大幅上昇のビットコイン、120億円規模のテザー砲が後押しか
ビットコイン、上昇トレンドを鮮明に
28日の仮想通貨市場は、ビットコインが前日比10%高と高騰。119.7万円(11,400ドル)を記録した。
過熱感が警戒される一方、完全に上昇トレンドが出ている。今後リターンムーブで、これまで強い抵抗となっていた10500ドル(110万円)のレジサポ転換を確認できれば、さらなる上昇へ向け強固な足場となる可能性がある。
今回の相場急騰で、17年から続く長期の上値抵抗線も超えていることから、中・長期的なトレンド転換も示唆される。
なお、仮想通貨デリバティブデータを提供するSkewによると、相場急騰を受け、数百万ドル相当のビットコインショートポジションがロスカットされている。
テザー砲の思惑
年初来高値10500ドルのレジスタンスラインは今年に入ってから何度も機能していたが、1時16分に1億2000万ドル(126億円)規模のテザー発行の後押しを受け、1時30分〜2時にかけてこれをブレイクした。
テザー(USDT)は、米ドルとの為替レートを一定に保つように設計されたステーブルコインだ。USDTの大量発行はトレーダーにも意識されており、テザー砲を警戒する声も少なくない。
USDTはその性質から価格変動が小さい。したがって、相場の不確実性が高まると、エクスポージャー(価格変動リスクのある資産の割合)を減らしたい仮想通貨トレーダーによって、USDTの需要が増加する。
また、米国系の仮想通貨取引所ではUSDTが多くの仮想通貨を媒介しており、基軸通貨としての側面も持ち合わせている。したがって、法定通貨が仮想通貨に交換され仮想通貨市場が拡大するとき、その最初の段階としてUSDTの需要が高まる傾向にある。
「テザー砲」と揶揄された過去の事例では、昨年7月にも、ペナント上抜け後2度に渡って1億ドル(109億円相当)ずつテザーが発行され相場が急騰につながった(下図:紫線)
関連:ビットコイン半減期前に「テザー」発行量が歴史的ペースで急増した背景
なお、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)が設立した仮想通貨取引所Bakktでは、1億1,400万ドルに相当する11,509BTCの取引を記録した。 この数値は、2019年12月に記録された前回の最高記録から84%増となっている。
仮想通貨バブルとの共通点
₿it Harington(@bitharington)は、2016年〜2017年の強気相場(仮想通貨バブル)が、過熱感を示す週足の相対力指数(RSI)で「60」を超えて推移していたことに着目。本確定な上昇トレンド相場がこれから訪れることを示唆した。
著名先物トレーダーAdam Mancini(@AdamMancini4)は、ビットコインは安全資産として資金流入が加速する「ゴールド」と同じような足跡を辿ると言及。 2017年末からの巨大保ち合いを上抜け、2021年前半までにBTC=15,000〜24,000ドルも見えるとした。
米国の大規模金融緩和やゼロ金利政策による先行き不安、米中対立の激化に対するリスクヘッジでゴールド(金)への資金流入が加速する昨今。グローバル準備通貨の代替資産のひとつとして、ビットコイン(BTC)市場への流入が加速しているとの見方がある。
経済専門家のレイ・ダリオ氏は、緊張の高まる米中関係について、「貿易戦争があり、技術戦争があり、地政学的戦争があり、その結果、米国や中国が他方への投資を禁じる”資本戦争”が起こる可能性も考えられる。その場合は、米ドルにも壊滅的な影響をもたらしかねない」などと強い懸念を示した。
一方、il Capo Of Crypto(@CryptoCapo_)は、慎重な姿勢を崩さない。 BTCがマクロベースで10500ドル水準を維持できない場合、ここから7000ドル台まで急落する可能性があると予想した。
その根拠として、各取引所のファンディングレート(資金調達率)急騰を懸念材料に挙げた。
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