
コプラン氏は当時を振り返り、「真実を見つけ出す方法がこれまで以上に重要になる時代に突入しており、その中でPolymarket が重要な役割を果たせると確信していた」と述べている。
分散型の予測市場ポリマーケットでは、選挙からスポーツ、経済指標に至るまで、現実世界で起きている出来事の結果を予測し、仮想通貨を使って賭けをすることができる。同プラットフォームは、この10年で最も成功した仮想通貨アプリの一つに成長。130万人のユーザーを獲得し、181億ドル(約2兆7,590億円)の取引量を誇っている(Duneデータ)。
ポリマーケットではステーブルコインによる入金が可能だが、ICEの投資発表と同日、ビットコインの入金機能の開始を発表し、ユーザーの利便性を高めている。
ポリマーケットの躍進
ポリマーケットが大きく注目を集めたのは、2024年のアメリカ大統領選挙時だった。選挙の結果に対して30億ドル(約4,580億円)以上が賭けられ、参加規模が大きく拡大したことにより、同プラットフォームは、世界的な現象へと進化した。
しかし、選挙の1週間後、米国ユーザーの参加が禁じられていた同プラットフォームで、VPNなどを介してし米国ユーザーを受け入れているという疑いがかけられ、米連邦捜査局(FBI)がコプラン氏の自宅を家宅捜索し、電子機器が押収された。ポリマーケットはこの動きを「明らかな政治的報復」と呼んでいる。
2025年7月、米司法省と商品先物取引委員会(CFTC)はポリマーケットに対する調査を打ち切った。ポリマーケットはCFTC認可のデリバティブ取引所兼清算機関であるQCEXの買収を通して、9月にCFTCからの承認を得て、米国市場への参入を果たした。
そして10月7日、ICEは評価額90億ドル(1兆3,720億円)で、ポリマーケットへ20億ドルの戦略的投資を発表した。
コプラン氏は、ICEとの提携について、「予測市場を金融の主流に組み込むための大きな一歩であり、DeFiにとっても画期的な前進となる」と述べている。
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