「悲惨指数136」深刻な通貨インフレを起こすアルゼンチンのビットコインP2P取引量が記録的水準に
仮想通貨市況
深刻な通貨危機の最中にある南米アルゼンチンのビットコイン取引量が、週ごとに大幅増加している。
仮想通貨のP2P取引所LocalBitcoinsのデータによれば、先週、アルゼンチンペソ建てのビットコイン取引は、1.01億アルゼンチンペソ(約1.5億円)と過去例のない記録的水準を付けた。
アルゼンチンでは、法定通貨のアルゼンチン・ペソ(ARS)が、米ドル(USD)に対して大幅に下落し、経済的な苦境に立たされている。同国内のトレーダーが代替資産に資金を逃しているとの指摘がある。4日には、補助通貨のセンターボ(Centavo)がビットコインの最小単位の1satoshiにまで下落していることが判明した。
過去9度のデフォルト(債務不履行)を経験するアルゼンチンは、2018年より再び経済危機に陥り、3年目の景気後退に直面。新型コロナ感染拡大が混乱に拍車をかけ、法定通貨アルゼンチン・ペソは、対米ドルで70%以上の価値を失い、歴史的な安値を記録している。
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アルゼンチンのMisery index scores(悲惨指数)は136.1に達しており、2010年代半ば以降、自国通貨のハイパーインフレなどで完全な経済崩壊状態にあるベネズエラに次ぐ2番目に位置している。ベネズエラのMisery index scoreは7,459だ。
Misery indexとは、米国の経済学者アーサー・オークン氏が考案した国民の生活度合を表す指数で、失業率と消費者物価指数の上昇率を加算して算出される。悲惨指数が10%を超えると生活が圧迫されることで国民の不満が高まり、20%を超えると時の政権に影響を与えると言われている。
参考:野村證券 用語解説
2019年のデータでは、日本のMisery index scores(悲惨指数)は3.3、米国は8.7、中国は4.2となっていた。
LocalBitcoinsで関心が高いのは、新型コロナの感染拡大で経済後退危機に瀕しているヨーロッパの出来高ピークだ。360万ユーロ(約4.3億円)を超える取引量は、2019年6月,2018年4月に続く水準となる。
海外のクリプトメディアcryptonomistによれば、南アフリカ、タンザニア、ペルー、チリ、ナイジェリア、ケニア、ブラジルではいずれも過去最高水準に達しているが、最近では日本、メキシコ、エジプトでも上昇傾向にあるという。
新型コロナ感染拡大に伴う前例のない金融緩和により、「法定通貨に対するインフレヘッジ手段のひとつ」としてビットコインに焦点が当たっているとの見方がある。
6月のビットコイン市場は低調な月に
仮想通貨データ分析企業CryptoCompareによれば、半減期明けとなった6月は、仮想通貨取引所のTop Tier取引量とLower Tier取引量は、それぞれ1,770億ドル(-36%)と4,660億ドル(-53%)と大幅に減少している。
Top Tierの仮想通貨取引所における取引量は、2019年第4四半期時点で世界の27%を占めている。
CryptoCompareの取引所ベンチマークは、165を超える暗号資産交換業者を定性的(デューデリジェンス)および定量的(規制面やセキュリティ、取引データに基づく市場品質)をグローバルに評価し、Tier分類したものとなる。
5月のビットコイン(BTC)半減期を経て、新型コロナ第二波の影響などで相場の下落局面を迎えた6月は、CMEのオプション取引量が過去最高に達する一方、先物取引量は5月以降23%減少している。
6月の仮想通貨デリバティブ取引所のボリュームは、2020年以降最低水準となる35.7%減の3,930億ドルに。現物取引量も49.3%減の6,426億ドルと低迷した。
Top Tierの仮想通貨取引所では、Binanceが418億ドル(19.6%減)となったほか、OKExは406億ドル(29.0%減)、Coinbaseは68億6600万ドル(38.5%減)と続く。
デリバティブ取引所で減少が顕著なのはBitMEXで前月比-50.3%に。2019年に隆盛を極めたが、ここ数ヶ月間で減衰傾向が露わとなっている。
参考:BitMEXリサーチ
ビットコイン(BTC)市況
8日のビットコイン(BTC)は、前日比0.31%高の100万円(9290ドル)と横ばいで推移。
昨今の相関性から米株式市場の状況次第になりそうであるが、意識されている上値抵抗線(トレンドライン)をブレイクできれば、年初来高値10,500ドルに向けた「トレンド転換」も現実味を帯びてくるだろう。
一方、底堅さを見せる8850〜8900ドルラインを割り込めば、重要サポートラインや200MAの位置する8400〜8500ドル付近まで急落するおそれがある。
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